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なぜなに”知的生産” 〜よくわかるKJ法7〜

Posted on 2017 年 9 月 21 日 by Rashita
Tag:
  • #なぜなに知的生産
  • ,
  • KJ法

3

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1

どっか~ん!

なぜなに”知的生産”~!

「お〜いみんな〜、集まれ〜。なぜなに”知的生産”の時間だよ〜!」
「わ〜い! ねえねえ、お姉さん、今日はどんなお話をしてくれるの?」
「今日はね、図解化が終わった後の文章化についてだよ!」
「やった〜〜!」
「じゃあ、さっそく始めましょう」

(シーン切り替え)

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図解から文章へ

前回は、並べ終えた紙片をもとに図解化を行うKJ法A型を紹介しました。今回は、その図解をベースにして、文章作成(B型)を行うKJ法AB型について紹介します。

すでに書くべき内容の概要は図解化されています。あとは、それを元に文章を書いていけばいいだけなので、それほど困ることはなさそうです。川喜田氏も次のように述べています。

会議で討論されたことの内容が図解になって、全体の構造がわかるなら、極端にいうならどこから文章化してもよい。それは自由である。どの道を歩んでも、けっきょくは全体にたどりつく。

しかし、です。実際にこの作業を行おうとするといくつかの問題に直面します。それは、図解が平面配置なのに対して、文章が直線配置であることが要因です。前者からの後者の置き換えは、一種の「翻訳」(あるいは変換)であり、いくつか実務上の課題をクリアしなければなりません。

どこからはじめるか?

平面配置と直線配置の大きな違いは、(情報の受け手にとっての)はじまりの有無です。

一枚の紙に展開された図解には、正確な意味での「始点」は存在しません。そこにあるのは全体としての関係性だけです。もちろん、情報の受け手は最初にどこかの要素に視点を合わせるでしょうが、それは情報構造体としての始点ではなく、単なるとっかかりにすぎません。基本的には、「全体が物を言う」のが図解です。

しかし、文章にはほとんど必ず始点が必要です。どこから話を始めるのかを決めなければいけません。文章が持つ表現上の自由からいって、どこから始めても構わないのですが、それでも「通りの良い文章」にするためには、やはりしかるべきポイントはあるものです。

一番最初に置かれた状況を説明する。全体の年表を提示する。それを行うべき理由を提示する……。何を最初に持ってくればいいのかを法則的に拘束することはできませんが、一揃いの要素があるときに、最初に配置した方が据わりがよいものとそうでないものはたしかにあります。それを見極めるのが、文章作成の一つの肝です。

次にどこにいくのか?

それだけではありません。ある一つの要素を最初に置いたら、次に何を説明するのかも決める必要があります。空間的配置なら、ある要素の近隣に複数の要素を置くことができますが、仮にそれが4つあるとして、文章ならばその4つから1つを選ばなければいけません。必然的にその選択は、さらにその次に何を置くのかにも影響を与えます。非常に複雑なパズルです。

この点について、川喜田氏は二つの重要な指摘をしています。

一つは、事前にある程度どのように進んでいくのかの見通しをつけたとしても、それに固執する必要はない、ということ。「途中で手順を変えたほうがよい場合がしばしば出てくる」と述べます。なぜか。

(前略)書き進むにつれて、書くことによって理解が進歩し、こうして発展した事態の結果、その後どちらに書き進んだらよいかということの予想が次々と啓発されるからである。

実体験からいって、この話には深く頷けます。全体を俯瞰し、見通しをつけていたとしても、実際に書き始めてみると、「ん? こうじゃないな」という発見がたびたび起こります。それは、自分が何か見落としていたということではなく、引用にあるように自分の「理解が進歩」したからです。これが非常に大きい。

逆に言えば、書き進める前の自分は理解が進んでいないので、その段階でどう頑張ったところで、書き進めた後に発見できる見通しを予め得ることはできません。書き進めることでしか発見できない見通しがある、ということです。

よって、見通しを立てはするものの、それに固執することなく、柔軟に、臨機応変に展開できる余地を持っておくことが有益です。

で、あるにも関わらず、もう一つの重要な指摘は、ある要素の次に配置される要素は、図解上で隣接する要素であることが望ましいとされています。柔軟に進めなさいといいながら、進み方に制約を設けているのは矛盾に感じられるかもしれませんが、そういうわけではありません。

そもそもとして、図解上で近くに配置したのは、そこに情報的親近性があるからです。だから、文章化においても、近い要素に展開していくことには情報的な意味があります。それをまったく無視するのは、突飛すぎるでしょう。

また、「自由にどこにでも飛べる」のだとすれば、あまりにも可能性が拡大してしまいます。そのような状況では人間は選択するのが難しくなり(ジャム実験)、手が止まってしまいます。つまり、図解上の近接要素へと展開せよ、という助言はある種の有限化(可能性の切断)としても機能するわけです。

さいごに

まとめると、こうなります。

適切なスタートラインを見極め、ある程度の見通し(計画)を持ち、かといってそれに執着せずに、できるだけ要素の親近性を頼りに文章化を進めていく。

ひどくややこしい作業に思えますが、実際文章を書く行為はこういうややこしさを常に抱えています。しかし、だからこそ、このような作業を経ることで、対象への理解がよりディープになっていくのです。これは、図解化だけでは至れない道です。

川喜田氏は、そのような図解化と文章化の互いの補完を『発想法』(旧版 p.98~p.99)の中で語っておられます。非常に読み応えがあるので、お持ちの方はちらっとご覧ください。図解化することでわかることと、文章化することでわかること。あるいは、それぞれのわかりかたの違い。そうしたことを理解しておくと、KJ法はより効果を増してくれるでしょう。

他にもいろいろ書きたいことはあるのですが、とりあえずこれでKJ法の紹介は終わりとします。紙片を適当に並べ替えるだけがKJ法ではない、ということがおわかりいただければ幸いです。

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