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Bulletと知的生産

Posted on 2017 年 10 月 20 日 by Rashita
Tag:
  • ≪箇条書きの哲学≫

本記事のアウトライン

  • 箇条書きは分節化を促す
  • Bullet Journalはそれがうまく機能する
  • 知的生産ではどうか

箇条書きは分節化を促す

「分断せよ」とBulletは訴えかける。

白紙の紙が私たちの心に自由を与えるように、方眼や罫線が一定の秩序を与えるように、箇条書きのBulletは、私たちの分断化を促す。ここに書かれるべきはTopicであり、それ以外の何ものでもありませんよと、書く行為に取りかかる前の私たちに先駆的に訴えかけてくる。「執筆の現象学」でも考察した通り、書くという行為は頭の中身をそのまま外に移し替えるようなものではない。それはツールと書き手による一つの系(あるいは書き手も一つのツールとして取り込んだ系)による出力である。だからこそ、たった一つの「・」が、その出力に影響を与える。

デジタルツールであれば、それはより顕著に、言い換えれば半ば強制的に働く。そのフォーマットが「箇条書きリスト」として認識された瞬間、改行キーを押せば、自動的に行が分断される。これまで書いた行と、改行先に生まれた行は、別の行である。

こうした自動挿入は、むろん利便性のための機能なわけだが、「まず私たちがツールを作り、次にツールが私たちを作る」という言葉からもわかるように、分節化するためのツールが、むしろ積極的に分節化を促すことになる。

Bullet Journalはそれがうまく機能する

箇条書きは、一言で言い切らなければいけない。文と文との関係性から何かを構築していくことはできない。シンプルに、簡素に、的確に表現しなければいけない。

これは、Bullet Journalにおいてはうまく機能する。なぜか。それは、Bullet Journalが扱う情報が、主にセルフマネジメント(タスク管理)に関わるものだからだ。話をシンプルにするために、ここではその情報を「タスク管理」に限定しておく。

さて、タスク管理が扱う情報は、どのような役割を期待されているか。実行することだ。あるいは、参照することだ。

・取引先にメールを返信する

タスクリストに上記のような項目があったとき、望ましい行動は、実際にそのメールを送信することだろう。少なくとも「あれっ、その取引先ってどこだっけ?」となるようでは、タスク管理としては失敗である。むろん、「取引先の定義とは何か?」と哲学的な試行にふけることも、あまり期待はされていない。

言い換えよう。タスク管理で使われるリスト(特にタスクリスト)においては、記載される項目についての思考はそこで終わっていなければいけない。GTD風に言えば、「それは何か?」というベルトコンベア試験を通り抜けてきたものがそこに記載されることになる。だからこそ、私たちは細かいことを考えずに実行に移れる。

それは、撃たれた弾なのだ。

その弾は、対象にめがけて進み、何かを穿つことだけが期待される。少なくとも、望ましいタスクリストというのはそうなっているべきものだろう。考えを、思考を、思想を刺激するようなものは、むしろ行動の手を止める。あまり望ましくはない。

知的生産ではどうか

しかしこのことは、知的生産においては致命的な問題を生じる。

論文を箇条書きだけで発表することはできない。書籍だってそうだ(ウィトゲンシュタインは例外としよう)。そこで求められるのは、ひとかたまりの文章である。そしてその文章は、連綿とつながり、全体で一本の柱を構築する必要がある。

それを手にするための道は険しい(そして楽しい)。ある対象を掘り下げ、叩き、別の角度から眺め、ときに文句をつけ、まったく異色の分野とミキサーにかける必要がある。

それは、繋がれるべき珠なのだ。

ここに大きな違いがある。タスク管理では、箇条書きで並べられたものは、情報的操作としては終わっている。あとは行動あるのみだ。しかし、知的生産では、箇条書きされたものは、むしろそこからが出発点なのである。

アイデアは既存の要素の新しい組み合わせである。何かを生み出すためには、対象を細分化し、それらを組み換え、まったく新しい構造物を生み出していかなければいけない。それは、概念のレベルでもそうだし、文章のレベルでもそうだ。知的生産における分節化・分断化は、あくまでこれから始める情報的操作の準備でしかない。すでに終わったものと、これから始めるもの。この違いは大きい。

さいごに

箇条書きは分節化を促す。タスク管理では、それにより行動を呼び込み、知的生産では、そこから新しい思考をはじめる。前者は秩序の維持であり、後者は混沌の躍動である。

鎮めるものと、蠢くもの。
ページの中に組み込まれるものと、ページそのものを織りなすもの。

アウトライナー、あるいは情報カード(付箋でもいい)といったツールが知的生産において強力なのは、この「分節化」と「組み換え」が両方発動するからである。むろん、組み替えるためには分節化が必要なわけだから、分節化の次の一歩の情報的操作が備えられている点が強力だ、と言い換えてもいい。

どちらにせよ、箇条書きだけでは、知的生産には至れない。「組み換え」が必要である。むろんこの「組み換え」は「編集」と言い換えてもよい。

そうなると、Bullet Journalのクラスを継承し、しかし、知的生産に向いたノート術のフレームワークを想像することはできるだろう。次の記事は、その一端を示しているように思う。

Bullet Journal でフリーライティングの階層をのぼる | gofujita notes

上の記事を読めば、何が重要なのかが伝わってくる。おわかりだろうか。

そう、空白である。詰めて書かないこと。

たったそれだけ? 馬鹿馬鹿しい? 

行頭に「・」一つ付けることだって、馬鹿馬鹿しいものである。でも、それはたしかに私たちに作用するのだ。余白や空白だって同じだろう。

Margin。

たぶんそれが新しいノート・フレームワークの手がかりとなるはずだ。

<蛇足>
タスク管理においても、タスクリストに記載される前段階では情報的操作が活発に行われるので、アウトライナーのような「組み換え」機能はたいへん役に立つ。そもそも、その領域ではタスク管理と知的生産の区別が非常につきにくい点は留意しておきたい。
</蛇足>

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