情報管理ツール考察:ツールごとの断片の扱い方

前回:情報管理ツール考察:ライティングのマトリックス – R-style

前々回までで紹介したツールを、断片の操作、という視点からもう一度考察してみる。

  • Evernote
  • WorkFlowy
  • Ulysses
  • Scrivener
  • Scrapbox

ここで言う断片とは、「情報の単位」として捉えてもらえばよい。それらを組み合わせてアウトプットを生み出すための素材、という意味だ。一行なこともあれば、複数行のこともある。

各ツールは、断片をどのように扱うだろうか。

断片化の単位

ツールにおける、断片の最小単位は、WorkFlowyの「一行」である。逆に最大単位は、Evernoteの「ノート」だ。

WorkFlowyはプレーン気味のテキストであり、多少の装飾が可能だが、基本的にはプレーンテキストに近い。シンプルと言えばシンプルだろう。対してEvernoteのノートは、フルなリッチテキストであり、その他のファイルも飲み込める最上クラスのサイズとなっている。

この中間にさまざまなものがある。

Scrivenerはリッチテキストだが、ファイルを内側に持つことはできない。Ulyssesはマークダウン方式なのでリッチテキストではない。ScrapbboxはWebページなので、ファイルは扱えないが、代わりに動画の埋め込みなどが簡単である。

境界線

では、各断片の境界線はどうなっているだろうか。

Evernoteは「ノート」というかなり強い区切りとなっている。一度ノート化されたものは、他の断片と結び付きにくい。同じくScrapboxのページという単位も断片の独立性は強い。ただし、両ツールはノート(あるいはページ)に対するリンクという構造で情報の関連性を明示することは可能だ。

上の二つに比べると、WorkFlowy、Ulysses、Scrivenerは断片同士の境界線は弱い。とは言え、Scrivenerはプロジェクトごとにファイルを作るので、そこで強い境界線が生まれることになる。

再帰と構造

Evernoteは、再帰的な構造をほぼ持たない。ノートブックとノートブックスタックだけが微妙にそれっぽいがそれ以上は広がらない。

逆にWorkFlowyは再帰によって構造を生み出す。それは基本的にどこまでも続く。これが可能なのは、WorkFlowyが見出しと内容を区別しないからだ。ある項目はいつでも内容にも、見出しにもなる。上位項目にも、下位項目にもなりうる。だから、延々とそれが続いていく。

Evernoteはノートはノートであり、ノートブックはノートブックである。それがある種の固さの原因でもある。

Ulyssesは、グループを再帰的につなげていけるが、シートをグループにすることができないので、そこで内容と見出しは固定されている。Scrivenerも、ファイル(あるいはフォルダ)を再帰的につなげていけるが、内容がそれらの見出しになるわけではない。また、ファイルがScrivenerのプロジェクトファイルになるようなこともない。ある種の上限がそこにはある。

Scrapboxは、そうした構造からは一番遠い存在だ。Evernoteのようなノートブックすら存在しない。ある意味で、Scrivenerのプロジェクトのような感覚だが、それでもプロジェクトを飛び越えたリンクが作成できる点が違いと言えるだろう。

複数の項目

EvernoteとScrapboxは、情報の閲覧はそれぞれの情報単位1つに限られる。1つのノートを開く、1つのページを開く。以上だ。

WorkFlowyは、画面サイズが許す限りにおいて、各項目とその内容を表示できる。また、項目の開閉で表示を制御することもできる。ScrivenerとUlyssesは、複数の項目を選択することで、統合した一枚のビューで表示できる。これはWorkFlowyとは少し違っていて、あまり断片操作向きではないが、それでも俯瞰には多少役立つ。

プロセスの特性と断片の扱い

ここで前回の話が出てくる。

ライティングは、構造性が強く志向されるストラクチャーライティングもあれば、自由気ままに書き出されるフリーライティングもある。

そして、プロセスの初期段階ほどフリーライティング的な要素が強くなり、末期段階が近づくにつれストラクチャーライティングの要素が強まる。位置が重要となり、一貫したテーマが重要となり、断片の中身が大きくなり、断片の中身がなかなか入れ替わりにくくなる。

つまり、ライティングの性質により、断片の扱い方が変わってくる。その変化が、ツールの適性をも変化させる。ある段階ではメリットだったものが、別の段階ではデメリットになることもあるし、その逆も起こりうる。

むしろ、何かしらのツールがとあるライティング・プロセスに特化を見せれば見せるほど、逆の性質のライティング・プロセスでは動かしづらさを感じてしまうことだろう。それはトレードオフだから当然であろう。

よって注意すべきは、そのライティング・プロセスにおいて「どのようなサイズの断片が必要なのか」「それらはどれくらいの頻度で入れ替わるのか」「内容が見出しに、見出しが内容になることはあるのか」「情報的構造はどれだけ強く必要なのか」といったことを見極める点だろう。自分がそこでどのような断片操作(情報的操作)を行いたいかを考え、それに見合うツールを選択する。それが必要となる。

という話は、既存のツールベースの話である。では、上記に欠けたものはなんだろうか。それについては次回に話を回そう。ここからが、いよいよ本番である。

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Rashita
物書きをやっております。実用書から小説までなんでもござれのハイブリッド物書きです。 ライフハックや仕事術、知的生産などに興味があります。

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