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アイデア、問題解決、ライフハック その1

Posted on 2017 年 11 月 27 日 by Rashita
問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール

アイデア大全――創造力とブレイクスルーを生み出す42のツール

『問題解決大全』というタイトルを見て、驚いた。なにせ前著が『アイデア大全』である。

私の中で、アイデアと問題解決はほとんどイコールである。アイデアとは問題解決のことだ、くらいに言い切ってしまってもいいような感触がそこにはある。

だからこそ、「発想法」というものが、広告系ビジネスパーソン以外でも広く有用に利用されうると考えているし、その視点での情報発信も行っている。「発想」によって生み出されるものの斬新さに価値があるというよりも、そのような頭の動かし方に、生活全般に関するキビキビとした所作が詰まっているように感じるのだ。

■

「問題」が問題として厳然として存在している、ということは、既存の方法ではうまくいかない何かがそこにあることを示す。なにせ、既存の方法で不都合なく状況が進行するなら、「問題」が認識されることはないからだ。

その不都合は、新しい状況の発生によってかもしれないし、既存の方法の経年劣化によるものなのかもしれない。ともかくとして、状況と方法のペアに、食い違いが起きている。それを正すのが、問題解決であり、それを見つけようとする心の動きが、(私の中では)アイデアであった。

■

『問題解決大全』は、少し違う視点を示す。

たとえば、既存の解決方法を狩猟する「09 文献調査」には以下のようにある。

問題解決には、アイデアとは異なり、新奇さは必ずしも要求されない。創造的であることも必須ではない。問題解決と発想法は重なる部分も多いが、この点が異なる。

なるほどな、と膝を打った。私の認識では、既存の解決方法が存在しているならば、それは「問題」ではない。もう一度確認すると、状況と方法の食い違いが「問題」なのではあるが、別の方法がすぐに取り替えられる場所にあり、それで解決するなら、それは「問題」ではないのだ。

たとえば、鍵束があるとしよう。普段使っている鍵を取り出してドアを開けようとするがうまくいかない。それで、鍵束についている他の鍵を試してみたら、うまく開いた。このような場合、実は一つひとつ鍵を試していくその過程こそが、広い意味での「問題解決」なわけだが、私はそのように認識していなかった。

さらに「09 文献調査」から引用してみよう。

伝統的な問題解決の研究には、1つの前提がある。
それはルーティンワークで解決可能な問題や、すでに確立された解決法があり問題解決者がそれを知っている場合は、研究対象にならないことだ。つまり何らかの意味で創造的な問題解決にその関心は限定されている。

まさしくそのとおりであろう。私の場合、「問題解決者がそれを知っている場合」の、「知っている」の領域が凄まじく広いことになっていた。知識や情報がパッケージされたコンテンツがあり、その存在を知っていること、あるいはそれが存在するであろうと予想できることもまた、「知っている」に含んでいたのだ。言い換えれば、記録を一つの道具として捉えることで、それを利用者の一部としてしまっていた。

だから私が『問題解決大全』を執筆したとしたら、ほとんど間違いなくこの「文献調査」の項目は入らなかっただろう。それは別に、文献調査を軽視しているわけではなく、むしろまったくその逆で、ほとんど当たり前のことだと考えているからだ。そして、そういう(当人にとって)「当たり前」のことは、技術として明文化されにくいし、それは広範囲の伝達を困難にする。

『問題解決大全』が、創造性を必要としない問題解決も拾い上げ、むしろ各方面での「当たり前」を丁寧にさらっていることは、『知的生産の技術』において梅棹が、研究者にとっての基礎的な技術を本の形で(当初は連載の形で)開示してみせた意義に重なる部分があるだろう。もう少し言えば、現代のライフハックが「ちょっとしたテクニック」を主軸にしていることとも重なる。

知的生産の技術 (岩波新書)

ライフハック大全―――人生と仕事を変える小さな習慣250

「ちょっとしたテクニック」は、他者が取り組みやすい点にも意義があるが、それ以上に「当人にとっての当たり前」に限りなく隣接できる点がポイントである。『ライフハック大全』のハック037は「ATOKやTextExpanderに「よく使う文章」を登録」であるが、こんなことは、別段ドヤ顔で語ることではなく、同じことをやっている人にとってみれば、「はいはい、やってるやってる」と感じる程度のテクニックだろう。でも、だからこそ、それが前に出てくることが大切なのである。

ドヤ顔で語られるテクニックは、当人が「問題解決」だと強く認識しているものであり、それはもちろん有効なのではあるが、その後ろに語られないたくさんの、そして基礎的なテクニックがあることも、我々は注意を向けるべきだろう。

■

話を少し戻そう。

状況と方法のミスマッチによって不都合が生じているときに、それを解決するのがアイデア=問題解決だと書いた。

それはつまり、当事者にとって不都合が認識されていることが前提となっている。たとえば、入力項目が多くてイライラする→自動化で省力化を実現、という流れは問題解決なわけだが、ここには「イライラする」という一つの認知が発生している。しかし、必ずそうなるとは限らない。

おそらくこの「イライラする」という心の動きには、「本来はこうであるべきではない」という信念がバックボーンにあるのだろう。もし、インシュアラーのような心持ちを持っていれば、入力項目が多くてもイライラしないはずである(あくまで予想に過ぎないが)。

Excelに項目を入力し、その縦の数値を電卓に打ち込んで合計値を計算している人は、別にその行為にイライラしていないはずである。それが「当たり前」だからだ。しかしその姿を、sum関数を知っている人が見れば、あるいはコンピュータ機器は計算の自動化に貢献すべきだという信念を持っている人がみたら、きっとイライラするに違いない。

つまり、すべての問題解決の道のりは、問題の発見・認知・確認・設定が第一歩目となる。この点が、アイデアとの微妙な差異でもある。

(その2につづく)

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