0-知的生産の技術

アイデア・マネジメント3.0の困難

アイデア・マネジメント4.0の続き。

アイデア・マネジメント1.0は、着想や外部情報を記録することが主眼でした。ともかく記録化して保存すること。で、その利用法としては「後から見返すこと」がほとんどだったでしょう。

アイデア・マネジメント2.0では、情報をデジタル化したことでその再利用や編集が圧倒的に容易になりました。アイデアをより「使える」ようになったわけです。さらに機器が進歩したことで、データを大量に保存できるようにもなりました。CD-ROM一枚でも、テキストファイルであれば圧倒的な、それはもう圧倒的な量の文章を保存できます。

基本的に、この1.0→2.0の流れは好ましく、また管理しやすいものだったと言えるでしょう。それにアイデア・マネジメント1.0の時代は悠久のときを経てきたので、さまざまなノウハウも蓄積されていました。それが役に立った部分も大いにあるでしょう。

翻って、アイデア・マネジメント3.0の到来です。これはもう、一言でいってしまえば「やばい」です。何がやばいかと言えば、情報量がやばいです。家でワープロ専用機(タイプライターでもいいです)のキーを叩いているときと、こうしてネットにつながったパソコンのキーを叩いているときに入手可能な情報量の差を考えて見れば、もう月とすっぽん、万里の長城と公園の砂場遊びみたいな違いがあります。しかもそれが常時接続されちゃったものだからもうたまりません。

溢れかえる。

おそらくそう表現しても問題ないでしょう。

ここでの課題は二つあります。一つは、アイデア・マネジメント2.0から3.0への変化があまりにも性急だったこと。「気がついたら」という表現がぴったりかもしれません。少なくとも、1.0から2.0へ移行したときに比べれば電撃作戦のような速度感だったでしょう。そして、もう一つの課題が、断絶です。簡単に言えば、アイデア・マネジメント1.0や2.0で培われてきた管理手法のノウハウが、3.0以降では通じないのです。

アナログであってもデジタルであっても、ごく限られた量の情報を扱うのと、ほとんど無限に等しく、しかも刻一刻とその量が増えている情報を扱うのでは大きな違いがあります。前者は閉じた系であり、後者は開いた系です。二つの手法は非連続だと考えた方がよいでしょう。アイデア・マネジメント2.0のやり方を少し増強すれば3.0に対応できる、といったものではないわけです。

むしろ後者ではまったく新しいアプローチが求められるかもしれません。過去のやり方を引きずることが足かせになる可能性すらあるでしょう。

いつの時代であっても、「情報」というものの本質は変わりません(定義から言ってそうなります)。

しかし、情報を取り巻く環境が変化するならば、その取り扱い方にも変化が求められますし、情報によって刺激を受けるアイデアもまた同様でしょう。

でもってさらに、アイデア・マネジメント3.0から4.0への変化となると、「私たちはなぜアイデアを管理する必要があるのか」「人間にとってのクリエーションとは何か?」といった問題にまで向き合う必要も出てきそうです。

もちろんそれはたいへん興味深い問いではあるのですが、とりあえずは3.0の困難をクリアにしておきたいところです。

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