Scrapbox企画:第一回:Scrapboxとは何か

Scrapbox企画の第一回目です。

今回は、話の大元となる「Scrapboxとは何か」について考えてみましょう。

Scrapboxとは何か

ざっくり言ってしまえば、wikiです。

カード型の、ビジュアル重視の、便利な記法・入力方法を持つ、リアルタイム複数人編集もばっちりな、wikiです。

ここで話は「wikiとは何か」という下の階層にガッチャンコと分岐していくわけですが、さすがに込み入ってくるので(※)、パソコン・インターネット初心者向けに、「ウィキペディアってあるでしょ。ああいうの」という説明でお茶を濁しておきましょう。これなら、広く伝わるはずです。
※込み入った解説はまた別のところで書きます。

Evernoteが、「自分情報のGoogleを作るもの」だとするならば、Scrapboxは、「自分用のウィキペディアを作るもの」だと位置づけられるでしょう。

つまり、広い意味での「情報整理ツール」です。

Scrapboxとは何ではないか?

しかし、”広い意味での「情報整理ツール」”とは何も言っていないに等しい物言いです。EvernoteだってWorkFlowyだってGoogleだってWordやExcelだって、「情報整理ツール」と言えば、「情報整理ツール」なのですから。

よって、ここでは、Scrapboxは何ではないのか?について考えてみます。それで、ある程度は絞り込めるでしょう。

まず、Scrapboxは、パーソナル・ライブラリではありません。もう少し言えば、Evernoteのように仕事の情報からプライベートのTodo、取り扱い説明書のPDFやら、Webクリップやいろいろなファイルやメールなどを雑多に詰め込んで管理するためのシステムではありません。もちろん、そのように使えないわけではないにせよ、このツールの特性を十全にいかしているとは言い難い使い方です。

さらに、それと関連することですが、このツールはワンアウトラインの思想(≒ポケット一つ原則)にも基づいていません。WorkFlowyはファイルを持たず、すべてを一つの大きなアウトラインで管理することになりますが、Scrapboxは複数のプロジェクトを作りえます。でもって、そうした方が使い勝手は向上するでしょう。

もっと言えば、Scrapboxはアウトライナーでもありません。ここでもまた「アウトライナーとはなんぞや?」という難しく面白い話が持ち上がるのですが、その辺は以下の記事にパスするとして、

私的「真のアウトライナー」

話を続けると、Scrapboxにもアウトラインを操作する機能はありますが、だからといってこれをアウトライナーと同じものとして捉えることはできません。

アウトライナーは、一つの大きな塊を細かく分解していく機能と、細かい塊の集まりから一つの大きな塊を構築していく機能を持ちますが、Scrapboxは特に後者の機能をまったく持ちません。むしろ、一つの大きな塊(再帰によって形成される階層構造化された情報形態)など必要ないのではないか?という強い思想すら感じます。

むろん、Scrapboxでもメモを集めて文章にすることは可能ですが、『アウトライナー実践入門』で語られているような〈シェイク〉、つまりボトムアップとトップダウンの「行ったり来たり」を繰り返すことにより、徐々に全体の構造を作り上げていく、といったことに向いたツールではありません。言い換えれば、そうした目的のために機能が調整されたツールではない、ということです。

総じて言えば、Scrapboxは今人気になっているいくつかの情報整理ツールとある程度の共通項は持つものの、基本的にはまったく違うツールである、ということになります。だからこそ、EvernoteやWorkFlowyを使っている人でも、Scrapboxに注目する理由があるわけです。

では、実際にScrapboxはどんな特徴を持つのか。それについては次回に書いてみましょう。

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