本書は有名ブログ「Zen Habits」の管理人である「レオ・バボータ」氏によって書き下ろされた本である。「Zen Habits」は私もフィード購読しているが「シンプルかつ生産性のある人生」について書かれた記事は興味深いものが多い。
減らす技術 The Power of LESS |
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有枝 春
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2009-08-05 おすすめ平均 |
この「減らす技術」はそのブログのエッセンスを抽出したものであり、自分の周りにある「もの」を減らすことの効用、実際の減らし方について書かれている。
この本は以下のような人にオススメ
・ほとんど何も置かれていないシンプルな机にあこがれを感じながらも、現実の自分の机をみると絶望してしまう人
・情報を追っているつもりが、いつの間にか情報に追いかけられ、そのことに強いストレスを感じ始めている人
・目標を立てるのは好きだけれど、結局いつでも途中で挫折してしまい、「自分には目標を実現させる力がないんだ」と落ち込んでしまっている人
どんな内容か?
主なポイントはもちろん「減らし方」ではある。しかしその前提として自分自身の価値観を再考するという作業が必要であることは明確だ。
何を捨て、何を残すかという判断は自分自身の価値観が分からなければ適切に行うことはできない。そういった意味でこの本のテーマは「捨てる技術」でもあるが「自分の価値観を発見する技術」とも言える。
自分の価値観を発見し、そこに軸足を置くことでその他一切の物から距離を置く。とてつもなくシンプルである。しかしシンプルさは時として強い力を持つというのはヘミングウェイの文体を持ち出すまでもないだろう。
仕事に追われ、まるで仕事中毒になっている人には以下の文章が処方箋になるのではないか
「数え切れないほどの仕事をこなした」ことは「意味あることを成し遂げた」こととはイコールではない。(p25より)
いかに多くの仕事をしたといきり立っても、自分にとって意味のないことであれば単なる消耗だ。心の奥の部分でその消耗に気づいていながらもそのラットレースから抜け出すことができない。心の不安は積もり積もっていく。そしてその不安感から逃れるためにまた意味も見いだせない仕事に打ち込んでいく。
もうそろそろそういった生活とはおさらばしたいと思っているならば、この本を読むことから始めてみてもよいだろう。何の効果が無くても1500円と数時間を失うだけだ。そして何かを得られる可能性の方がずいぶん高いと私は思う。悪くないオッズではないだろうか。
追記
本書で触れられているプロジェクトの管理についてはGTDが、最優先させるタスク(MIT)についてはファースト・タスクが参考になると思われる。以下の書籍なども参考に。
参考サイト
Zen Habits
参考書籍
GTDについて
はじめてのGTD ストレスフリーの整理術 |
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田口 元
二見書房 2008-12-24 おすすめ平均 |
ファースト・タスクについて
マニャーナの法則 明日できることを今日やるな |
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青木 高夫
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2007-04-05 おすすめ平均 |
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