7-本の紹介

書評 すごい言葉(晴山陽一)

しかし「すごい言葉」とは思い切ったタイトルである。すごいというのは個人的な印象であり確かにインパクトもあるが本当にすごいかどうかは読んでみるまでは分からないし、読んでみて、「すごく」無かったら残念感で一杯になってしまう。

すごい言葉―実践的名句323選 (文春新書)
すごい言葉―実践的名句323選 (文春新書)
文藝春秋 2004-10
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おすすめ平均 star
star結構おもしろ。
star読みやすい。人生訓として。
starあんまり知らない名言集

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似たようなネーミングに「おいしい牛乳」というのがある。これもかなり思い切った名前で商品名に「おいしい」と銘打っている以上おいしくないと詐欺である。もちろん実際に飲んだ人のアンケート結果に由来してのネーミングなのだろうが、よほど中身に自信が無いと付けられない名前である。

では、この「すごい言葉」も自信がある内容が書かれているのか?答えは限りなくイエスに近いところに落ちつくだろう。なにせ「名言集」である。名言を集めた以上内容が「名言」程度以上であることはほとんど担保されている。しかし、何が名言なのかというセンスが問題になってくる。

この点この著者はこのすごい言葉の選定の基準を著者自身のセンスに合わせている。
「はじめに」より引用すれば
 

私が自分の手で丁寧に掘り起こし、ほこりをぬぐって、ひとつひとつ陳列台に並べたのが、本書の「すごい言葉」たちである。

つまり、すごいというのは一般性を帯びたものではく、著者に取って「すごい」という印象を持つ言葉ということだ。
これはこれで一つの試みであろう。一般的に有名な言葉ならばすでに多く集められ、語り尽くされている。著者自身の基準で選んだとしても多くの言葉はすでに有名であろうが、まったく存外な拾い物が他の人でも見つけられるかも知れない。

そのような基準で選択されているので格言・引用文として名高い聖書、シェークスピア、ゲーテなどの言葉は入っていない。そのあたりの一般的な名文集を求めているならばやや物足りない感じがするだろう。逆にそういったものは見飽きた、ちょっと違った視点のものが見たい、という方にはちょっとした刺激になるかもしれない。

なににせよ、言葉というのはとてつもない力を持っている。人間の情報を構成しているのは基本的に「認識」という一つの型だ。そして型は言葉によって定義され、また言葉によって変化する。

人生観でも恋愛観でも政治でも、それらを適切に、または皮肉な視点で現実を切り取った言葉は我々に強い印象を与えるものである。
そういった言葉に次々と触れていくのも、一冊の本を読むのとは違った楽しみがある。

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