断片からの創造

デジタル情報カードの特徴:デジタルカードツールとそのメソッド

デジタルツールとしての情報カードの特徴について考えてみよう。

実際に存在するツールの話ではなく、あくまでモデルとしてのデジタル情報カードが、アナログのそれとどのような差異を持つのか、という話だ。

デジタル情報カードの特徴

-編集容易
 -デジタルデータなので後からの内容修正が容易である。修正テープや消しゴムような特別な道具は不要。
-低コスト
 -1枚あたりの作成コストが極めて安い。テキストファイルデータならほぼただみたいな量しかハードディスクを占拠しない。
-大量保管
 -作成した枚数に直接比例する形で物理的スペースを占拠することはない。大量に保管ができる。
-クラウド
 -サーバーにデータがあるなら、広い端末からデータにアクセスできる。紙のカードのように持ち歩かなくてもいい。
-入力許容量の大きさ
 -紙の情報カードには書き込める文字数が限定されている。デジタルならばそれはない。ただこれは良い面と悪い面がある。
-メタ情報の入力補助
 -いちいち入力した日付を書き込む必要はない。書き込む場合でもショートカットが利用できる。
-記述以外の入力
 -音声入力でカードを作成できる。
-「読む」以外の表現
 -自分でカードを読まなくても、パソコン等の読み上げ機能でカードを読み上げさせられる。
-データの移動
 -作成したカードを他のツールに移し替えることができる。
-データの移行
 -他のツールからのインポートもできる。
-データの変換
 -カード形式以外の表示形式を選べる。ライン型やマインドマップ型、その他いろいろ考えられる。
-コピー
 -複製を作るのが容易。低コストと合わせてバックアップがいくらでも作れる。
-検索
 -全体を対象とした検索が行える。メタ情報についても検索できる。
-リンク
 -カードとカードの接続をリンクで表現できる。
-ソート
 -任意の順番でソートできる。メタ情報がそのキーとなる。
-ランダム性
 -無作為な順番で並べることができる。
-状況復帰
 -散らばったカードを片付ける手間が必要ない。
-最大可視枚数
-一覧できるカードの枚数が、ディスプレイの大きさに制約を受ける。
-レイヤー
 -カードを並べる平面を層にできる。

ざっと書き並べてみたわけだが、ようするに大半はデジタルデータの特性である。では、「情報カードの運用」という点において重要なのはどれだろうか。

まず、低コストかつ大量保存が可能であり、クラウドである、というのは大きい。カードは蓄積してなんぼ、見返してなんぼなところが少なからずあるのでこの特徴は長所である。

一方、入力許容量の大きさはどうだろうか。書き込める文字数に上限があることは、必ずしもデメリットとは言えない。有限化の装置として働くからだ。Twitterが書き込みやすいのもこの点が影響している。ただしそれはUIの問題とも言える。いくらでも書き込めるが、いくらでも書き込めるようには見えなければ済む話かもしれない。

それ以外で重要なのがデータの変換である。デジタルなのだから、カードの大きさはいくらでも自由に変えられる。それと同様に見え方も変えられる。カードをより付箋っぽくしたりもできるし、逆に箇条書きリストのようにしてもいい。さらに言えば、単一のデータを保持し、それをもとにレンダリングするのであれば、ノードっぽくしたり、VR図書館みたいなものを生成してそこを歩き回ったりできるはずだ。

小さい例なら、普段は縦一列の並び替え可能レイアウトで、ときには行列形式の自由配置レイアウトになる、という変更が可能であればもっともっと私たちはカードと「遊べる」ようになる。z-indexをメタ情報として添付すればレイヤーが表現できるし、リンクがあればノードも作れる。カード一つひとつをオブジェクトとして捉え、それを配置して遊ぶタワーディフィンスを作ってもいい。あるカードに含まれる単語が、他のカードに向けて自動的に射出されて、それを受けたカードは「突然変異」してしまう、といったこともできる。

この領域には本当に広大なアイデアが眠っている。しかし、現実に作られているのは単なる付箋メモのデジタル版である。世界の空想力はどこにいってしまったのだろうか、と訝しみたくもなってくる。

もう一つ、案外ばかにならないのが作成方法と表現方法の拡大である。音声入力でカードを作成するのは昔の文豪っぽい雰囲気がするものだし、何より楽チンだ。流れとリズムのある文章を音声入力だけで紡ぐのは至難のわざだが、断片的なメモならばへっちゃらであろう。が、それ以上に面白いのがテキストの読み上げである。

ちょうど昨日、自分のtextLineをChromeで読み上げさせてみた。こういう言い方をすると大変申し訳ないのだが、しょーもないことしか言わないラジオやテレビよりもはるかに面白かった。「ながら」に最適なBGMである。もしかしたらアイデアも閃くかもしれない。

デジタル化によってカードを大量に作成できるようになった。音声入力や他のツールからのインポートで作成の省力化も進められる。一方、私たちの時間は有限であり、注意もそんなにたくさんのところには向かない。作られたカードの数に対して、それらのカードを「くる」時間は圧倒的に不足している。だからこそ、デジタルの力をより使ってみたい。

カードの読み上げはまさにその一例だが、データを簡単な形式で保存してあるなら、ランダムにそこから一つ選んで定期的にtweetするbotを作ることもできるだろう。他にも私には思いも寄らぬ手段で、カードたちを私たちの日常に「忍び込ませる」ことができるはずだ。

ポイントはデータ保存の共通的な形式だろう。断片的なメモで「遊ぶ」上ために必要なデータがまとめられた形式。それができれば、次はそうしたデータでいかに「遊ぶか」という話に進められるかと思う。

とりあえず、デジタル情報カードの可能性はまだまだ広い。少なくとも、私はそう考えている。

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