断片からの創造

Google Keep とtextLine:デジタルカードツールとそのメソッド

情報をカード的に並べ、それらを後から入れ換える、という機能でみると、Google Keepが候補に挙がってくる。textLineと比較してみよう。

2type view

Google Keepは二つの表示を持つ。ギャラリー表示とリスト表示だ。

ギャラリーモードは横に並べたものを折り返して表示する。要素はカード型であり、本文の長さによってheightはかなり変化する。

リストモードは縦一列に並べたものでtextLineに極めて近い。要素はライン型であり、文字数の多少の増減はheightにそれほど強い変化を与えない。

ご覧の通り、ギャラリーモードの方が一画面に表示される要素の数は多い。ライン型に比べて無駄な空白スペースがないからだ。その分、せせこましい感じもする。単にメモの利用ではなく、「断片からの創造」ということを考えてみた場合、どちらが良いのかは少し考えた方がいいだろう。

植物を植えるときなどは、あまり密集して種をまくようなことはしない。もしかしたら、アイデアツールでも似たようなことはあるかもしれない。

とりあえず、個人的にはラインモードを好む。ギャラリーモードだと入力内容に応じてカードのスタイルがずいぶんと変わってしまうからだ。特に要素本文のフォントサイズが変わってしまうのはいただけない。カードをパラパラと見返していくときに、認知的な阻害要因となってしまう可能性がある。

多様な要素

あまり使っていなかったので知らなかったのだが、Google Keepはいろいろなものを要素に放り込める。テキストは当たり前だが、画像もOKで、URLはきちんと展開してサムネイルを表示してくれる。iOSアプリからだと手書き入力も可能である。

要素内にリストを作ったり、チェックボックスを埋め込むこともできる。リマインダーも設定可能で、背景色も変えられ、要素ごとに共同編集者を設定することもできる。アンビリーバボ。

が、断片からの創造的にそのようなものはどれだけ必要だろうか。

情報カードにだってイラストや図解みたいなものは描く。そうしたものは必要かもしれない。が、それ以外は「メモ管理」ツールとしては必要だが、私が求めているツールには別段必要ではない。

でもって、そのような機能を使えるようにするために、機能ごとのアイコンが要素の下に陣取っている。おかげでリスト表示での一覧性もやや低下している。いくつか要素を並べてみてスクロールしてみると、アイコン領域の空白から「これ、いらんな」という感じを受けてしまう。

必要な機能ならば仕方がない。でも、そうでないのなら無いほうが好ましい。

モーダルとモードレス

おそらく一番大きいのが入力時のスタイルだろう。

Google Keepでどれかの要素をクリックすると、以下のようなモーダル状態となる。

欄外をクリックするか、「完了」を押せば元の状態に戻る。

自分も似たようなツールを作っているので、こうなるのは理解できる。書き込み可能なdiv(contenteditable=”true”)だと、clickイベントなどが非常に扱いにくくなる。せっかくURLをリンク可能な形式にしても、クリックできなくなるのだ。だから閲覧と編集状態を切り分ける。

別段不便はない。どうせ入力するにはフォーカスを合わせるためにクリックする必要がある。そのタイミングでcontenteditable=”true”なdivにすればいいのだ。

私も同様のことを考えて、二つ前に作った7wrinerではeditモードとnormalモードを分けた。前者は内容修正、後者は閲覧及び移動を行うモードだ。

このこと自体に別段不便はない。たしかに情報を扱う上での姿勢にはいくつかのパターンがあり、それを切り替えることは難しいことではない。特にそれぞれの内容が独立的ならばなおさらだろう。

しかし、断片からの創造であればどうだろうか。

いや、そもそも、私たちはそうでないツールをどれだけ触ったことがあるだろうか。複数の要素が一列に並んでいながら、それぞれの要素を編集するときに、独立表示にならないもの。要素がフラットに「並んでいる」だけでなく、それを「扱うときのモード」もフラットなもの。

そう。アウトライナーだ。あれはまさしくそういうツールである。

Evernoteのどのビューでも、リスト表示上で編集することはできない。Scrapboxもページを表示させなければならないし、Ulyssesだって移動を管理する領域と本文を編集する領域は別のものだ。

それが明確な「プロジェクト」を持つものであれば構わない。プロジェクトとは一つの心の姿勢のことであり、固有のモードを形成しうる。それらを切り替える所作は無用でないばかりか、有用ですらあろう。が、断片的メモは、そのような指向性をいまだ持たないものたちである。

だったらむしろ徹底的にモードを排除したツールの方が扱いやすいのではないか。つまり、プロジェクトも作らず、かつ編集のためのモードも持たない。単に書いて、単に書き加えられるだけのツール。余計なものが表示されないツール。

それが本当に好ましいツールなのかどうかはわからない。なにせそういうツールをこれまであまり触ったことがないのだ。

だからtextLineは、ほとんど機能がない代わりに、よけいなものがほぼ表示されない。カードが並んでいるそのままの状態で編集できる。ノートブックリストもなし、階層移動もなし、編集モーダルもなし。新規追加と編集と移動が、まったく同じモード平面で行えるようになっている。

唯一アウトライナーとの違いは、行単位ではなくカード単位、つまり「タイトルと本文」が常にワンセットになっている点だろう。アウトライナーはさまざまな情報を扱うので行単位の方が良いわけだが、私が自分で作っているツールはすでに扱うものが限定されている。だからカード単位でまったく問題がない。そもそも行単位の操作が必要ならばWorkFlowyを使えばいい。棲み分けは重要だ。

さいごに

それはそれとして、改めてGoogle Keepを触ってみたのだが、すごく良くできているツールであると感じた。単にメモの管理だけならばこれで十分だろう。むしろ、このツールのUIを研究してtextLineに反映させたいくらいである。

が、今私が切実に求めているのは「メモ管理ツール」ではない。断片からの創造のためのツールだ。はたしてそれは、どんな形をしているのだろうか。その感触を少しずつ確かめているところだ。まったくもってtextLineが最終解だとは思っていない。

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