0-知的生産の技術

使用済みを残すか消すか:デジタルカードツールとそのメソッド

今回考えたいのは、使用済みのカードについてだ。

textLineは、現状「削除ボタン」はついているが、それ以外はない。

はたして、それでよいのだろうか。

カードの顛末

アナログのカードシステムの場合、たとえばPoICであれば、再生産に使われたカードは「お役御免」となりドッグから排除される。

そうした「カード増加」→「再生産」→「カード排出」のサイクルを回すことで、ドッグ内のエントロピーを一定の幅に保つ、というのがPoICシステムの肝であろう。

仮にカードを捨ててしまっても、再生産した何かに情報は含まれている。参照の必要が出てきたら、カードではなくその再生産したドキュメントを参照すればよい。不備はない。

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まったく同じように考えるなら、デジタルカードでも使用済みのカードは削除してしまって構わないだろう。

が、それ以外に選択肢はないのだろうか。

使用済みのカードをドッグから捨てるのは、そうしないとドッグが膨れあがるからだろう。物理的カードは場所を取るし、PoICシステムは手動でカードを探すので、「使い終わったカード」をそこに置いておくのは効率が悪い。だから、ドッグ外に放出する。

しかし、デジタル情報カードなら、他にも選択肢は出てくる。たとえば「アーカイブ」がそれだ。

メインのカードラインから移動させて、「アーカイブ」用のラインに保存しておく。普段アーカイブの中身は見えないが、何かしらの操作で使用済みのカードが一覧できる。

あるいは、タスク管理ツール的に表示を切り替えてもいい。つまり、一つのカードラインにおいて、「done」したものを表示する、表示しないを切り替えられる、ということだ。

他にも何かしらアイデアはあるだろうが、それより考えたいのは、「そうして残す価値があるのか」ということだ。コスト的に残すことは問題ない。だからといって、残すことが善であるとも言えない。

先ほど書いたように、カードの情報を参照したければ、再生産したドキュメントを参照すればいいの。だったら、カードラインと、ドキュメントラインを持てば、万事OKなのではないか。

ここが今回の肝である。

「あることに使った素材は、別のことの素材にはならないのか」

言い換えれば、

「使用済みのカードは、別のカードと別の結びつきをしないのか」

である。

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情報のネットワーク構造を考えれば、上記の問いは「別の結びつきをしうる」となるだろう。

すべては断片であり、全体の作り方はさまざまあるのだから、ある意味平面でグループAに属しているものが、別の意味平面でグループBに属することは十分考えられる。

その点を考慮すれば、使用済みのカードは削除もアーカイブへの移動もせず、そのまま置いておけばよいのではないか、せいぜい「どこで使った」を明記すれば十分ではないか──そういう考えが頭を過ぎる。無限への憧れだ。そしてそれはイカロスの翼でもある。

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たしかに、一度使った素材が、もう一度別の場所で使われる状況を想像するのは楽しい。むしろ生産的であるとすら感じられる。

それを極端な状況で考えてみよう。

たとえば、あなたの16歳から80歳までの着想が、使用・未使用に関わらずすべて一つのラインに並べられているとしたら。

おそらく世界遺産みたいに素晴らしい景色が広がるだろうし、そこでは複数のアイデアが多重のネットワークを形成し、とんでもない数のアウトプットを要請してくるだろう。

それにあなたは対応できるだろうか。もちろん無理だ。

アイデアは無限に広がるが、人間は有限の存在である。射程を「人類」に変えれば、その限界はかなり拡張されるが、今考えているのは「私のメモのシステム」である。よって、そこでは限りある人生でのアウトプットが念頭に置かれなければならない。
※アウトプットを考慮しないなら上記の「トータルリコール的メモシステム」の方が優れているかもしれない。

つまり、カードラインに全カードを置いておき、芳醇なネットワークを形成させたとしても、それらすべての切り口をドキュメントとして生成させることはできない。むしろ、その可能性の多さに押しつぶされる未来がイメージできる。

だからカードは消さなければならない。少なくとも、視界からは。

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となると、デジタル情報カードシステムでは、使い終わったカードは「アーカイブ」に移動させるか、あるいは完全にカードを消してしまう代わりに、再生産されたドキュメントにアクセスできるようにしておくのが望ましいだろう。

データの保存量に制約があるなら後者だが、テキストファイルなら気にする必要はない。見えないところに削除済みカードをすべて保存するのも余裕である。

では、どちらがよいか。それについてはまた次回検討しよう。

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