0-知的生産の技術

「時間」を使って、時間を作り出す

最近アイデアマラソンを実行していて、転記というプロセスが持つ重要さを改めて認識している。

毎日思いついた事をルーズリーフ用紙に記入していき、週次レビューでそれを見直し、タスクやアイデアなどに分けてそれぞれの管理するアプリに記入する、というシステムを実行している。例えばタスクならば直ぐにタスク管理アプリにいれ、アイデアならEvernoteに直接入れてしまうのが効率としては一番良い。

しかし、しばらく手書き環境にいた経験から「転記」はした方がよい、という実感があった。故にiPhone導入後でEvernoteがいつでも使える環境でも、家でPCの前にいるときでも出来る限りルーズリーフ用紙を使ってアイデアを書いている。

iPhoneでEvernoteに書き込む時も、ジャンルごとのノートブックではなく「Inbox」という一時保管のノートブックに入れて週次レビューでそれを見直すようにしている。

先日当ブログのコメントでアイデアマラソンの考案者である樋口氏からも転記の重要さを指摘していただいたが、まったくもって私の実感の通りであった。

私が感じている転記を行うことのメリットをすこし考えてみよう。

私が考えるに転記、特に時間をおいてからの転記というのは重要な2つの効果がある。
それは

・情報をふるいにかけること
・新しい情報を加えること

この効果が期待できる事は情報管理の視点においてかなり重要だ。

この二つはそれぞれ「違った視点で見つめること」によって起きる効果だ。

何かアイデアを考えついた瞬間というのは、興奮していて大変すごいアイデアに感じられる。でも一晩経てばどうだろうか?あるいは一週間?それだけの時間をおいてしまうと大抵の「すごい」アイデアというのは輝きを失ってしまっている。それはもうそういうものなのだ、としか言いようがない。だからアイデアなんて書き留めても意味がない、というわけではない。

時間が経っても輝きが失われていない宝石の原石をたまに見つけることがある。それは100個の中の1個かもしれない。あるいは千分の一の確率かも知れない。でもそれは大切に育てていくべきだろう。あなた自身が生み出した貴重なアイデアである。他の何にも代え難いし、そのために何でもかんでも思いついたことをメモしておく、という作業をするだけの価値は必ずある。

ここで覚えておきたいのは、「今日の自分」と「明日の自分」というのは生物学的には同じ人間ではあるが情報処理においてはまったくの別人である、ということだ。一人の人間が使うシステムで、この点が考慮に入れられていない物がたまにある。そしてそれは大抵致命的なくらい使い物にならない。

ともかく、その性質を利用して一人で第三者の視点を手に入れるという方法はコストもかからずお手軽に実行できる。使うのはただ「時間」だけ。

明日の自分が面白いと思わなかった情報はそれほど大切にする必要はないだろう。おそらくあなた以外の人間もあまり面白いとは思わないはずだ。そういった作業が一種のフィルターになる。そういう情報はとりあえず保管しておくが、それだけだ。

逆に、思いついたアイデアがまったく別の広がりを見せるときもある。冴えないちょっとした思いつきが週末に見返してみるとなにやらどんどん広がりを見せる。アイデアの思いつきから見返しの間に自分が摂取した情報が触媒になっているかも知れない。あるいは体調の良さでアイデアの広がり方が違うのかも知れない。

とにかく、見返した時点で面白かったアイデアは特別な「箱」に移し替えておくべきだ。それは特別なノートかもしれないし、特別なノートブックかも知れない。本当に物理的な箱を作ってそこに情報カードを放り込むのだってよい。何かしらの方法でそのアイデアを育てていく環境を整えていくのが賢明だろう。(参考文献メタノート参照)

環境を作れば自ずと脳はアンテナを広げて、新しい関連する情報を集めていくというのはよく知られる「スポットライト効果」である。

ともかく自分で思いついたアイデア、面白いと思った情報は寝かせておいてから見直すことによってより洗練されたものになっていく。不必要なものは格下げされ、良いアイデアは昇進する。

ただ、思いついたアイデア自体は全て保存しておくのが良いと思う。何年か先に突然、面白いアイデアになっている可能性もある。しかし目下自分が力を注いで取り組むべきことは、そのとき自分が本当に面白いと感じられたものだけにすべきだろう。でないと大切な人生の時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。

一時的に情報を捨ててしまうのは確かに惜しい気もするが、時間を失ってしまうこともそれ以上に惜しい。ちょっとした「時間」を使って人生の大きな時間を節約できるなら、悪くない交換条件ではないだろうか。

参考文献
メタ・ノートについては

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