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デジタル時代の知的生産の技術の課題

Posted on 2018 年 4 月 21 日 by Rashita

2018年の現代、デジタル技術は当たり前に使われている。そんな時代における知的生産の技術上の課題とは何だろうか。

以下の三つを挙げてみたい。

  • 大大大大量の情報の扱い
  • 見分けがつきにくい情報の管理
  • アナログならではの価値の確認

大大大量の情報の扱い

まず情報が多い。閲覧できる情報が多いだけでなく、それを自分の手元に保存できる量も多くなった。安価でスピーディー。幸せだ。

が、量が増大すれば管理する手間もかかる。紙で保存できる量でもその管理は手間だっただろう。現代デジタルの量であればどうか。

紙→デジタルの変化において、手間は大幅に削減されたが、増えた量がそれを相殺はしていないだろうか。しているとしたら、私たちは抜本的な考え方の転換を迫られることになる。

  • 情報を集めない
  • 管理しない
  • AIに依託する

情報を集めない

まずは情報を集めないことだ。もうきっぱり、あっさり止めてしまう。たとえそうしていても、洪水のように情報が流れ込んでくるのだ。その辺で満足しておく。とは言え、「情報を集めすぎないこと」は、デジタル時代以前から言われていることで、別に改めて強調するまでもないことかもしれない。

管理しない

次に管理しないことだが、これはScrapboxが目指している方向だろう。もちろん、まったく何も手を加えないわけではないが、既存の管理手法に必要なコストを激減させている。もちろんそのことによって、利用上の多少の不都合は生じるだろうが、全体でみればたいしたことではない。そうした考え方は、『アルゴリズム思考法』にも登場するのでぜひ一読されたい。

AIに依託する

でもって、AIである。人間による管理は一切やめて、必要なときにAIがサポートしてくれる方向を目指す。まあ、個人の力でどうなる話ではないが、そういう可能性も探究されると良いだろう。

大量のメモ

とりあえず、デジタルメモツールを使い始めて、10年以上も経つわけだが、それで明らかになったのは、「すべてのメモなど使いようがない」ということだ。

もちろん、保存しておく価値はある。検索によって引っ張り出せるのは強力だ。が、5000とか6000の「メモ」がぽんとそこにあるだけでは、何も生まれない。

これが5万とか6万とかになれば、さらに質的な変化(相転移)が訪れて、新しい感覚が生まれるのかもしれないが、現状わかることはとりあえずこれである。

見分けがつきにくい情報の管理

次に情報の種類である。

アナログであれば、紙切れに書かれたものは「メモ」である。それは早急な処理や転記が求められていることが、ツールを「見れば」わかる。

情報カードは、メモよりは情報が多く、またカードの厚みが中長期的に保存するべき情報であることを視覚的・触覚的に伝えてくる。

ノートはそこに連続性が加わり、ルーズリーフは操作性が加わる。

原稿用紙は、一枚あたりの文字数が設定されているので、厚みを見れば、書かれた文字数が、つまりは情報量が「見える」。

では、それらすべてを「ノート」という単位で保存できるEvernoteはどうだろうか。

上記は私のEvernoteのinboxの一部だが、どれが「メモ」でどれが「カード」でどれが「ノート」にあたるだろうか。

唯一メモだけは判別できる。一行しか書き込みがないノートがそれだ。中身を「読まなくても」わかる。言い換えれば、「見れば」わかる。それ以外は、ちょっとわからない。

すべての情報を一カ所で管理できるのはすばらしいことだ。これまでのツールが持っていたさまざまな制約を乗り越えられる。しかしそのことは、別種の混乱を引き起こしていないだろうか。デジタル・パーソナル・ライブラリを見たときの、あのなんとも言い難いもやもやとした気持ちの正体は、ここにあるのではないか。

その対抗策として、私は絵文字をタイトルに付けることで、「見て」ノートの情報の種類を区別できるようにはしているが、苦肉の策であることは間違いない。

話が交錯しているが、この点が以前「メモの処理は情報構造体のリファクタリング」の記事の最後に書いたことである。

雑多に、本当に雑多に情報を集めてしまうと、それが何なのか「見て」わからなくなるのだ。

アナログならではの価値の確認

上の点に関係することだが、デジタルツールに置き換わる中で、アナログツールが持っていた、それ自身の特性を私たちが失ってしまうのではないか、という危惧がある。

まず、デジタルツールは、デジタルツールへの統一を強く求める。その方が利便性が高まるからだ。そのことは、「多少の犠牲」があっても推進される(まるで最大多数の最大幸福だ)。

問題はその「多少の犠牲」に含まれているものが、規模としては小さくても、決して代替できない何かではないか、ということだ。情報量と物理量が関係していて、物を「見れば」情報量が分かる、というのもその一例だが、それだけではない。たとえば私はここ数年デジタルカレンダーしか使っていないが、どうも自分の「時間」の認識が変わってきている印象がある。手帳を使っていた頃は、それぞれの年に対する手帳があり、それが時間間隔と結び付いていた気がするのだが、今はそういう区切りの間隔が一切生じていない。フラットと言えば聞こえがいいが、過去を思い出すときに、どの年も非常にのっぺりとした感じを受けるのだ。

上記は、直接生産に関わる話ではないが、何かしらの感覚の変移がそこに生じているのだとしたら、アウトプットの質にも影響を与えるかもしれない、という仮説を立てることくらいはできる。

がんがんデジタルで研究を進めている人でも、やっぱり手書きノートは欠かせない、という人は一定数いて、その背景は単純な利便性だけでは測定できないのではないだろうか。

さいごに

というわけで、今回は課題を確認した。とりあえず私が言いたいのは、「デジタルになって、便利だね」という単純な話ではないだろう、という疑問である。

もちろんデジタルになって便利になったことは間違いないのだが、そこに生じている新たな問題にも目を向ける必要はあるだろう。

[筆者注]
当記事は、以下のメモ群によって構成された。あるいは以下のメモをネットワークに持つ。

新しい時代の知的生産の技術で考えること
物はサイズを持つ
原稿用紙は単位である

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