頭の中にできた建造物を運び出す

頭の中に、木でできた立派なお城が完成しました。

あなたはそれを誰かに見せたいと願いますが、そのままでは大きすぎて頭の外に出せません。仕方なく、いったん木材にバラして、耳から外へと運び出します。エッサラ、ホイサラ。

無事に運び出せたその木材を使い、あなたは自分の外にそのお城を構築します。頭の中にはぼんやりとその城の残滓があるので、それと照会しながら城を組み立てていきます。ハイ、無事完成。

あなたは誰かを見つけてこう言います。「ほら、こんなすごいお城ができたんだよ」

「へぇ〜、どれどれ」と誰かは興味を持ってくれるかもしれません。しかし、その完成したお城は、やっぱり大きすぎてその人の頭の中には入りません。しかたなく、その人はお城をいったんバラし、耳を通して頭の中へと運び込みます。エッセラ、ホイサラ。

そのとき、きっとあなたはやきもきするでしょう。なにせ頭の中に運び込まれた木材で城を建てるのは、その人であって、あなたではありません。その人の頭の中にはお城の残滓などないので、うまく組み立ててくれるだろうかと心配になります。あげくのはて、実際どんな城が建っているのかを知るすべをあなたは持ちません。これはもうやきもき案件です。

だからこそ、なるべく分解された状態でも組み立てやすいように木材を配置したくなりますし、全体の構造も、その人の記憶の中にあるであろう構造に近づけたくなります。そうすれば、わずかながらも構造再現の可能性がアップします。

とはいえ、あくまで自分は自分で、他人は他人です。頭の中に運び込まれた木材から、ぜんぜん違うものができあがってしまうかもしれません。というか、そっくり瓜二つなものができることなんて奇跡中の奇跡でしょう。せいぜい、玄関の形が似ているねとか、窓の数が一緒だった、くらいのものです。あるいは、城ではなく、井戸とか馬小屋を作ってしまうかもしれません。

でも、そう。だからこそ、この作業は面白いんです。

それはもう間違いなく。