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レベルアップとグルーピングの違い

Posted on 2018 年 7 月 19 日 by Rashita
Tag:
  • アウトライナー
  • ,
  • アウトライン・プロセッシング

レベルアップについて考える。

きっかけは以下の2エントリーだ。

『アウトライン・プロセッシングLIFE』について(4) レベルアップと収束 – Word Piece 3
レベルアップあるいは上位概念化 – 天職の舞台裏

まず、アウトライン操作の5つの〈型〉を確認する。

〈型1〉リスティング(箇条書き)
〈型2〉ブレイクダウン(細分化)
〈型3〉グルーピング(分類)
〈型4〉レベルアップ(階層を上がる)
〈型5〉ソーティング(並べ替え)

レベルアップは型4に位置する。気になるのは、型3グルーピングとの違いである。

まずその点を、『アウトライナー実践入門』を引きながら考える。

グルーピング(分類)
・カテゴライズすること
//カテゴリーやジャンルで分類すること
・共通性・類似性・親和性で分けること
//近しいものを集める
・条件で分類すること
//ある条件に「当てはまる/当てはまらない」「満たす/満たさない」などで分類すること。

たとえば、以下のような項目群があったとする。

これらをグルーピングすれば、以下のようになるだろう。

これは極めてわかりやすい操作だ。では、レベルアップはどうだろう。

レベルアップ(階層を上がる)

レベルアップは、上位レベルの階層を作ることです。グルーピングが単純な「分類」なのに対して、レベルアップはその項目を含む上位の概念を見つけます。私はこれを「階層を上がる」と呼んでいます。

説明は理解できる。場面としては以下の4つがあげられている。

・文章をとして統合する
・概要・要約する
・総括する
・上位概念を探す

ポイントは「上位概念を探す」だろうが、先走るのはやめて、ふり返ってみる。これはグルーピングとどう違うのだろうか。

先ほどのグルーピングの例では、並ぶ項目を包摂するための親項目が設置されている。これは「上位レベルの階層を作ること」ではないだろうか。

これが相対的に同じに見えるから、グルーピングとレベルアップは混同されやすい。あるいは、その差異を見て取りずらい。しかし、この二つは似て非なるものである。

もう一度、先ほどのアウトラインに戻る。今度は少しズームアウトしておく。なぜなら全体の構造が意味を持つからだ。

項目群はこのようなアウトラインに配置されていた。そして、グルーピング後はこうなる。

おわかりになるだろうか。もともとあった階層と、グルーピング後の階層(レベルの高さ)はまったく変わっていない。グルーピングはただ項目を括っただけであり、言い換えれば、元もとあった項目を下位に配置しただけなのだ。つまり、レベルアップ(≒階層を上がること)は行われていない。項目を収まりの良いように再配置しただけ、ということだ。

ここでレベルアップに関する『アウトライナー実践入門』の記述をいくつか並べてみる。

これがレベルアップになるのは、多くの場合、センテンスとして成立させるために言葉を補うからです。

概要・要約と違うのは、結果として下位項目には(見た目上)含まれていない内容が出てくる可能性があることです。

上位の概念が生まれることによって視界が開け、それまで見えなかった新たな項目が生まれます。

※強調、すべて筆者

どの文章からも、共通する匂いが感じられる。それは変化を引き寄せる匂いだ。

グルーピングは、そこに並ぶ項目を、──恣意的であれ客観的であれ──「こうであろう」とそのときに思える性質分類によって選り分けていく。それはたいていは直感的なものだし、つまり「ありふれた」「前例的」なものである。目の前にある項目からすぐに見出される属性によってカテゴライズしていると言い換えてもよい。

ここには変化はない。再配置されているだけだ。

それとは違う操作があるからこそ、わざわざレベルアップという項目が設定されている。それを象徴するのが「上位概念を探す」という表現である。その上位概念は探されなければいけないのだ。ぱっと思いつく、情報からすぐに見て取れるものではなく、直感的な自分の理解にはないものに手を伸ばしていく行為。それがレベルアップの神髄であろう。

「この項目を含む上位の概念があるとしたら何か?」

というアプローチ・クエスチョンが『アウトライナー実践入門』では紹介されているが、「氷結」という項目を「チューハイ」の項目に収めたとき、そのような疑問は一切生じなかった。「氷結」と「キリンラガー」という二つの項目が並んだ瞬間に、私の中には(目に見えない)カテゴライズが発生していて、それに合わせて項目を作っただけだ。

だからズームアウトしたときに、一つの上の階層が発生しなかったのだ。その操作の中で、新しい知見の獲得・着想の閃きなど、どこにもなかったのだから。発見なきところに、レベルアップなし。

再帰的構造ではどこを切り取っても同じだから、一つ押し下げたのか、一つ上を作ったのかの判別は原理的に難しいし、上記の例だって「単に見た目上の話でしょ」と言われればそのとおりなのだが、脳内で発生しているプロセスには明確に違いがある。

分類することと、位置づけることは、重なる部分はあるにせよ、別種の知的行為だ。そして、その時点で分類が存在しない情報を扱えるのは、後者のアプローチだけである。

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