note的、あるいはScrapbox的な情報発信

2018年〜の情報発信には、大きく二つの潮流があるように感じられます。

一つがnote的なもの、もう一つがScrapbox的なものです。

note的なものは、一つのプラットフォームにコンテンツを載せます。「独自ドメインをとって、セルフブランディング!」というような方向ではなく、皆が利用しているプラットフォームを自分も使うわけです。

じゃあ没個性的なのかというとそういうわけでもなく、そこでのコンテンツは「ストーリー」がより強く意識されます。「語り」「ヴォイス」といったものが重視されるわけです。もちろん、有益な情報を提供することはいつだって大切なわけですが、それが至上命題というわけではなく、「何を」だけでなく、「誰が」「どのように」語るかが大切になってくるのです。

これは、言ってみれば、昔のブログの「それについては俺に語らせろ!」というのを抽出したような感覚だと言えるでしょう。その代わりに、ニュース記事・速報的なものは静かになります。

Scrapbox的なものも、独自ドメイン的なものは目指しません。ただし、一つの大きなプラットフォームに皆が乗る、というものでもありません。それぞれはプロジェクト的に区分けされ、うまくいけばリンクで橋渡しされています。

Scrapbox的なものでは、「ストーリー」などは重視されません。別の言い方をすれば、ストーリーを背景にした「個」の突出は意識されません。そこで意識されるのは、部品としての知識の提出であり、それを可能とする場の生成および維持となります。

Scrapbox的なものでは、それが誰のプロジェクトであるかは(あまり)意味を持ちません。そこにどんな知識が載っているのかが重要です。そのことは、複数人による知識の提出を促進します。

個の突出が目的であれば、それぞれが駆け引きを行うことは避けられないでしょう。あるいは競争が激化し、言説が過激に傾いていくことも考えられます。

しかし、Scrapbox的なものでは、むしろ目的はそのプロジェクトを拡充させる方向に向きます。1の貢献であっても、それは貢献です。スキが一つもつかなくても、誰かに利用されうる知識を提供できれば、それで目的は達成されます。

もちろん、「的」とつけたことからわかるように、noteがこういうプラットフォームであるとか、Scrapboxはこう使え、という話をしたいわけではありません。単に、そういう異なるタイプの情報発信があるな、と観察しただけです。

それぞれのツールを使いながら逆のタイプの発信もできるでしょうし、別のプラットフォームで、この中間あたりの情報発信もあるでしょう。それはそれで全然構わないことです。

ちなみに、どちらのタイプも「アクセス数集めて広告料でがっぽり」ではない、という点は共通しています。たぶん一つの時代の流れなのでしょう。この辺の込み入った考察は、また別のところで考えてみようかと思います。

とりあえず、「ブログで情報発信」みたいなことを考えるときには、実はいろいろな選択肢があるんだよ、ということだけは言っておきます。選択肢って結構大切です。

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