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Over the territory

Posted on 2018 年 7 月 30 日2018 年 7 月 30 日 by Rashita
Tag:
  • Scrapbox

先日書いた記事でメンバーを募集したところ、さっそく20人近くの人にご参加いただけました。ありがとうございます。

考えて、生み出す技術(TAC)

「おぉ」とテンションがあがりながら、夜にしこしことページに記述を追加していたところ、トップに見慣れぬページが。そんなページを作った覚えなどなかったのですが、気分が「ページに追記モード」になっていたので、そのページを開いて記述を追記しました。

その瞬間です。ふとページの右に視線を送ると、見慣れぬアイコンが。というか、実際は私のアイコンが表示されると予想していたのですが、別の方のアイコンが表示されていたのです。そりゃページを作った覚えがあるわけありません。別の方が作ったページなのですから。

刹那、私の中に強い感情が湧き起こりました。「ああ、やってしまった。他の人が書こうとしていたページに(先回りして)書いてしまった」。そんな後悔とも失敗ともつかないような感情が噴出したのです。しかし、1.25秒後に冷静になって考えました。「いや、ここはwiki(実際はScrapbox)なんだから別にこれでいいんだよ。特に間違ったことをしているわけではない」。

そう思い直し、新しく作られた別のページにもしこしこと記述をしていった、ということが昨日ありました。

■

ポイントは、私が刹那に感じた「ああ、やってしまった」という感覚です。言葉を置き換えれば、まるで他人の領域を侵してしまったような気持ちが湧いてきたのです。

実際、ある程度使い慣れた今でも、他の人の記述部分の誤字を修正したり、リンクを追加したりするときに、若干の躊躇を感じることがあります。それは、数時間賞味期限が切れたサンドイッチを口に入れるときに感じるほどの躊躇でしかありませんが、ゼロではないこともまた確かです。

しかし、Scrapboxはそういうことに開かれたツールです。他人が作ったページにどんどん記述を追加したり、適当におちゃらけたページを作ったり、明らかな誤字をちゃっちゃっと修正したり、リンクにしておいた方がいいなと感じたものを[]で括ったり、ということを、やってしまえるツールなのです。

そういうことを頭では理解していても、体の部分では「領域」侵犯に関する感覚が立ち上がります。

たとえば、これを「オーサーの呪縛」と呼んでみてもよいでしょう。

「書き物」というものがあり、それを書いた「オーサー」がいて、その二つが密接につながっている、という感覚。おそらく近代的な人権の確立と、それを背景とした著作権の成立がもたらしてきた一つの感覚なのだと想像します。「物語」というものが、神話的に語られ、多くの語りの中で変質していくことが当たり前だったような時代には、きっと存在しなかった感覚でしょう。これを昨今のOSS(オープンソースソフトウェア)と対比して、OSN(オープンソースナラティブ)と呼んでみることで新しい視点が立ち上がるかもしれませんが、それは本題ではありません。

以前「note的、あるいはScrapbox的な情報発信」という記事を書きましたが、note的なものは、この「オーサー」の輪郭線(アウトライン)をくっきりと立ち上げていく方向であり、Scrapbox的なものはむしろ薄めてしまい、まぜこぜに持っていくものだと言えるでしょう。

これは、ネットあるいはWebというものの中にあった、「世界中の人間と協力できる」「組織に頼らなくても一人で活動できる」という二つの領域が、それぞれ独立的に成長しているのだとも感じます。

ただし、自分の活動を振り返ってみると、ここ10年はほとんど「組織に頼らなくても一人で活動できる」ばかりに焦点を当てていて、「世界中の人間と協力できる」という部分はかなり消えていた気がします。

たしかに私はこうして毎日のようにブログを書いていますし、それをオープンにしてWeb世界に投下しています。その情報が他の誰かの役に立つ可能性があることを考えれば、「世界中の人間と協力できる」の領域に属しているとも言えますが、あくまでそれは多少重なる部分がある、という程度で100%密接してないでしょう。むしろ、Rashitaというオーサーの輪郭線を立ち上げることに大きい比重が置かれていたような気がします。

だからこそ、逆説的に、自分が他の人の「領域」を犯すことに恐れを感じるわけです。自分が「自分の領域」を立ち上げようとしているときに、他人から浸食されたら気分を害するのだから、「他人の領域」を浸食するのはいけないことである、という価値観が生まれてくる、ということです。

しかし、「知的生産の技術に関する知見をScrapboxのプロジェクトに集めていく」という目的から考えれば、そこに誰が情報を提供したのか、という話は二義的なものでしかありません。別に誰だっていいのです。

どんな情報が集まっているのか、という点が一義的であり、ページの「所有者」は誰なのかという話は些細な問題でしかありません。同じように、そのプロジェクトを運営しているのが誰かなのか、ということもほとんど意味はありません。プロジェクト(に集まる情報)が主であり、人はそこに貢献する存在でしかありません。

もちろん、プロジェクトを動かしていく上で中心となる(≒最終決定を下す)人間が必要であることは、『伽藍とバザール』でも指摘されています。そうした存在がいっさい存在しなければ、場の混乱は収束することなくただ広がっていくだけでしょう。ただ、その存在はアドミニストレーター的なものでしかなく、それ以上の「オーサー」ではありません。だいたい、多くの人が知見を持ち寄るプロジェクトの「オーサー」など確定できないでしょう。

むしろ現代の私たちが超克していかなければならないのは、そうした複数の要因を背景に持つ「成果」を、ひとりの個人の貢献に還元してしまう考え方なのではないか、とすら思います。そのような考え方は、個人の評価を歪め、誤った成功法に人を導き、独善的な行動を促進することで、生きづらさを助長する可能性すらありえます。

■

長々と書いてきましたが、言いたいことは一つだけです。「考えて、生み出す技術(TAC)」は気楽に書いてください。ここでいう「気楽に」というのは領域侵犯的なものを気にせずに、ということです。

プログラミングの世界には、GitHubやQuittaというものがあります。さすがに私はそうしたサービスを立ち上げる技術力はありませんが、Scrapboxならば似たようなことは実現できます。

多くの人が「知的生産の技術」を持ち寄る場所。領域を超えて、むしろより大きい領域を作る場所。そういうものがNext Stepなのではないかと思う今日この頃です。

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