7-本の紹介

書評 負けない技術

勝ち組と負け組という言葉ができてどのくらい経つだろうか。今では陳腐な言葉になってしまった感はあるが、感覚としてはいまだに残っているかも知れない。

勝負というのは言葉通り勝ち負けをきめるものだ。
しかし「勝ち」を求めすぎると自滅してしまうという。それは「勝ち」には際限というものが存在しないからだ。

ひたすら「勝ち」にこだわる人間は勝つためにさまざまな物を失う。勝つためならどんな手段も問わない、という姿勢は周りの人間からいったいどのような評価を受けるだろうか。そしてそのことを繰り返していけばその人の手のひらには何が残るだろうか。

生物を見れば彼らには「勝ち」に対する欲求など存在しないことが分かる。
あくまで生存するという本能がそこにあるだけだ。
だから自分の縄張りに入ってくるものに対しては威嚇し、攻撃する。そのものが危害がないと分かったりテリトリーから出て行けば追いかけてまで攻撃することはしない。

状況を従順に受け入れるわけでも(負ける)、極端に攻撃するわけでも(勝つ)ない。ただ自分自身とその関連するものごとを守ろうとする姿勢、それこそが「負けない」という気持ちである。

負けない技術──20年間無敗、伝説の雀鬼の「逆境突破力」 (講談社プラスアルファ新書)
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しかし、現代にいきる人間の中には極端に「勝ち」にこだわる人がちらほらと見受けられる。
彼らが争うゲームの先が虚無であったとしても彼らはそのゲームに勝つことにこだわる。
まるでそのゲームの勝敗こそが自分の存在意義であるかのように。

そしてそのゲームの勝者はほんの一瞬は美酒に酔いしれることができるかもしれない。しかしながらそれは新しいゲームの始まりでしかない。結局「勝ちを求める」心というのは負けるまで続く拷問にも等しい戦いなのだ。

一歩手前で引く「負けない」という感覚を持てば「行きすぎない」「やりすぎない」バランスを保つ上でも非常に重要な感覚ではないだろうか。

例えば、負けの99パーセントは「自滅」とこの本にはある。

私は、仕事でも人生でも、「負ける」という行為の九十九パーセントは「自滅」だといっていいと思っている。(p38)

私自身の今までの人生を振り返ってみても大きな失敗はほぼ全て「自分の準備不足」か「実行中の不注意」そして「アフターフォロー不足」のどれかが原因である。
結局私たちは誰かと勝ち負けのレースをしているわけではなく、自分自身と戦っているだけなのだ。
しかも、ごく当たり前だがその戦いに「勝つ」ことは出来ない。自身の弱い心を抑えることはできても無くしまうことまではできないのだ。

全体を通してこの本は、体や感覚の扱い方へのアドバイスだ。心のバランス感覚についても参考になるだろう。

「勝ち」を求めすぎて前向きに倒れたり、「負ける」ことを恐れ後ろ向きに倒れたり、そういった事がないように「負けない技術」について読んでみてはいかがだろうか?

ちなみに考えについて書かれたp174ページの言葉が印象に残ったので引用しておく

いい考えは常にシンプルなものだ。延々と考えたことにいい考え、いい答えはあまりない。ちゃんと準備をしてさえいれば、的はすっと見えてくる。

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