光る言葉をリンク化する 〜メモのリファクタリング実践例〜

最近少しずつ、紙の情報カードに書いたものをScrapboxに転記する作業を進めている。

断片は言葉がイメージか文章か – 倉下忠憲の発想工房

単に入力し終えた状態だが、並んでいる言葉には強弱がある。陰影と言い換えてもいい。いくつかのフレーズが、私に「さあ、さあ、リンクにしてくださいませよ」とアピールしてくる。それに手を付けるのがメモのリファクタリングの最初の一歩である。

とは言え、まず、このカードは「断片からの創造」というコンセプトで書いたものなので、それをハッシュタグとして付け加える。

でも、本当にこのハッシュタグは必要なのかな、という思いもある。なぜか。それは次の作業で明らかになるので次に進もう。

全体を読み返しながら、自分の中で光って見える言葉をリンクにする。最初は[断片]である。大切な言葉だ。

ここで私は考える。すでにこのページは[断片]というキーワードによって別のページと接続している。

これで充分ではないか。この[断片]に含まれるページ群は、大半が#断片からの創造を有しているので、過剰なのではないか。振る舞いがグローバルすぎやしないか。もっと言えば、構造を志向し過ぎてはいないか──という疑問が浮かぶ。

でも、ここでは気にしない。当面は問題が起きていないので、スルーする。もし#断片からの創造が邪魔ならば後から消してしまえばいい。もしかしたら、そういうことも起こりえるかも、という点だけを頭のコインロッカーにしまっておき、先に進む。

次に[フレーズ]と[イメージ]をリンクにした。私の文脈ではこの二つは対比的に扱われている。なので、私の脳内では、[フレーズ]と[イメージ]のそれぞれのページに対比する言葉を並べておくと良いかな、というシミュレーションが走っているが、まずはこのページのリンク付けを終わらせよう。

次の行は、私の脳内ではこのように光って見えた。しかし、[頭の傾向]というリンクはどうだろうか。何が言いたいのかは少しわかるが、少ししかわからない。もしかしたら、頭蓋骨の形状の傾向のことかもしれない。私がここで言いたいことは、頭の使い方の傾向、ということだろう。そこで、[思考の傾向]と書き直してみる。

おどろいたことが二つあった。一つは[思考の傾向]が青字になったことだ。これが意味することは、

1.すでにページが存在している
2.他のページから言及されている

のどちらかである。言い換えれば、この言葉は私の中で〈既存〉なのである。

ただ、青字になった瞬間に、私はそのページのことを想起していた。というか、昨日作ったばかりなのにすっかり忘れていた方がどうかしているという気もしないではないが、人間の脳とはそのようなものである。

とりあえず、[思考の傾向]というページでは、私たちが情報と接したときにどんな思考アプローチが強く出てくるのかには違いがあるだろうし、そのことが普段使いの情報整理ツールの相性として表れてくるのではないか、ということが書かれている。でもって、今作っているページでは、日常的な着想の形には言葉/イメージのどちからが強い、という傾向があるのではないか、ということが書かれている。

両方を合わせて、思考の──あるいは脳の知的情報処理の──傾向の違い、というような新しい切り口が設定できるだろう。階段を一つ登ったわけだ。倉下 +1。

おどろいたことの二つめは、ポップアップされている[現代の思考の傾向]というページである。またまた似たような言葉を使ったページが既存したわけだが、そのページには[思考の傾向]というリンクは存在しなかった(※)。
※下に表示される関連ページに出てこないのでそれがわかる。

そこでそのページを(検索経由で)開き、下記の一文を追加した。

このページでは、認知的に忙しい環境では人の思考は冗長性や豊かさを含むものではなく、刹那的・短絡的な方向に流れがちではないか、という考察が含まれている。

先ほどまでの考察では、単に個々人の傾向という話だったが、こちらでは「私たちが置かれている環境が与える影響」という視点が導入されている。「されている」というか、この3つのページを読んでみて、そのような視点が私の中に発生した。倉下 +1。

では、先に進む。

ラストの行では、たまたまリンクの固まりが大きくなった。[文脈]としてもよかったが、私の中では[固定的な文脈]が光って見えたので、そうした。[組み合わせが作りにくい問題]も同様だ。

イメージしてみると、[文脈]という言葉を持つページを一覧できることよりも、[固定的な文脈]という言葉を持つページを一覧できることの方が嬉しいはずである。その感覚に従ってリンクを作った。

とりあえずは、以上である。

今回は、Scrapbox上でのメモのリファクタリングを通して、思想が育まれていく実際例を示してみた。ポイントはやはりリンクである。リンクがページをつなぐ。それも、ときに予想もしない形で。

しかし、文中に登場する単語すべてをリンク化しても、あまり意味がない。ノイジーなだけだ。自分にとって光って見える(あくまで比喩で述べている)言葉をリンクにすることが肝要である。

もしそうしたものが一つも見えてこないなら、目を凝らす必要があるだろう。自分の中で概念形成がなされていないのだから、しっかり頭を働かせるしかない。

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