Scrapboxのリアルタイム同時編集はすごいんだよ、という話

このツイートを見て、ちょっと笑ってしまった。

左画像の選択にやや悪意めいた誇張を感じないではないが、いいたいことはとてもよくわかる。Scrapboxのリアルタイム同時編集は、一般的にイメージされる「会議」や「打ち合わせ」のイメージをガラリと変えてしまう。

一度でも、「あの感覚」を体験したことがある人ならば説明は不要だろうが、さりとてここはブログなので、何かしらの説明を加えてみたい。

たとえば、オンラインの動画チャットなどで何かを話しているとしよう。そこには三人が参加している。まずAさんが発話する。話題のきっかけ、あるいは問題提起的な話題だ。すると、BさんとCさんには何かしら言いたいことが思いつく。しかし、それを同時に発言することはできない。いや、発言してもいいのだが、コミュニケーションは成立しなくなる。

となると、発言は順番に行われなければならない。アルファベット順で、とりあえずBさんが発言したとしよう。すると、CさんはBさんの発言が終わるまで、自分が何を言おうとしていたのかを覚えておく必要がある。これが実は結構しんどいのだ。だから、私は動画番組などで三人以上が話すときは、かならずメモを片手に参加するようにしている。本当に、覚えておけないのだ。

たちの悪いのは、Bさんの発言をきくと、きっとそこでもCさんは思うところが出てくる点だ。そのような別種の刺激があると、ますます覚えておくことが難しくなる。勢いに乗ったCさんがダラダラ話続けたり、順番を無視してAさんが割り込んできたりしたらもう最悪である。

また、会話そのものはリニアに進んでいくのだが、話題がそうなるとは限らない。のきばトークでもよくあるのだが、質問された事に対して、3つくらい答えを思いつくことがある。その3つの答えそれぞれについて相手からのレスポンスがある。一つ目を話しているうちに3つめがわからなくなることもあるし、二つ目を話しているときに、「そういえば」と一つ目の話題のことを思い出すことも少なくなる。

こうして、混乱は深まっていく。

それでも、会話はリニアに進む。私たちの意識的な記憶と、コンテキストの抑制によってである。

Scrapboxでは、それが一気に解放される。思いついたことをそれぞれが書いていき、それぞれが反応すればいい。最終的にできあがるドキュメント(ページ)はリニアな流れになっているが、それを生み出すための手順がリニアである必要はない。

これはもうめちゃくちゃ快適である。チャットをしているときの相手の「……」を待つような、あのまどろっこしさはどこにもない。何なら相手が数文字書いた時点で、下の行を箇条書きにして、レスを書いてしまえる。間違えばあれば修正すればいいし、コンテキストがズレているなら移動させればいい。

とにもかくにも「話が早い」のだ。この圧倒的なスピード感は、公道とF1レースくらいの差がある。これは、誇張でもなんでもない。

もちろん、このような同時編集はGoogleドキュメントでも可能である。Scrapboxでは、ページリンクによる情報追加の容易性と、アウトライン操作(のショートカット)のおかげで、さらに容易に入力を進めていける。感触的には、GoogleドキュメントとWorkFlowyの良いところどりをしたような印象だ(もちろんそれぞれに別の良い機能があるので上位互換と言い切れるわけではない)。

でもまあ、ひとりで使っているときは、この感覚は体験できない。今こうやって説明はしてみたが、それでもそれが本当にどういう体験なのかは、実際にその場に臨むしかないだろう。

なんなら、適当なプロジェクトを作って、そこで体験できるようにしてみてもいいかもしれない。何かしらをテーマにした雑談会のような場を設けるのだ。

本当にそういうことをするのかどうかはわからないが、そういうことをしてみてもいいと思えるくらいすごい体験であることは述べておきたい。

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