Scrapboxの用法

Scrapboxのページリンク作りって、ちょっと検索

『Scrapbox情報整理術』出版記念セミナーで話したことを少し。


Scrapboxでページリンクを作る方法は、大きく二つあります。

一つは、まず文章を打ち込み、その中のキーワードに[](ブラケット)を加えて、ページリンクする方法。自分で[と]を入力してもいいですし、テキスト選択してから[Link]を選ぶか、あるいは[(開きブラケット)をポチっと押しても構いません。

あるいは、先に[]ブラケットを入力する手もあります。Scrapboxのエディタ上では、[(開きブラケット)を入力したら、自動的に](閉じブラケット)が挿入されるので、これはこれで手軽な方法です。

この場合、「もしかして、おぬしの入力したいのは、このタイトルではござらんか?」という提案が出てきます。で、この提案候補をマウスでクリックするか、tabキーを押してフォーカスを移動させてリターンを押せば、そのままその文字列がリンク内に挿入されます。簡単ですね。

で、この提案は、キーワードを打ち込んでからそれを[]で囲んだ場合でも、その中でテキスト操作をすると(文字を入力するなど)、ちゃんと表示してくれるわけですが、これが何をしているのかと言えば、検索なわけです。

[]内に打ち込んだ文字列で、ページを検索しているのです。

もちろん、完全な検索ではありません。ページの本文は無視した、タイトルだけの検索です。でもって、前方完全一致の検索ではなく、曖昧検索になっています。

で、これがひじょ〜〜〜〜〜(×16)に便利なのです。便利というか、ナチュラル。あるいはブレイン・フレンドリー。

第一に、他に存在するページに言及しようとしているとき、そのページタイトルが完璧に想起されてくることはまれです。一部分だけ、キーワードだけ、そういうことが多いでしょう。全体を思い出せることもあるかもしれませんが、それが間違っていることも十分ありえます。「Scrapboxの本の企画について」だろうと思っていたのに、実際は「Scrapbox本の企画案」とか「企画案:Scrapbox」だった、ということは少なくありません。前方完全一致だと前者はなんとかいけますが、後者はかなり厳しいでしょう。

私たちが、わざわざ記憶を補助するための記録ツールを使うのは、記憶が曖昧だからです。記憶というものが、(たいていの場合)対象を完全に取り出せないからこそ、それができる記録を使うわけです。しかし、前方完全一致では、記憶側に(つまり人間に)求められているハードルが、かなり高くなります。

扱っている情報量が小さいうちは、それでもなんとかなるでしょうが、増えてくるとお手上げです。ページタイトルやタグ名に記号などを接頭辞として付け加えることで、前方完全一致でも使いやすくなる工夫は十分ありえますが、その記号もまた覚えておかなければならないジレンマからは逃れられないので、たぶん10や15の記号は扱えないでしょう。

どうしても、上限みたいなものは出てきます。


さらにこの曖昧さは、意外な情報との出会いの余地もまた生んでいます。

ページリンクの作成で表示される候補と、上の検索ボックスに入力した段階で表示される候補はほぼ同じなので、そちらを覗いてみましょう。

上の方は、ばっちり「ノート」に対応していますが、下の方は「ート」しか共通点がありません。これは一見ノイズですが、それは「私が適切な言葉を入力している」という前提においてのノイズです。記憶が曖昧であれば、これらが本当に探している情報である可能性もゼロではありません。

ときどき、優秀な書店員さんがお客の大雑把な指示でもきちんと目的の本を見つけてくれてすごい、みたい話がありますが、そういうのにちょっと近しい印象を受けます。

で、仮にそれがノイズだとしても、そこに表示されるページは過去の私が作成したページです。「そうそう、こういう情報あったよね」と私は提案に(あるいは検索結果に)目をやることで、想起することが可能です。リンクを作ろうとした段階で、にょろっと過去の情報(の見出し)が意識の上に登ってくるのです。

これはこれで、結構ありだな、と感じます。


本当に残念ながら、Scrapboxを使い始めたばかりの人や、ページの数がまだ少ない人には、この「ページリンクを作ろうとしてくれるときに、曖昧検索で候補を表示してくれる」ことの良さはあんまり伝わらないだろうと思います。そこにあるページたちは、はっきりと脳内に形を留めているからです。

でも、ページが増え、時間が経ってくと、「あのページ」くらいの感覚になってきます。キーワードくらいしか思い出せないページたちがわんさか出てくるのです。もっと言えば、そんなページを作っていたことすら、脳内表層インデックスからは消えてしまっているものもあります。

ページタイトルの提案は、「入力文字数が減って便利だね」ということだけではなく、昔に作った情報を記憶の強度とは別に引っ張り出せることにも魅力があります。

Scrapboxって、見た目的に他のツールと似ているって思われますし、ある部分ではその通りなのですが、この機能によって、過去の情報の利用度がぜんぜん違ってきます。これはもう、混じりっけなしに本当の話です。

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