メモとメモのあいだ

アイデアは離散的だ。あるいは、離散的なこともある。もちろん、連続的なこともある。

たとえば、以下は連続的であった。

まず、「メガ・メガ・サイクル」という用語を書き込んだ。で、それを整理しているうちに、「メガ・メガ・サイクルの考え方を書籍の執筆に当てはめたらどうなるか?」ということを思いついた。ステップ数1。非常に距離が近い。

同じようなものは他にもある。

このデジタル全盛期にどんなミニノートを持ち歩くかを考えていたら、そういえばそうした思考を進める刺激を提供してくれる雑誌が少ないなと思いついた。これもステップ1だ。

このようなものは扱いは難しくない。近接しているから、いかようにでも料理できる。

でも、そうではないアイデアもある。たとえば、以下は好例だろう。

まず、「問題を解決していくと新しい問題が生まれる」というのを書いた。不便さを解消するために新機能をどんどん追加していけば、今度は動作が重いという問題を生じさせてしまう、というようなことだ。その次に「前提を疑い続けると破綻する」を書いた。「それは何か?」とか「なぜそうなっているのか?」という問いの立て方は、より深い(あるいは高い)視点に至るために有効だが、それを突き詰めすぎるとどこにもいけなくなってしまう。そういう話だ。

ここで、私はこの二つに近しいものを感じた。そして、短期記憶に刺激が走った。

これよりも少し上に、「こだわりと弱さ」という項目がある。こだわりを持つことは強さのように感じられるが、実はそれが極端になると行動しない言い訳として機能してしまう、という意味である。これも同じなのではないか。

そう、パターンだ。私はこの三つのメモにパターンを見出した。現時点で仮に名付けるとしたら「至上主義トラップ」とでもなるだろうか。

その視点を持って、もう一度メモ全体を見返してみると、他にも当てはまりそうなものが出てくる。それをグルーピングしていけば、新しい企画案が生まれる──かもしれない。

このように、パターンは、かならず事後的に見出される。最初の一つだけで、「よし、これはパターンになる。同じものを集めよう」と見出すことはほとんどない(無論、皆無でもない)。書いたものを後から見返すときに、あるいは後から書いたものをうまく想起できるとき、ようやく見出せるものだ。

そのメモ群は、すぐそばに並んでいるかもしれないし、めちゃくちゃ遠くに離れているかもしれない。その場合は、何かしらの操作が必要だろう。

ともかくである。関連性やパターンの発見を先取りすることはできない。メモを書くときには、そのメモの価値/居場所/所属は、明らかでないことの方が圧倒的に多い。

だからこそ、こうしたメモは「くる」ことが必要だし、編集/操作/加工ができることも大切だ。

別の言い方をしよう。前向きの視点だけでは十分ではないのだ。立ち止まり、過去のメモを振り返り、それを取り出せない限りは、メモとメモの間をつなげることはできない。

そう。アイデアメモにおいて大切なのは、「すぐに書き留められる」という入力環境と共に、「すぐに過去のアイデアを取り出せる」という出力環境でもあるのだ。

その点において、やはりアウトライナーは強力だし、もちろんScrapboxも極めて便利である。それぞれ「アイデアの扱い方」に違いはあるにせよ、今の自分の意識が、過去の自分のアイデアを素材にして、何かを練り上げたり、パターンを見出したりする役に立ってくれる。

▼こんな一冊も:

Scrapbox情報整理術
Scrapbox情報整理術

posted with amazlet at 18.10.15
シーアンドアール研究所 (2018-08-16)
売り上げランキング: 4,216