1-情報ツール考察

Evernoteへのささやかな提言

Evernote社のCEOがクリス・オニール氏からイアン・スモール氏に交代したようです。

新しい CEO 就任のお知らせ

Evernote の取締役会は(アメリカ時間の)今朝、クリス・オニール氏が退職し、私が CEO に就くことを全社員に向けて発表しました。私たちは、クリス氏の過去 3 年間の献身的な働き、特に Evernote の未来の成長に必要な財政基盤を築いてくれたことにとても感謝しています。

昨今いろいろ言われているEvernoteではありますが、クリス・オニール氏がCEOをつとめた三年間は、経済的基盤を整える段階だったのでしょう。経営がふらついていたのでは、まともな開発などできません。お腹が切れて出血しているなら、まず縫合しなければならないのと同じで最低限必要な施策だったと言えるでしょう。

このタイミングでのCEOが交代するということは、それが一段落したということなのかもしれません。結構なリストラも行われたようですし、とりあえずお腹の縫合は終わった、と。となると、「じゃあ、次はどうする」という話が当然出てきます。

そこで、イアン・スモール氏の表明です。私はこれを嬉しく思っています。たとえば、以下の部分。

私は、Evernote が先進性を取り戻し、コミュニティ、お客様およびパートナー様に再び喜んでいただけるような新しい Evernote をこれから作り上げることを楽しみにしております。みなさんが今の Evernote に期待していること、そして将来の Evernote に期待することをお聞かせください。みなさんの期待に届かなかったこと、それをどうすれば改善できるかについてもぜひお聞かせください。

「Evernoteが先進性と取り戻し」と書かれている、ということは、裏返せば現在のEvernoteがそれを失っていると認識している、ということです。そういう現実認識ってかなり大切です。新機能の追加の頻度もそれほど多くなく、しかもそれらが「どこか別のツールでみたことあるやつ」ともなれば、そりゃ先進性も失われます。最近Evernoteを離れていったユーザーも、昔Evernoteが持っていた先進性と、現在のギャップに絶望して、その選択を取られたのだろうと推測します。

でも、仕方がありません。お腹を縫う手術をしているときに、新しい発明なんてできないでしょう。ようは、ここから、ということです。

そこで、一応長年Evernoteを使っているユーザーの一人として、簡単な提言を行ってみたいと思います。

提言1:常なる速度改善

私に限ったことではありませんが、周りのユーザーから「Evernoteは遅い」「動作がもっさりしている」という声を聞きます。

日常的によく使うツールであるほど、微妙な遅さであっても気になるものです。たとえ超高速に動かすことが不可能であっても、ごくわずかなスピード改善は恒常的に追求してもらいたいと考えます。

提言2:整理補助

長い歴史の間で、Evernoteはたくさんのノート作成方法を手にしてきました。この点において、現状Everoteに勝るツールはないかと思います。

そのおかげでユーザーはどんどん情報を保存していくわけですが、はたしてそれをうまく使えているかというと、かなり厳しいところでしょう。

もちろん情報を「うまく整理」すればよいのですが、ノートの数が膨大になれば、その整理のための手間もまた膨大になってきます。ここがネックなわけです。

たぶん人類の歴史において、ごく普通の一般市民が数万の情報を扱ったことなどなかったでしょう。それが、デジタル時代では当たり前になっています。そのギャップを埋めるような役割をEvernoteには期待したいところです。

特に「アイデア」のような、所定の位置が定めにくいような情報の扱いについて、新しい飛躍があればEvernoteはもう一歩次の段階に進むことでしょう。

提言3:「ノート」から「ノートとノート」へ

二つめの提言と関係することですが、ノートの保存だけでなく、複数のノートから情報を生み出す機能も期待したいところです。

一口に情報の利用と言っても、保存しておいたものを後から閲覧してそれで済むもの(たとえば名刺など)と、情報同士を組み合わせて新しい情報を生み出すものがあります(たとえばアイデア・着想)。現状Evernoteで弱いのは後者の機能です。で、ここが強力になれば、Evernoteは知的生産ツールとしてさらなる進化を遂げることでしょう。

現状「コンテキスト」という機能がありますが、表示される関連ノートの数は6個で留まっていますし、またアイデアメモのような短いノートでは表示されないこともあります(むしろそういうノートほど他のノートとの関連が必要であるにも関わらず、です)。このあたりはまだまだ手を入れる余地があるでしょう。

また、ノートリンク機能は、複数のノートを関連付けられる機能ではありますが、あるノートを編集中に、別のノートのリンクを追加したくなったときに、いったんそのノートを検索して探し出さなくてはいけません。これはかなりの苦痛です。ノートの編集中に、別のノートへのリンクが追加できる機能などがあれば、情報同士のつながりは生まれやすくなるでしょう。他にも、いろいろ手を加える余地はありそうに思います。

とにかく、ユーザーはもうたくさんのノートを持っています。だからこそ、次はそれらのノート同士からいかに情報を生み出していくか、に視点が移ると新たな機能が見えてくるかもしれません。

さいごに

いろいろ書いてきましたが、私はあいかわらずEvernoteを使い続けていますし、これからも使い続けたいと考えています。

だからこそ、「あのときの手術は成功だったんだ」と思えるような、これからのEvernoteの成果を期待しています。

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