Scrapboxの用法

誰ガ為のScrapbox

それは君のため、それとも僕のため?

「Scrapboxって、コラボ向きですか? それとも個人用途に向いている?」

という質問があって、しばらく考えたあと、私は「コラボ向きです」と答えました。

もちろん、「いやいやいや、私は一人で使っているし、ぜんぜん便利に使えていますよ」という声はあることでしょうし、そもそも私も一人でガッツリ使っています。

で、これは「一人でも使えるけど、コラボでも便利だよ」という玉虫色の答えではなく、「コラボ向きです」という答えに統一できるのです。

「明日の自分は、他人と同じ」

という一文を導入すれば。

勢いで書いたコードは、一ヶ月も経つとほどんど読めなくなります。

読めなくなるというか、コードの意図がわからなくて、改修しようと思うと、頭から全部のコードを読み返す必要がある、という感じでしょうか。

その点、Githubなどで他人様のコードを読んでいると、きちんとモジュールが分割されていて、そのモジュール内の改修は、モジュール内に注目さえすればいいように書かれています。たいへんありがたいものです。

で、おそらくそういうコードの書き方は、書いた本人にとってもありがたいものでしょう。私のように、「一ヶ月も経つとほどんど読めなくなる」という事態には遭遇しにくいはずです。というか、読めなくなっても読み返すのが楽、ということですね。

他の人が読めるように書いたコードは、未来の自分も読みやすい。なぜなら、今日の自分と一ヶ月後の自分は、短期記憶の中身が違っているから。

そういうことが言えるでしょう。

一つのツールを自分一人で使っている場合でも、「今の自分」と「未来の自分」のコラボだと考えれば、それは協業的だと言えます。

しかもそれは言葉遊びではなく、実際的にそうなのです。

自分で情報を保存したツールで情報を探すとき、「自分ならこのように保存してあるはずだ」と考えて探すことが多々あります。

「こう保存した。だから、こう探す」という体験的記憶の想起ではなく、「傾向としてこう保存してあるはずだ。だから、こう探せば見つかるだろう」という推論なのです。これは、ある程度よく知った人の行動をなぞるのとほとんど変わりありません。つまり、他人との協業です。

Scrapboxでも、「たぶんこの単語が入っているだろう」と思う語句を[](ブラケット)の中にいれば、見事にそのページが見つかることがあります。

で、それを先回りして、探しやすいようにページタイトルを工夫しておくことも役立ちます。「本の企画案」といったタイトルではなく、「2018年12月に○○出版さんから依頼をもらったビジネス書の企画案」というタイトルにしておけば、高確率でそのページを発見できます。

「今の自分」の頭にある企画案の情報を差す言葉として、「本の企画案」と「2018年12月に○○出版さんから依頼をもらったビジネス書の企画案」は等価であり、手間の関係で前者で済ませたい気持ちは強いでしょう。しかし、未来の自分にとって、この二つは等価ではありません。後者の方がフックが強くあります。だから、そのようにページタイトルをつけておく。

これは、他人が読めるようにコードを書く作法とかなり近しいのではないでしょうか。

もちろん、『Scrapbox情報整理術』で書いたことではありますが、最初からきっちりとそのようにタイトル付けをしようとすると挫折します。傾向が分からなければ、「先回り」しようもありません。

だから、実際に使いながら、タイトルの付け方のコツを摑み、必要であれば過去のタイトルを改修していく、というリファクタリング指向で進めていくのがよいでしょう。Scrapboxは、そういう作業もやりやすくなっています。

とりあえずは、「今の自分に分かるからOK」とするのではなく、ほんの少しだけ手間をかけてタイトルに情報を織り込んでおく。必要であれば、関連しそうな言葉も書き込んでおく。そうすれば、未来の自分もその情報が使いやすくなります。

これは、デジタル・ノーティング・ツールでは基本的な作法ではありますが、Scrapboxはすごくそれがやりやすい、というのが特徴です。

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