不透明な時代を見抜く「統計思考力」 |
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副題は 「小泉改革は格差を拡大したのか?」ではあるが、政治色が濃い内容ではない。
よくメディアでいわれる「小泉政権が格差を広げた」のは、本当に正しいのか、をデータから検証する作業の中で、いかにデータに接し、分析し、考えを導き出すかという流れを見ることができる。
メディアなどであるデータを元に主張が行われるというのはよく見られる風景だ。
どこまでが純粋にデータによるもので、どこからが解釈なのかについては自分で判断しないと、主張を簡単に鵜呑みにしてしまう可能性がある。
多くの場合「主張」内容によりデータの分析にバイアスがかかっていることなど頻繁にみられる。つまり主張を裏付けるために適切に切り取った情報を使っていかにも正しさをアピールするという手法だ。
そのことを知っていれば、「騙される」ことは少なくなるだろう。そこから一歩進めて自分で元のデータをあたり、そこから自分なりの分析をすることができれば、「統計思考」
の上級者といえるだろう。
「統計思考」とは、つまり「データ分析」である。
ネットに簡単にアクセスできるようになり、そこで公開されているさまざまな情報(データ)に触れられるようになると、そのデータをいかに活用するかで差が生まれてくる。
本書は「データを見る」「データを読む」「データを利用する」 の3つのステップに分けて解説がなされている。それぞれが初級、中級、上級に分類されているが、上級においても複雑な数式はでてこない。
数学を置き去りにしてきた人生を過ごしてきて、分散とか標準偏差なんて聞くと耳のスイッチがオフになってしまうような人でもまず最初の取っ掛かりを与えてくれる書き方になっている。
データを分析するのは、過去何が起きたかを理解することだけではなく、それを踏み台として未来に何が起こる可能性があるのかを推測する上でも非常に重要なスキルである。
なんとなく興味はあるけども・・・と二の足を踏んでいる人にはうってつけの入門書といえるのではないかと思う。
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