Scrapboxの用法

Scrapboxでは「説明」する

あるいはふっかつの呪文としてのメモ

私のinbox(≒思いつき受け入れ装置)には、こういう一行目メモがわんさか眠っています。

で、EvernoteやWorkFlowyだと、たいていこのままの状態なのですが、Scrapboxの場合はそれを「説明」するようにしています。

「短いキーワードで、脳内のパラメーターを再現する。」

まあ、なんのこっちゃわかりませんね。説明を追記します。

それがメモの役割の一つ。
脳内のパラメーターとは

ここで、根が伸びました。一つは、「それがメモの役割の一つであるならば、他のメモの役割とは何だろうか」。おそらく、[メモの役割]、とすることになりそうです。

が、とりあえずは、「脳内のパラメーターとは」です。

脳内のパラメーターについて説明するためには、まず言葉について説明しなければなりません。こういうことはよくあります。ある話の前提に、別の話が必要となる。そうやって、説明は組み立てられていくのです。

言葉にすることは、領域を定めること
 豆論文は、ある事実や概念の完全な記述
 メモはそうではない。メモは走り書き。
  走り書きとは何か?
   何かを「想起」するもの
    ある脳内のパターンを復活させること

頭の中に何かが浮かぶとき、それは言葉としてではなく、ある概念的イメージとして表出することが多くあります。で、言葉とは意味領域の境界線を持つものですから、概念的イメージを言葉にすると、脳内のそれよりも小さくなってしまいます。

Image from Gyazo

で、さらに言葉と言葉の組み合わせによって、それぞれの言葉の意味はさらに小さく限定されます。言葉(単語)の意味は、文脈によって決定されるのです。

で、そのような文章を書いて、概念を確定させようとする試みが、梅棹忠夫さんがおっしゃる豆論文であり、それがまた彼が言う「カードはメモではない」ということの意です。

逆に言えば、豆論文ではないメモとは、そのような機能を持たないものです。冒頭に掲示した一行だけの「走り書き」メモは、確定された概念を記述するためのものではなく、最初に頭の中に浮かんでいた、概念的イメージを再起動させるためのものなのです。

ファミリーコンピュータの黎明期RPGでは、セーブデータというものがなく、「ふっかつの呪文」を入力することによって、ゲームを進めていた時点に復帰することができました。ゲームで扱うパラメーターはたくさんあるはずですが、十分に短い文字列でそれが復帰できていたわけです。

あるいは、KeynoteとかIllustratorとかなんでもいいのですが、いろいろオブジェクトを配置した状態を保存する場合に、ファイル名をつけます。私のinboxに入ってくる一行メモは、そのファイル名のようなものです。別に長い名前をつける必要はありません。

上記のようなことを考えると、走り書きメモは、イメージを固定しきらない程度には短い言葉である方がよい、ということが見えてきます。その方が、イメージの豊かさをキープできるからです。

一方で、その冗長性は、当然のように再現のエラーも引き起こします。うまく思い出せない、別のことを「思い出して」しまう。そういうことが起こりえるのです。イメージの誤配。パケット・エラー。これはまあトレードオフですし、むしろその勘違いからまったく新しいアイデアが生まれてくることもあるので、そう悪いものではありません。

と、いうように一行目メモ対して「説明」を書いていくと、次から次にまた新しく説明しなければならないことが出てきます。「豆論文って何?」「梅棹忠夫って誰?」「ふっかつの呪文って?」。それに、後回しにした「メモの役割」についても書かなければなりません。

あと、言葉が概念の領域を小さくしていく働きについては別ページの説明で使うこともありそうですから、切り出しておくのが良いかもしれません。というようにリファクタリングの旅は続いていきます。

こんな感じで、走り書きのメモで終わらせるのではなく、何かしら「説明」を加えてみる。これが根を拡げる一つの方法です。

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