アウトライナーと文章のタスクリスト その2

前回の続き。

アウトラインで思考のメモを並列にキャプチャしていって、それを階層という形式によって大小と関係性を区別できるなら、1断片としては文章をキャプチャするのがベスト

今回はこの点を考えたい。

「本」の基礎作り

まず想定するのは、大きめの文章だ。1ツイートとかではなく、1ブログとかでもなく、数万時〜十数万時の文章。その規模の文章について考える。とりあえず、ここではそれを「本」と呼んでおこう。

「本」は、ともかく準備と材料が必要である。このブログの1記事なら、その日に思い立ち1時間ぐらいで一気呵成に書き上げることが可能だが、「本」ではそうはいかない。大量の情報を使い、それを整合させる必要がある。一時の思い付きだけで達成は不可能だ。

そこで「メモ」の出番である。思い付きを書き留め、それを「本」に活かす。多くの著者が当たり前にやっていることであろう。ワインバーグ先生に言わせれば、石集めが肝要という話になる。

思いつく多様なもの

ここまでは話が簡単なのだが、実際にメモを取り始めると一筋縄ではいかないことがわかる。

『思考のエンジン―Writing on Computer』が指摘するように、ライティング・プロセスにおいては二種類のテキスト操作が考えられる。「ポイントの設定」と「アーチ」だ。

「ポイントの設定」は、先ほどあげた「石」に相当する。完成する「本」を構成する素材たちだ。文章、フレーズ、段落、プロット、……。

一見、こうしたものだけを保存・管理しておけばOKなように思えるが、そうではない。たとえば、「一見ノウハウ本のように見えて、ノウハウ本が主張しないことを主張する本を書こう」と思いついたとしたら、どうだろうか。これは、本文を構成する要素にはならない(してもいいいが、私にその意図がなかったとする)。あるいは、「概念がわかりにくいときは、図版を積極的に使おう」とか「小気味よく読んでいけるように、章を短く区切ろう」みたいなものはどうか。

これらの要素は間違いなく「本」作りに影響を与える。しかし、それらは本文を構成する直接の素材ではない。そうしたものが「アーチ」である。

この二種類の分類は非常に大雑把なものではあるが、少なくとも一つの事実を示している。私たちが思いつくものは、一種類ではないのだ、ということを。

タスクとメモ

ここでいったんタスク管理に話を引き戻そう。

タスクを管理する上でも、メモは必要である。言い換えれば、タスク管理において「タスク」しか情報が扱えないと非常に不便だ。どんな作業でもメモは必要なのである。

そのメモは、事前に発生するかもしれないし、事後に発生するかもしれない。

なんにせよ、タスクという一種類の情報だけだと、ときどき困ったことになる。二種類の(あるいはそれ以上の)情報が扱いたくなってくる。

このあたりが、アウトライナーでタスク管理を行う自由さの一つであろう。特別な項目が先駆的に指定されていないアウトライナーにおいては、タスクとメモを共存させられる。その上、タスクからメモ、メモからタスクという移動(ないしは変換)も容易である。
※ちなみに同じことは7wrinerにもいえる。

あからじめ指定された「形」がないので、その「形」を作り上げていくまでには時間がかかるが、その分自由にデザインができる。まあ、この辺は好みの問題も多いので一概には言えないところだが。

おわりに

タスク管理が、タスクとメモを必要とするように、「本」の執筆においても、本文と「それ以外の何か」が必要である。

で、これらを切り分けて管理することもできるし、同一のツールに並べて管理することもできる。どちらがいいのかは、今の所、私には何とも言えない。

私は最初は「プロジェクトノート」と呼ばれるものに「それ以外の何か」を書き留めておき、執筆が進んで、Scrivenerにファイルを作ったら、その中に「それ以外の何か」を書き留めるだけのページを作っておくようにしている。

これは、わかりやすく言えば、指針のセーブポイントであり、本の書き方や構成を再検討したくなったときなどに参照して利用することになる。頻繁に利用するわけではないが、さりとて失いたくはない情報、というわけだ。

でもって、そういうものは、本文を執筆しているときにでも、何か別の本を読んでいるときにでも(「なるほど、こういう書き方もありかもしれない)」、いろいろなタイミングで思いつくものである。よって、即座にメモできる環境が有効で、しかも後々それを一覧できるように、一括で管理しておくことも有用であろう。

とりあえず、一つ言えることは、私たちは「本」についていろいろ思いつく。その「いろいろさ」について思いを馳せておくと、扱い方がうまくなっていくだろう。

▼新刊発売予定:

「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 (星海社新書)
倉下 忠憲
星海社
売り上げランキング: 13,261

コメントを残す