2-社会情報論

書評 急に売れ始めるにはワケがある(マルコム・グラッドウェル)

マルコム・グラッドウェルは今では「天才!」の著者としての方が有名かもしれない。しかしこの「急に売れ始めるにはワケがある」もかなり面白い本である。

急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1)
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫 ク 2-1) 高橋 啓

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この本ではいかにして爆発的流行が発生するのかをネットワーク理論で説明している。流行というとマーケティング関連の本かのように思われるが、そういった分野に興味が無くても十分面白く読めるだろう。

要点は以下の3つの原則。

1 少数者の法則
2 粘りの要素
3 背景の力

「少数者の法則」では、口コミというものがいかに力を持ち、どのような広がり方をしていくのかを解説。

「粘りの要素」は情報そのものの見せ方によって感染力が変わってくる現象を解説。

「背景の力」では情報を受け取る人の環境によって、大きな変化が生じてしまう理屈を解説している。

ただ、「背景の力」において、例として紹介されているNY市の「割れた窓の理論」はスティーブン・ダブナーの「ヤバい経済学」においてやや強めに否定されている。興味のある方はこちらも読んでみるとよいだろう。

ブロガーにとっての「影響力」

さて、一人のブロガーとして私が注目したのが第二の原則「粘りの要素」である。

ウェブ上には星の数ほどのブログがある。日本語で書かれたものだけでも相当な数になるだろう。その中で、多少なりとも影響力を持ちたいと思えば、何かしらの工夫が必要になってくる。

影響力とはこの場合何を指すのか。アルファブロガーや、とある女性経済評論家などのように、広い人々に大きな影響力をもつことも含まれるが、それよりも単純に読んだ人の「記憶に残り」ながら、少しでも行動を変化させるような力、それを影響力と表現しておく。

そのような影響力を持つためには、単に質の良い情報を発信する、といった努力だけでは十分ではない。質の良い情報を発信しているブログはあまたある。それぞれがフィードとして受信され、受け取り手も多忙な時間の中で流し読みしていくのが最近の流行りである。

そんな中で、自分の情報に影響力を持たせるためには、人とは異なった工夫が必要になってくる。

粘りの要素:いかにブログを書くのか

「粘りの要素」を簡単に説明すると、情報に大きな感染力を持たせるためには「粘り」、つまり人の記憶にこびりつき、行為を変えてしまうような表現の工夫が必要、ということだ。

第三章の中では「セサミストリート」がいかにして子供番組の今の地位を築いたのかの解説がある。加えて、その対抗馬としての「ブルーズ・クルーズ」がどのような表現を使って子ども達をアディクトしようとしているのかを例にとりながら「粘り」について分析している。

細かいことはすっ飛ばして、最も重要な文章を一つだけ引用する。

p181
正しい状況に置けば、誰もがうなずかざるをえないような、単純な情報の引き立て方があるのだ。

情報そのものも重要だが、それをいかに伝えるかで、感染力が変わってくる。

本を読んで感じたことも、この記事のように書評という形で情報を伝えることができる。
しかし、必ずしも書評という手段だけが本の感想を伝える物ではない。他にも物語風に自分の感じたことを表現してもよいし、Twitterでひと言で要約することもできるだろう。

また「書評」という形式においても、書き方のバリエーションは幅広く存在する。

ですます調か、である調か、断定が多い文章か、疑問が多い文章か、単文が多いか、長文が多いか、文章だけか、図や絵を多用するか、記事のタイトルを釣りっぽくするか、ストレートなタイトルを付けるか・・・
いろいろな表現手法が存在している。そしてそれぞれの表現手法が何かしらの意味を持っているのだ。

唯一絶対的かつ汎用的な方法はおそらくない。扱う情報によってその引き立て方は変わってくるはずだ。だからこそ、伝え手は毎回頭をひねって情報を送り出す必要があるのだ。

本書において「粘りの要素」のヒントになるようなものを挙げるとすれば、「繰り返しの効果」(p167)や、「余白に小さな変更を加える」(p179)などがある。それを具体的にどう使うか、まではここではあえて書かないが、自分なりに応用することができればブログの記事に「粘り」を持たせられるようになるだろう。

参考文献

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