7-本の紹介

書評 ぼくが読んだ面白い本・ダメな本そしてぼくの大量読書術・脅威の速読術(立花隆)

読書週間に書評を書き続けることを決めた時点で、ふとこの本が気になって読み直してみた。2003年5月10日が文庫本の初版であるが、時間が経って読み返してみてもなかなかに面白い。

ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 (文春文庫)
ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術 (文春文庫)
文藝春秋 2003-05
売り上げランキング : 8138

おすすめ平均 star
star読書術はまあまあ面白いが、本の紹介部分はいまいち
star奇書おもしろ本紹介、そして読書術
star読みたい本がないとき、頼りになるのは週刊文春の連載

Amazonで詳しく見る by G-Tools

週刊文春に連載されていた「私の読書日記」の5年分をまとめた本である。その当時の「いま本屋の店頭にならんでいる旬の本」を取り上げて紹介している。分野はさすがに立花氏らしく幅広い。

本書のエッセンスは以下の4つ。

1 立花氏の読書術
2 紹介されている本
3 立花氏の本の紹介のやり方
4 おまけの『「捨てる!」技術』を一刀両断する

再読した時に強く興味を覚えたのは3そして4である。

立花氏の本の紹介のやり方

一冊あたりの紹介はそれほどスペースを取っていないにもかかわらず、エッセンスをうまく抽出し、非常に本を読む気をそそる構成になっている。このあたりは熟練の技というべきだろうか。本書の序章で、その書評の手法について著者はこう述べている。

p22
情報の中心は、その本が読む価値があるか否か。読む価値があるとして、どの点においてあるのか、である。それをできるだけ、要約と引用によって、本自体に語らせるというスタイルをとっている。

この「本自体に語らせる」という表現はなかなか良い。

さも簡単なことのように書いてあるが、いかに要約するか、どこを引用するかはを決めるのは非常に難しい作業である。しかしこれができれば、相当に質の高い書評が書けるのではないかと思う。

『「捨てる!」技術』を一刀両断する

私はこの『「捨てる!」技術』を読んだことがないのだが、立花氏の要約を読む限り、真っ向から立花氏の仕事のスタイルと対立するかのような印象を受ける本である。おそらく捨てる技術を実践していれば、ネコビルが建つことは無かっただろう。その「捨てる技術」についてはまあどうでもよい。

過去の総体としての今の自分

この章において、ただ本自体を批判しているだけではなく、そこから本が持つ意味、情報の価値についてまで分析が及んでいる。その内容は非常に考えさせられるものである。

例えば以下の一節。

p455
人間の頭というのは、結局、頭の全体験の歴史の上に築かれてゆくものなのである。

至極当然な話だ。しかしこうして改めて文章として読むと当然な事以上の何かが含まれている。私たちの脳は常に現在にしか存在しない。しかしそれは過去の体験の総体の上に成り立っている現在の脳だ。何を読み、何を考えたのか、何を感じ、何を実行したのか。それらの積み重ねが「今」である。そしてそれが生きている限り続いていくのだ。

こう認識すると「今をどう生きるのか」が非常に重い意味を持つことに気がつく。
将来のあなたは、今のあなたに対して「後悔」をしないだろうか。

ストック=ポテンシャル

また、書類や本を一つの情報のストックとしてみてp459ではこう語っている。

ストックとは何なのか、それを捨てるとはどういうことなのかをもっと本質的なレベルで考えてみると、ストックとはポテンシャルであり、ストックを捨てるということはポテンシャルを捨てることだということができる。

この考えは、ユビキタスキャプチャーの習慣や、Evernoteになんでも保存することの価値をうまく説明していると思う。

一度使った情報や、そのときには何に使うのか分からない情報などもどんどんキャプチャーしておくことで、将来の自分に向けて備えることができる。

無論、その情報を適切に引き出せるような工夫は必要である。Evernoteでいえばノートの数は莫大なものになるので、タグにしろノートブックにせよ何からの工夫をしておかないとなかなか適切に情報を引っ張り出すことはできない。

Evernote自体まだ長い歴史を持つソフトではないので、様々な使い方がこれから模索され、提案され、共有されることだろう。

手に入る全ての資料の内容をスキャンしてEvernoteに保存することができれば、一般的な個人ではなかなか取り除くことができない物理的制約というものを超えて資料や情報を集めることができる。

そういう意味ではクラウドは我々に圧倒的なポテンシャルをもたらしてくれる。しかし、それは貯えた段階ではポテンシャルでしかない。それは実現するかも知れない可能性であり、現実ではない。
換金しない宝くじほど無意味なものはないが、おそらくそれに近い。

適切なアウトプットがあってこそ、ポテンシャルは初めてポテンシャルたり得る。

情報を際限なく取り込み、貯えられる現代において考えるべきは資料の物理的保管場所ではなく、インプットとアウトプットの比重(バランス)なのだろう。

いくら大量にインプットできても、アウトプットしなければ知的生産価値はゼロ

を肝に銘じて知的生活を送っていきたいものである。

一応参考文献

「捨てる!」技術 (宝島社新書)
「捨てる!」技術 (宝島社新書)
宝島社 2005-12
売り上げランキング : 52585

おすすめ平均 star
star即決せよ
starお経
starダメ本の1つ。全部捨てられないから悩んでるんや!

Amazonで詳しく見る by G-Tools

akinodokusyo

秋の読書週間企画については以下エントリー
「読書週間」に読書をして書評を書こう!企画概要

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です