「タスク」の研究

ノウハウを扱う知識

以下の記事を読みました。

選択肢が膨大だからこそ、誰もが自分に最適な方法を探せるようになり、ライフハックは一周回って楽しくなった | Lifehacking.jp

これは初期のライフハックが追い求めていた、仕事の生産性や生活の便利さにおいて知らなければ圧倒的な損をする「秘技」のようなものがあるという話ではなくて、選択肢が膨大だからこそ、誰もが自分に最適な方法を探せるようになったということだと思います。

なるほど、と深く頷いていたら、別の記事と遭遇しました。

「スゴ本」の中の人が「読書猿」に聞く ―― 問題解決としての『知』とは? – はてなニュース

我々は皆、何らかの分野・テーマの玄人なわけですが、それ以外の分野・テーマに関しては素人であるしかない。そして、我々に降りかかる問題は、必ずしも我々の専門に合わせてくれるわけでもない。大抵の場合、我々は、素人として問題に直面するんです。

でも、素人であるにしても、そこそこマシな対処をすることだってありますよね。じゃあ、どうやったら落とし穴にはまらずマシな対処ができるか。それを考えるためには、個々の問題を解くよりも、また、問題解決の道具を考えるよりも、何段か思考の抽象度を上げる必要がある。だって、うまく問題解決できる人間になるにはどうすればいいか、っていう大きな話ですから。

大切なことが書かれています。まず、私たちは専門家として問題解決に当たるわけではない、ということ。私の問題意識に引きつけて言えば、「タスク管理の専門家にならないと、タスク管理の恩恵が受けられない」というのでは、ちょっと変、ということです。

でもって、もう一つが抽象化です。ある問題を解決するためには、少なくとも一つ上の視点に立たなければならないことが多々あります。なぜなら、同じ視点の高さで解決できているなら、それは問題としては認識されていないからです。逆に言えば、その視点では、解決策が見つからないものが「問題」なのです。なので、ある構造下において発生している問題を解決するためには、一つ上の階層に上る必要があります。

さらにここで、最初に引いた記事の話に戻ります。抽象化と選択肢です。一つ上の階層に上ることで、私たちは選択肢を手にします。でもって、その際には、抽象的思考(何かを抽象化して捉える思考)が欠かせません。

図示しましょう。

本当はもっと複雑ですが、極めてシンプルに描けばこんな感じになります。

でもって、もう一度「「スゴ本」の中の人が「読書猿」に聞く ―― 問題解決としての『知』とは?」から引用します。

要するに、問題に挑む際にバカをやらないための条件なんですが、賢明な素人であるためには、まず最低でも次の3つが必要なんじゃないかと。

  • 自分がそのテーマ・分野に関して無知であること(=素人であること)を知ること
  • 必要な知識へのアクセス(所在、探し方、学習方法など)を知ること
  • でき得るかぎり調べ、学んだとしてもなお、間違うことがあると知ること

次の点も大切です。

知識の有り様を比較し、どうせ不可避なのであれば、よりマシな知識とよりよい関係を結べるよう、賢明な素人のための「知」として、フィロロギーは人と「知」の間を取りなします。そのために現代のフィロロギーは、

  • 人間の仕様に関する一般的知識と自己の限界についてのローカルな「知」
  • 知識の創出と流通、蓄積に関する「知」(「知」のライフサイクルとエコシステムに関する「知」)
  • 知識を批判吟味する知識

などを備えるべきだと思います。

どうでしょうか。かなり『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』に近しいのではないでしょうか。まったく同じと豪語するほどの厚顔さは持ち合わせていませんが、それでも「同じ方向を向いている」くらいはこっそり言えそうです。

「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 (星海社新書)
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『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』は、タスク管理のノウハウを扱った本ではありますが、実は一つ上の視点から見た、「いかにしてノウハウと付き合うか」を提示する本でもあります。

ノート術であっても、文章執筆法であっても、同じように文献を渡り歩き、言葉(概念)を抽出し、それぞれの概念を整理した上で、運用していくための指針を得る。その際に重要となるのは、人間が(というよりも、実行者本人が)実践する、ということ。理想の「あるべきすがた」ではなく、そのときの自分ができることをスタート地点にし、さまざまな実践を経て、ノウハウや自分自身に関する知識を積み重ねていくこと。

これができれば、「自分の選択肢」を増やしていけます。

で、再び、最初に引いた記事に戻ると、一定量「知見」が集まったジャンルでは、「次々と知見を増やす」ことよりも、「集まった知見を整理する」ことが重要になってくるのでしょう。たった一つの選択肢を毎回上書きしていくのではなく、「こういうのもありますよ」と提示することで、はじめて「自分の選択肢」作りに貢献できるのではないかと思います。

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