私は「ノートは最高」派なので、デジタルとアナログに貴賎は設けない。
だから、バレットジャーナルをEvernoteでやってみたらどうなるか、みたいなことをすぐさま考えてしまう。
【書評】『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』(ライダー・キャロル) – R-style
が、上の本を読んでみたら、非常に近しいことをやっていることに気がついた。だったら、もっと寄せてみたらどうなるか?
基本セット
「インデックス」
「フューチャーログ」
「マンスリーログ」
「デイリーログ」
このうち「インデックス」を除いて3つのモジュールの実装は簡単である。
まず「デイリーログ」は、以前から使っているデイリータスクリスト用のノートがあるのでそれを流用する。
で、これらのノートのリンクを「マンスリーログ」にも転用できる。
さらにこのノートのリンクを「フューチャーログ」にも持っていく。
おお、完璧ではないか。しかし、一つ問題が残る。「インデックス」だ。
デジタル特有の問題
「インデックス」は、ノートの各ページに対するアクセスを提供するモジュールである。紙のノートでは、ページに番号を振り、その番号とページのタイトル(トピック)を記入することで、その役割を果たす。
幸いなことに、Evernoteではノートリンク機能があるので、ページ番号を自分で振る必要はない。「インデックス」なるページに、ノートリンクを貼り付ければそれでOKだ。
どこに問題が?
代替わりがないのである。
アナログのノートは、ページ数があり、それを使い切ったら代替わりが発生する。その際に、ノートのページ全体がリフレッシュし、その一部を引き継ぐことで、情報の新陳代謝が起こる、というのがバレットジャーナルの特徴の一つである。無限ではなく、有限。これが大切だ。
バレットジャーナルは、モジュール一つひとつをノートを構成する部品として扱うので(前に書いたようにカード法的発想なので)、その運用についてはEvernoteで簡単に代用できる。しかし、Evernoteは、なんといっても、Everなnoteなのである。ノートは増え続ける。
「フューチャーログ」と「マンスリーログ」は一定でも、各種コレクションは間違いなく時間と共に増えてくる。そのとき、ノートの代替わりが、強い見返しの動機付けとなる。こんまり流で言うところの、祭りの発生だ。書き写すのが面倒である、という心の動きが「この情報は私にとって必要なのだろうか」という自問を生む。
そのフィルタリングによって情報の量が減る(≒エントロピーが緩和される)ことが、バレットジャーナルでは極めて大切である。
しかし、Evernoteではノートは際限なく増え続ける。いや、増え続けること自体は構わない。実際バレットジャーナルだって、使用済みのノートを捨てなければ、実質的に情報量は増えているが、普段は目に入らないから気にはならない。Evernoteだって、ノートが数万になってくれば大半のノートは目に入らないから気にならなくなる。
問題は、インデックスだ。
インデックスには、ノートへのリンクが増え続ける。そして、普通に使っている限り、そこからリンクが消えることはない。代替わりという祭りが発生しないからだ。
肥大化するインデックス
実は私も、バレットジャーナル本を読む前から、インデックスページを作っていた。
ノートリストのトップには、以下のようなページが配置されていて、ここから日常的に利用するページの大半にジャンプできるようになっている。
で、このページからさらにプロジェクトリストのページにジャンプできる。バレットジャーナルで言えばコレクション・インデックスといったところか。
で、このページは作り始めた当初は良かったのだが、長く使い続けていると微妙に重く感じるようになった。話は簡単で、項目が増え続けていたからだ。
でもって、その増加は自明の結果だった。もしそれが「プロジェクト」であれば終了がある。終了があれば、それを消せる。しかし、プロジェクトではない「気になっていること」は、明瞭な終わりはない。あるとすれば、それは私が「気にならなくなった」タイミングであろう。しかし、祭りが発生しないと、そこに記載されている項目について「これを今の私は気にしているだろうか?」と問いかけることはない。ページの上にリンクをそのまま載せておくことはコストゼロだからだ。
※手書きの場合は、ここにコストが発生するから自問することになる。
だから、使い続けると、自然とこのページは重たくなってくる。コミットメントな気持ちが、0.00000000001くらいであっても(あるいはまったくの0でも)このインデックスにはそのノートリンクが記載される。そんなもの重く感じて当然であろう。
さいごに
これで問題が明瞭に捉えられたように思う。おかげで、Evernoteとバレットジャーナルの共存の可能性も見えてきた。
ポイントは、「代替わり的感覚をいかに発生させるか?」である。
もともとバレットジャーナルは、モジュール思考なのでデジタルノートと相性が良い。ノートリンクが使えるEvernoteならなおさらだ。しかし、デジタルノートでは、代替わりがなく、そのまま使っているだけでは、情報の新陳代謝が発生しない。いつまでも過去に引きずられることになる。
鍵を握るのはインデックスである。問題の発生源が、問題解決の鍵も握っている。
大量にノートがあるEvernoteにおいては、インデックスページに記載されないページは(認知的に)存在しないも等しい。よって、何かしらの行為によって、インデックスページの「整理」が発生すればいい。一つひとつの項目について、「この項目は今の私にとって必要か?」を自問する機会を持てればいい。そうすれば、大量の情報に(認知的に)振り回されることはなくなる。これも一種の舵取りであろう。
一番簡単なのは、3〜4ヶ月毎のレビューであろう。それらのタイミングで、このインデックスページを「一から作り直す」ことをすれば、そしてその際できるだけ情報量を減らすように努めれば、案外うまくいくのではないか。そんな楽観的な希望を、今のところは抱いている。
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参考になる記事ありがとうございます!こちらの記事でデジタルバレットジャーナルの事例として紹介させていただきました。
デジタル・バレットジャーナル:手書きで書くかタイピングで打つか? | 行動デザインラボ
https://ko-do.design/2020/03/14/digital-bujo/