2-社会情報論

本を書き、本を売り、本を紹介する

下の記事を読みながら、ぜんぜん違うことを考えていた。

執筆することと、出版することのあいだの断絶 | Lifehacking.jp

さきほどまで細心の注意をはらって執筆していた状態から、目立ったもの勝ちで有限の棚を他の本と争う合戦場にマサカリを振りかざして乗り込んでいかなくてはいけないのです。

私もまた、多重の状態の中にある。

  • 出版社さんと一緒に本を作る
  • 自分で本を作る
  • 他の人の本を紹介する(Honkure)

ここにいくつもの理論と戦略が絡み合ってくる。とても一太刀で両断できるものではない。

たとえば出版社さんと一緒に本を作る場合、合戦場の指揮官は出版社さんである。私はその道のプロに委ねることを良しとする人間なので、そこでは旗を向こうに渡す。むろん私が何もやらないというわけではない。というかむしろ、ばんばんブログとかで書いちゃう方だ。しかし、基本的なマーケティングに関して(売り方やタイトルづけなど)は、向こうにお任せする。

一方で、自分で本を作るときは、そもそも合戦場に出向かない。あるいは出向くにしても周縁をうろちょろしている程度だ。それではたいして本は売れないだろう? その通りだ。でも、それでいい。値段とコストと母数の大きい%。それはそれで一つの計算が成り立つ。ただしそれは、私がメールマガジンをやっていて、そこで定期的に支えてくださる読者さんがいるから成り立つ計算でもある。

だからまあ、そうした総合的な「執筆活動」という系の一部として、自分での本作りを捉えている。いや、違う。こういう状況だからこそできる本作りをやってみたいと考えている。戦場を分けて、部隊を割り振るのだ。主戦場に出てワイワイと合戦する部隊。ごく少数で秘密裏に動く部隊。はたして、そこから生まれてくるものは何か。そういうことを実験してみたい。

で、そうした活動とはまた別に、他の人の本を紹介している。本の面白さを伝えるためというよりは、本の存在を知ってもらうために。

ネットではマタイ効果が働きがちなので、どうしてもごく少数の本に注目が集まりがちである。また、過度に個人向けカスタマイズしてくれるので、意外な(≒自分のコンテキストにない)本に遭遇しにくい。だから、文脈を混ぜる。特化型など捨て去ってしまう。漫画、ライトノベル、ビジネス書、人文書、なんでもござれ。どこかの入り口から入ってきたら、ずるずると迷宮の奥に引きずりこまれてしまう場所。そういうサイトを目指している。

でもってこれは、華々しい主戦場で目立っている本以外に光を当てる試みでもある。そういう小さな動線が、いくつもいくつも生まれたらならば、周縁をうろつく本にも生存可能性が生まれるかもしれない。少なくとも終焉に向かってまっしぐら、という事態くらいは避けられるだろう。そんなことを考えながら、本を紹介し続けている。

しかしここで、だから何? と言われると、まったく答えは返せない。なにせ実験中なのである。むしろその答えを私自身が知りたいのだ。

とは言え、本を書き、本を売り、本を紹介する──それぞれにゲームのルールは違っているようでいて、何かしら通底するものはあるかもしれないとも感じる。そして、違うゲームを始めることも、きっとできるだろう。

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