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Anchorはトラックバック文化2.0を作り出すか

以下の記事に面白い一節があった。

『凡人の星になる』を読んでありのままを出そうと思った – さおとめらいふ

自分なりに、それとなくうまく生きていれば、それで良いのだ。というメッセージがばんばんに伝わってきて、笑ながら共感しながら楽しく読ませていただきました。是非Podcastで一緒に話せないかなと、そわそわしている今日この頃です。

なるほど、「さおとめおとらいふ」という番組もあるし、「喋る!言いたいことやまやまです」という番組もある。つまり両者はAnchorのアカウントを持っている。だったら、簡単に「トーク番組」ができてしまうというのが、Anchorの素晴らしさであることは自分のポッドキャストであることは体験的に理解している。

これはちょっとばかり面白い動きである。

ブログの当初には、トラックバック文化なるものであり、誰かのコンテンツに対して「関連する」記事を送ることができた。それは、同意であるかもしれないし、反論であるかもしれないし、別の視点からの提言であるかもしれない。ともかく、トラックバックという仕組みは、ブログを開く力を持っていた。自分のコンテンツに、他人のコンテンツが交じり合うような、そのための扉を開いておくかのような、そんな仕組みである。

しかし、トラックバック文化はほとんど死んだ。記事に対するコメントは、ブログ以外のレイヤーで発せられることになった。SNSしかり、ブックマークコメントしかり。その記事からは直接は見えず、また、メディアの形態もコメントという短文の形を取る。

ブログ記事とトラックバックであるならば、それぞれがお互いに自分の土俵で書くにせよ、それは「記事対記事」の構図であった。自らの署名のもとに、自らのメディアの上で意見を互いに表明する。そこには、ネット文化独特のフラットさがあった。月間数万PVのブロガーに、月間数百PVのブロガーがトラックバックできた。そこでは、「発言者」と「コメンテーター」のような線引きはなく、どちらともが「発言者」であるかのような、恐ろしさと誇らしさがあった。

が、それももう過去の話である。

そんな風に諦観が私の心を浸食しつつあったのだが、上のような呼びかけを見て、少し感触が変わりつつある。新しい対話の道のりが開けつつあるのではないか、と。

もちろん、そこで行われるのはトラックバックとまったく同じものではない。記事に対して言及し、さらに言及したことがその記事に表示される。そういう動線の確立ではない。しかし、そのやりとりで行われていた「個」と「個」の対話が復旧しようとしているのではないか。

現在のブログは、ほんとうに対話がない。やりとりがない。いや、「ない」と言ってしまっては今それをやっている人に失礼だろう。せいぜい、昔に比べてはるかに少なくなった、というのが本当のところだ。でも、一つの議題的な記事に対して、さまざまな人が意見を寄せていくような、議論空間はほとんど感じられなくなった。

むしろブログは、まずます「俺々メディア」になりつつある。〈お客〉を囲い込み、決して逃さないようにする。たまに誤クリックしてくれれば儲けもの。そういうメディアである。あらためて確認するまでもないが、資本主義の力とはここまで強いのだ。地球上を覆い尽くし、ついでネット空間にも浸食した。誰もが諸手を挙げてそれを歓迎している。

話が逸れた。

Anchorで引き起こされようとしているのは、新しい感覚だ。

自分のブログに寄稿してもらう、というのでもない。二人で新しいメディアを立ち上げようというのでもない。そこにあるのは、ゲストという感覚だ。ホストとゲスト。そして、そこで行われる交流・対話・議論・話し合い。

もちろん、ゲストを向かい入れるためには扉が開いている必要がある。いやむしろ、Anchorというのはその扉を開くためのメディアと言えるかもしれない。なにせ、ひとりで話しているのは結構しんどいのである。だから、誰かを呼ぶ。いやいやとまでは言わなくても、仕方なしに呼ぶ。そして、開かれる扉。出てこい、引きこもりたち。

勢いがつきすぎた。

私は「議論を深める」という言葉が何を意味するのかはまだわかっていない。しかし、対話は聞いていて面白い。個と個の対話なら、なおさらだ。

▼言及ツイート:

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