「タスク」の研究

「やること」管理の基礎はリスト作り

『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』では、さまざまリストを紹介しました。リスト作りが「管理」の基本的な一歩だからです。

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もちろん、リストを作ればすべての状況が劇的に改善される、ということはありません。いつもより少し作業の量が多くてテンパっている人と、長期間ブラック企業に勤めていて常に過大なタスクが化せられている人に同じ解決策が通用すると考えるのはさすがに大雑把すぎるでしょう。

だからこそ、選択肢はいくつか持っておいた方がよさそうです。一つの方法に固執する(≒頭の中から選択肢を消す)のは、その点からいって危険があります。

というような前置きをした上で、「少しやることが多いな。うむむ、大丈夫だろうか」みたいな心境になっているときならば、リスト作りは大いに役立つ、とは言えます。また、そういう心境になりそうだなと先回りできるならば、そうならないためにリストを作っておくことも有効です。

シンプルなリスト

「やること」が3〜10個くらいで収まるなら、複雑なことは何も考えずに、ただリストを作ればOKです。買い物メモなんかがその典型ですね。

数が増えず、動的にも変化しない。そういうものの扱いは、どんなリストでもこなせます。

複数のリスト

しかし、管理したい「やること」の数が増えてくると、どうにも一つのリストではこなせなくなります。単純に数が多くなりすぎて、目にするのが嫌になったりするのです。あるいは、目的の「やること」を探し出すのに時間がかかるようにもなります。

こうなったら、複数のリストです。買い物リストの例で言えば、「スーパーで買う物」と「家電量販店で買う物」をわける、という感じ。

もしかしたらそこに「来年買いたい物」みたいなリストも加わるかもしれません。この辺はそれぞれの人のさじ加減です。人によっては、来年買いたい物ものなど一つもないかもしれませんし、来月のパリ旅行でぜひとも書いたい物がたくさんあるかもしれません。そういう状況に合わせて、個々人の「自分のリスト」を作っていけばOKです。

動的なリスト

で、そうやってたくさんリストを作っていくと、中には長期的に使われるリストも出てきます。で、そういうものは経年と共に、中身が変わってしまうのです。「来年買いたい物」に書いておいたけど、今考えてみたら、そんなに欲しくなくなっていた、とか、そういうやつですね。

で、こうしたものに関しては、「書き残して、使う」という工程だけでは十分ではなく、「見返して、整理する」という工程が必要となります。いわゆるレビューなんですが、まあ、そんなにおおげさに考えなくてもいいです。このリストの中身これでいいのかな? みたいなことを考えればOKです。あるいは、このリスト本当に必要かな? みたいなちょっとメタなことを考えてもよいでしょう。

動くリスト

上は経年と共に中身が変化するリストでしたが、もっとアクティビティーに溢れたリストもあります。たとえば、今日やる仕事リスト、みたいなやつですね。

こういうリストは、自分がやることを発見したり、上司や依頼主から突然の指令・依頼があったり、突発的なトラブルが発生したりといったことで、どんどん項目が追加されていきます。最悪、5時間の枠組みの中に、12時間分くらいの「やること」がぶち込まれたりするのです。いや〜、無理ですね。

そうなんです。これは無理なことなのです。だから、リストを作ろうが、作らまいが、それは無理な状況です。

リストを作ったところで、12時間の作業を無理矢理5時間内に納めることはできません。でも、それをリストの無力だと非難するのは詮無いことです。だって、はじめから無理な状況なのですから。

この点において、一見似ているような買い物メモと仕事の「やること」リストは乖離していきます。一般的に買い物リストは(財布にあるお金で)買えるだけのものが列挙されます。しかし、仕事の「やること」リストは、(時間的な意味での)予算は関係なしに、ただ「やるべきだ」という基準だけでリストアップされるのです。そうして、無理な状況が発生します。これをリストの力だけで解決するのは不可能です。

そもそもとして5時間で12時間分の作業をやろうとしていることが、その無理の発生源なわけですから、それを何とかしない限りはどうしようもありません。簡単に言えば、「やるべきだ」という基準とリストへのピックアップを切り分けるのです。

・そもそも作業をやらない
・今日やるのは諦めて明日に回す

このようにして、(時間的な意味での)予算にできるだけ収まるように、リストを変更します。これが「リストを閉じる」、ということの一つの意味合いです。

12時間分の作業を「できるところまでやるか」と腕まくりして突き進んでもいいのですが、その行進は非常に疲れます。やっても終わらないことがわかっているわけですし何よりも、進捗感がほとんど得られません。たいていは、作業が進むたびに、時間が経つたびに、新しい「やるべきだ」という案件が増えていくからです。シジフォスも真っ青な状況です。

あえて強調して言えば、人間には(人間の精神には)区切りが必要です。「ここまで」という線引きが必要です。それがあると、前に進みやすくなります。

また、「この部分は今日中には絶対にはできない」という線引きができると、「じゃあ、いつやろうか? 誰かに回そうか?」みたいな次に向けた一歩についても考えられるようにもなります。段取りの誕生です。

これが「できるところまでやるか」方式だと、実際に5時間たってみないとそれがわからず、だいたい後手を踏むことになります。もともと無理な状況が発生しているのに、後手を踏んでいるのだから、これはかなりの痛手です。そういう状況を避けるためにも、リストを作り、線引きしておくことは有用です。

さいごに

管理したいものが単純なら、リストも単純になります。管理したいものが複雑なら、リスト(の扱い方)も複雑になります。

でもまあ、最初は単純なリストからスタートしてみるのが良いでしょう。リスト作りは、何かをスタートする最初の一歩としては、まずまずの選択だと思います。

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