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次にやることを一つ上の行に移動させること

Posted on 2019 年 5 月 23 日 by Rashita
Tag:
  • アウトライナー文化論

次は、「コンビニBlog」の更新をしようか。そう思い、僕は control + ↑で項目を一つ上に上げた。ついでに、Honkureの更新はあまり乗り気がしないので、下の方にさげておく。欄外まで追いやる? それともできたらやる? まあ、できたらやるくらいでいいだろう。

そんな風にしてタスクリストの調整は終わった。こういうことは一日のうちに何度も発生する。何かを選ぶ。やることを選ぶ。やらないことを選ぶ。そして、そのどちらかで迷う。あるいは保留にしておく。

■

すべてのタスクは関係性を持っている。少なくとも、それを一日のタイムラインの上に並べれば、そこには否応なしに関係性が発生する。

「コンビニBlog」を一つ上にあげたとき、その他のタスクは代わりに一つ下がることになった。もし私が、残り一つのタスクしか実行できないのならば、それ以外のタスクは未実行ということになってしまう。

何かがどんどん上がっていけば、残されたものは当然低い場所に止まることになる。それは、未実行確率をどんどん高めることとイコールである。

タスクリストの中で、タスクを移動させていると、そのことが「実感」としてわかる。もしこれが単なるリストだとして、それが動かせないならどうだろうか。終わったものについてただチェックマークをつけていくだけならば?

たぶん、そこには時間の感覚はうまれないだろう。あるいは、無限の時間の感覚が伴うのかもしれない。時間が無限であれば、すべてのタスクは達成される。あとはやるだけだ……そんな風に。そこには取捨選択もトリアージも発生しない。だって、時間は無限にあるのだから。

でも、何かをやろうと選ぶことは、その他を「今はやらない」と選んでいることとイコールだし、それが繰り返されれば、残されたものは実行されないことになる。

今日できなければ明日やればいい。明日できなければ明後日やればいい。明後日できなければ、来世やればいい。これが無限の時間感覚だ。

でも、何かをすればそのために時間が使われ、別の何かをするための時間が失われてしまう。残念ながら、僕たちの手持ちの時間は有限なのである。一日が24時間であるように、私たちの人生も──事前にはその量は確定できないが──有限である。でも、僕たちの時間感覚では、それがあんまり見えてこない。ごく普通のタスクリストも、その時間感覚を変えてくれる余地は小さい。

そこでは、動かしがたく「やること」が中心になっている。時間は無限の資源として与えられているので、考えなくてもいい、ということになっている。というよりも、無限の時間の感覚が、そのようなリストを要請するのかもしれない。

「やること」(というよりも、むしろやるべきだと認識していること)が中心の場合、「ともかくそれをやる」ことが至上命題となる。残業? 徹夜? お構いなしだ。時間を気にするのは瑣末なことなばかりか、いっそ冒涜的であるとすら捉えられるだろう。だって、「やること」の達成こそが目指すべき地点なのだから。

でも、僕たちは限られた時間しか持っていない。「やること」がたとえ「やるべきこと」であろうと、そのすべてを達成することはできない。人生という長いスパンでもそうだし、一日という比較的短いスパンでもそうだ。

時間を中心に考えれば、いやおうなしにその有限性と向き合うことになる。でもって、時間を中心に考えるということは、自分を中心に──あるいはスタート地点に──考える、ということである。だって、そこで語られる時間とは、物理のそれというよりは、自分の人生のことなのだから。

■

ちょっと思考実験をしてみよう。デイリータスクリストは、一日分の「やること」を並べる。だったら、ライフタスクリストとして、一生分の「やること」を並べたリストがあったとしたら?

もちろんスクロールするだけで人生が終わってしまいかねないが、今日何かをするということは、その長大なリストの中から、項目を一番上にあげ、その他の項目を一つ下げることを意味する。そして、どこかの線よりの向こう側の「やること」はできなくなってしまう。

これは悲しいことではない。というか、これがデフォルトなのだ。悲しいことと感じるのは、「やること」はすべてできるべきだという発想だが、それは無限時間の観念を背景に持つ。

そうではない。人は、線よりも向こう側のものを残したままこの世界から旅立つ生き物なのである。それが当然と考えれば、悲しいことでもなんでもなくなる。単に、皆が一様にそうだ、というだけなのだから。

その上で、あとは選択の問題である。何を上にあげて、何を下のままに放置しておくのか。

喜ばしいことに、その選択には「正解」と呼べるものがない。単に選択するだけだ。そしてその選択を、もし可能であるならば、意志と呼ぶことができるのかもしれない。

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