「タスク」の研究

タスク管理と二種類の言葉

一般的に、タスクは言葉を使って表されます。

中には、「課長に書類を提出する」というタスクを、そのイラストを使って管理する人もいるのかもしれませんが、少数派でしょう。だいたいは、タスクリストに「課長に書類を提出する」と言葉で書きつけるかと思います。

でもって、その言語的表現によって、タスクの着手や進行がうまくいったりいかなかったりする、というのは珍しい話ではありません。たとえば、「書類」と単語だけ書くのではなく、「午前中までにプロジェクトAの書類を課長に提出する」と具体的に記述した方が、何をすればいいのかを想起しやすくなります。

また、そのタスクがなんとなく進捗を拒むなら、

・書類の.docxファイルを開く
・項目1〜項目10確認する(チェックリストを使うこと)
・プリントアウトする

のように、より具体的な行動に落とし込むというやり方もあります。これは、タスクの細分化(あるいはプロジェクト化)と呼ばれる行為ですが、結局やっていることは、概念の扱いであり、つまりは言葉の操作です。

道具立ての言葉

一方で、そうしたタスクを管理する行為自体も、言葉(概念)を持ちます。「Todoリスト」や「タスクリスト」も言葉であり、概念であるわけです。

単なる「リスト」ではなく「Todoリスト」と呼ぶとき、そこには何かしらの認識が生じています。だからこそ、「Todoリスト」がうまくいかなくなったときに、「タスクリスト」と呼びかえてみることで、変化が発生しうるのです。

まったく同じノートを使っていても、「タスクリスト」を作ろうとするとき、そこには「Todoリスト」とは少し異なる事柄が記載されるでしょう。「そのリストは何なのか?」の認識が変わっているからです。

だからこそ、辞書的に「正しい」定義を知る必要はなくても、自分にとって「そのリストは何なのか?」については一度は考えておいた方がよいのです。

でもってそれは、私たちの普通の言葉と同じように、他のリストについて知ることで、より精緻に考えられるようになります。言い換えれば、一つのリストしか知らなければ、それが何なのかを具体的には考えにくい、ということです。

さいごに

「何をタスクとするのか」「どうタスクを表現するのか」というタスクに関する言葉の問題と、「タスクリストとは何か」というタスク管理に関する言葉の問題は、基本的には相似です。一方に通じれば、もう一方にも(多少は)通じるようになってきます。

でもって、それは他にも広がります。ある習慣が、別の習慣への波及していくように、自分が扱う言葉全般について、「これって何なのか?」を考えられるようになる、つまり言葉の差異に敏感になる。そういうことが起こるのではないかと期待しております。

たとえば、「ノートとは何か?」(何を持ってノートとするか?)とか、「目標とは何か?」(自分にとって目標とは何か)みたいなことに思いを馳せられる、ということです。

そうしたことに一つひとつ自分で答えを与えていくことが、「自分の方法」を作るためには必要なのではないでしょうか。

きっと、言葉だけを扱うタスク管理では、時間間隔は磨かれません。でも、別の何かは磨かれるような気がします。

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