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【書評】『「超」AI整理法』(野口悠紀雄)

Posted on 2019 年 7 月 5 日 by Rashita

「超」整理法の野口悠紀雄先生による新刊ということで手にとってみた。

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簡潔にまとめるなら、画像認識・検索・音声入力を駆使した現代的な知的生産技術の開示となるだろう。目次は以下の通り。

第1章 新しい情報大洪水の到来
第2章 情報大洪水時代に必要な「超」整理法の思想
第3章 AI時代の「超」メモ帳
第4章 思考を整理する「超」AI文章法
第5章 AIの眼を持つ百科事典の実力は
第6章 AIを駆使するアイディア製造と独学
第7章 インターネットと現実世界の新しいつながり
第8章 AIで事務作業を効率化
第9章 AIはいかなる未来を作るか

概要

第1章「新しい情報大洪水の到来」では、現代的な情報環境の特徴を概観する。骨子となるのは、あまりに多くの情報を個人が入手・作成できるようになった、という点だ。紙情報を扱う考え方では、この環境に適応するのは難しい。

そこで、第2章「情報大洪水時代に必要な「超」整理法の思想」では、新しい整理の考え方が示される。といっても、思想自体は新しいものではない。「分類しない」やり方は、「超」整理法でも示されていたし、カード法で有名な梅棹忠夫も「分類せず、配列して、検索せよ」と述べている(『梅棹忠夫 語る』)。

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結局、情報というものを排他的なカテゴリーに位置づけるのは非常な苦労を伴うのである。その苦労は、個人の知的生産活動に見合うものではない。だからこそ、本書が示すように「分類するな、ひたすら検索せよ」なのだ。実際、私たちの情報生活の多くが、すでにこうなっている。ポータルサイトではなく、Google検索。そうでないと、巨万の情報は扱えないのだ。

その話を受けて、第3章「AI時代の「超」メモ帳」では、Googleドキュメントを使ったメモ術(情報整理法)が提示される。ポイントは「キーワード」だ。分類する(≒ツリー構造に位置づける)のではなく、検索で探すなら、発見しやすいキーワードを設定しておけばいい。これはWebサイト構築の用語を拝借して、自分SEOと表現できるだろう。本書ではそのためのコツが具体的に解説されている。また、本文中に仕込まれたQRコードを経由することで、自分でそのシステムを構築するためのサンプルドキュメントにもアクセスできる。この試みは面白く、また後の第7章の内容とも接続するだが、ともあれ知的生産術として見た場合、一番「美味しい話」がこの第3章だろう。

続く第4章「思考を整理する「超」AI文章法」では、音声入力を使った文章作成法が紹介される。音声入力は、キーボード入力よりもはるかに手軽なのだが、要点はそこにはない。本書が指摘するように、「出発」することが容易な点が音声入力の最大のメリットなのである。言い換えれば、何かを「書く」ときに発生する、あの重たい気持ちに直面することなく、文字を書き出すことができる。もちろん、そうして書かれたものがそのままアウトプットに使えるわけではなく、手直しやら内容の整理は必要になる。しかし、その作業には、あの重たい気持ちは発生しない。つまり、「書こう」と思わないで文章が書けてしまう。そういうメリットが音声入力にはある。

第5章「AIの眼を持つ百科事典の実力は」ではGoogleレンズの強力さと可能性が、第6章「AIを駆使するアイディア製造と独学」では、情報を公開する効果と音声入力と読み上げを駆使した外国語学習が、第7章「インターネットと現実世界の新しいつながり」では、QRコードを駆使することで現実の物とネットをつなぐ試みが紹介される。ネットをベースにした知的生産術という意味では現代的であろう。

第8章「AIで事務作業を効率化」では、細かい作業を効率良く行う方法が紹介されるが本音を言えばこうした事務作業から解放されるのが一番良いのだろう。その上で、第9章「AIはいかなる未来を作るか」が示すようにAIとは違った役割としての人間の仕事に専念できるようになる。それが素晴らしい未来のはずだ。

さいごに

最後を飾る第9章で「人間が文章を書く必要はなくならない」と高らかに宣言されている。これを言い換えれば、人間が知的生産活動を行う必要性はなくならない、となるだろう。

だからこそ、私たちは「いかに文章を書くのか」について考え、実践していく必要がある。AIに代替できるような文章生産法ではなく、人間の能力のコア部分にアクセスする執筆活動として。AI時代には、そのことがより強く問われるようになるだろう。

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