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【書評】『アウトライン・プロセッシング対談』

Posted on 2019 年 10 月 10 日 by Rashita
アウトライン・プロセッシング対談: ~アウトライン通りに書けないことは悪いことじゃない~
アウトライン・プロセッシング対談: ~アウトライン通りに書けないことは悪いことじゃない~

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この本の成り立ちなどは、きっとどこかで語られるだろうから、ここでは言及しない。本書はようするに、スタイルとフォーマットが思考に与える影響を、ツールという視点を通して考察した一冊、という風に言えるだろう。

それ自身興味深い視点だが、今回触れたいのは次の一点である。

Tak.そう、それで考えたんです。WordのアウトラインモードとMacのOPALやOmniOutlinerはどこが違うのか。そして最大の違いは見出しの扱い方だということに気がついたんです。

Wordのアウトラインモードもアウトライナーも、どちらも入れ子状の階層構造を管理できる。しかし、前者は見出しと本文を区別して扱う。後者はそれをせず、すべてが項目として扱われる。

これはTak.氏がプロダクト型とプロセス型という対比ですでにいくつかの著作で考察を続けているが、あらためて考えてみたい。その違いは、思考というプロセスにどのように影響を与えるのだろうか。

そう。すでに半分くらいは答えが出てしまっている。思考とはプロセスなのだ。だからそれはプロセス型が合う。しかしこれは、単に定義をひっくり返しただけかもしれない。だから、もう一段踏み込んでみる。

すべてが項目として扱われるとき(つまり、フォーマットやスタイルとして見出しを持たないとき)、私たちの思考はどのように動き回れるだろうか。

答えは簡単なようでいて矛盾している。それは、自由自在であり、また非常に形式的なものだ。この二つは簡単に両立する。いったい音符を楽譜の線の上に乗せなければいけないと嘆く作曲家がいるだろうか。彼らは、決まり切った音符の書き方を用い、自由自在に曲を作り出す。そういうことだ。

「形式的」というのはわかりやすいだろう。アウトライナーでは、段差によってのみ構造が組み立てられる。紙片のようにちょっとずれた位置に置くとか、途中で曲線を入れる、みたいなことはできない。その意味で、アウトライナーは非常に形式張った(フォーマルな)ものである。

一方で、その意味的な中身は、自由自在である。何をどのように配置してもまったく構わない。それは、すべてが項目として扱われるからだ。

たとえば、以下のアウトラインをご覧頂きたい。

アイデア出しレベルのアウトラインで、アウトラインというよりも項目の列挙というのが近い。重要なのは、これらの階層の深さがまったくバラバラなことだ。ある項目は深く、別の項目は浅い。その深度は、私の思考のプロセスに呼応している。

Wordのアウトラインモードではこうはいかない。階層の深さと、意味的な粒度が一致している必要がある。なぜか。そうでないと、「読み」にくいからだ。言い換えれば、階層の深さと意味的な粒度が一致していないとき、それは「読む」を補助しない。

これをもう一段進めれば、フォーマット及びスタイルというのは、「読む」を助けるためにある、という風に言える。しかし、そのフォーマット及びスタイルの固定は、思考の自由な動き、つまりプロセスを抑制しすぎてしまう。

この点はもっと注意を向けられてもよい。なぜならば、私たちがある文章を(あるいは作品を)書き上げようとするとき、そこには質的な(ないしは意味的な)変換が生じているからだ。「考える」から「読む」への相転移。それこそが、読むに耐えうる文章を生み出す際の肝ではないだろうか。

■

本書は短く、読みやすい本ではあるが、それでも知的生産活動に関してさまざまな示唆を与えてくれる。特に文章を書くのが苦手な人ほど得るものは多いのではないか。

▼こんな一冊も:

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