「タスク」の研究

優先順位より必要なもの

まずもって、優先順位は必要です。

仕事というのは、あらゆるレイヤーから降り注いでくるので、場当たり的に対応していたのでは、一瞬で破綻します。そりゃもう、ほんとうにそうなります。

一方で、タスク管理の中に優先順位を導入したら、すべての問題が一瞬で解決するわけでもありません。その辺も合わせて理解しておく必要があります。

■優先順位をつけたからといって、それが実行されることが確定されるわけではない
■あらゆることを優先していたら、何も優先していないに等しい
■優先順位に絶対的な正解はない

今日中に絶対やらなければならないことがあるとして、そのタスクに優先度Aを与えたからといって、それが達成可能になるわけではありません。たとえば、今日の作業時間が三時間しかなく、その作業に四時間かかるなら、どうしたって達成は不可能でしょう。無理なものは無理なわけです。

同様に、あのタスクとこのタスクとそのタスクも全部優先度Aとかにしちゃったら、結果は同じです。すべてを優先することは、何も優先していないことと等しいのです。

となると、優先順位とは、あくまで取捨選択にすぎないことになります。それは問題を解決するためのソリューションではないのです。単に、何を選んで、何を捨てるかのジャッジメントでしかありません。

たとえば、私がコンビニの店長をやっていたときは、「お客さんの対応」を最優先にしていました。今すぐ溶けそうなアイスがそこにある、みたいな場合を除いて、何か作業をしていても、お客さんがレジにきたなら、まずその対応をする。それで時間がかかってしまい、取り掛かっていた作業ができなくても仕方がない。そういう指針です。

これは極めて当たり前の話に思えますが、たとえばレジ対応と商品の前だしと雑誌棚の整理をすべて優先度Aにしたところで、それが実行できるわけではないというのと同じで、あなたの目の前にあるタスクリストの各項目に優先度Aを与えたところで、それが実行できるわけではない、ということは常々肝に銘じておく必要があります。

でもって、これはあくまで選択にすぎないので、唯一の正解というのはありません。たとえば、コンビニでお客さん対応を最優先にするというのは、理にかなっているように思えますが、それで作業に遅れが出て、人件費が嵩むという結果が待っているかもしれません。でも、それは仕方がないことですので、結果を受け入れるしかないでしょう。別の指針を持つお店は、別の優先度になるでしょうし、それによってお店の雰囲気や売り上げみたいなものも変わってくるでしょう。

つまり、タスク管理に優先順位というものを持ち込む前に、まず優先順位を生み出す価値基準を導入しなければいけないのです。とりあえず納期を守ることを重視するのか、人間関係を良好に保つことを重視するのか、生産量を最大化することを重視するのか。ここが決まれば、自ずと優先順位も決まってきます。
*この辺の話は『アルゴリズム思考術』が面白いです。

逆に、この価値基準が曖昧であるか複数ある場合は、あらゆる作業が優先度Aに化けてしまうでしょう。その状況では、いくら優先順位を導入したところで、物事をときほぐすことはできません。

これは極めて難しくない話であり、同時に極めて難しい話でもあります。少なくとも、選択の結果を自分で(あるいは自分たちで)引き受ける、ということができないと、なかなか実行はできないかもしれません。

でも、そうしないといつまでたってもタスクリストは大渋滞のままです。なにせ優先順位があったとしても、混雑は避けられないのですから。

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