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棚上げと棚下ろし

僕らはいつも棚に上げて暮らしている。

両手はすぐにいっぱいになるし、足元に置ける量にも限りがある。だから、棚に上げることで、視野から追いやり、両手を開けてなんとかその場をやり過ごす。そんなことの繰り返しで日々は過ぎていく。

そんな暮らしを続けていたら、当然のように、棚はいっぱいになる。たまにグラグラとぐらついて、そのことが気になってくるかもしれない。だから、棚から下ろすのだ。

一度すべてを棚から下ろして、一つひとつを点検していく。たいていのことは、すぐにまた棚に戻すことになるだろう。なんといっても、僕たちの両手は限られているのだから。あるいは、もういいやと捨てる決断をすることもあるかもしれない。棚だって無限ではないのだ。もう一度言おう。棚だって無限ではないのだ。

ほんのときどき、棚に上げてあったものを自分の手元に置き直すことがあるかもしれない。おそらくそれは、節目のタイミングで起きるだろう。割合としてはとても小さく、しかし大切なこと。ほとんど滅多に起こらないからこそ、価値を持つこと。それが、交換なのだ。その交換から新しい一歩がはじまる。あるいは、そういう気持ちになれる。それが棚おろしの効能だと言える。

僕たちは、いろいろなものを棚に上げ、また、棚から下ろして暮らしている。限られた存在の、必死のメモリ活用戦略だ。でも、それは単にスペックを最大限に活かすことだけが意味ではない。

改めて選び直すこと。

その行為を与えてくれることが、案外大切なのかもしれない。

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