「タスク」の研究

タスク管理について:第三回:複数のタスクリスト

前回は、「タスク管理」の目的について考えてみた。そこで挙げた「より良いタスク管理」の機能要件は

・最終的に「目標」(プロジェクト)を達成すること
・タスクの漏れをなくすこと(全てのタスクを記憶したもの)
・円滑にタスクを進められること(やるべきこと、できることに沿ったリスト)

であると述べた。さて、これら全てを満たすタスクリストはどのようなものであろうか?

理想の「唯一絶対のツール」

見出しのような「唯一絶対のツール」は、もちろん存在しない。これだけさまざまなタスク管理ツールが登場し、またそれらが利用されていることは万能の答えは存在しないことを示している。
しかしながら、一つ言えることは「単一のタスクリスト」では上に上げた3つの要件を満たすことはできない、ということだ。

全てのタスクを記録させた恐ろしく長いリストを見て、果たして円滑にタスクを進めることができるだろうか。あるいは目の前の処理しなければならないことが整然と並べられているリストを見て、現状プロジェクトがどの程度まで進行しているかを理解し、スケジュールに変更を加えていくことができるだろうか。

使うツールは一つであってもよいし、複数のツールを使い分けても良い。ただそこに最低3つの側面を持たせることが必要だと思う。

その3つの側面とは以下である。

・マスタータスクリスト
・今日やるべきタスクリスト
・空いた時間にやるタスクリスト

それぞれについて考えてみる。

マスタータスクリスト

全てのタスクを集める所。一元管理の肝である。タスクを管理する以上、一つはノートに、もう一つは手帳に、残りの一つはRemberTheMilkに、といった状態では具合が悪い。
この方式だと、タスクを探す際に参照しなければならない箇所が増えてしまう。それはタスク見逃しの可能性を生んでしまう。

私は、基本的なタスクはRTMに、アポイントメント系の日付に帰属するタスクはGoogleカレンダーに記入している。これで基本的にタスクを忘れる事態はまず発生しない。

今日やるべきタスクリスト

その日にやるべき事を一つのリストに落とし込んだもの。このリスト作りを行うのはその日の朝一か前日の夜がよい。間違っても仕事をやり始めてから作り始めてはいけない。

私の場合では、GoogleカレンダーやRTMからのリマインダーで上がってきたものをリストに並べる。その後、昨日の「今日やるべきタスクリスト」で持ち越しになったものを書き入れる。

いろいろ試行錯誤したが、このリストは毎日毎日新しく書く方が良いようだ。前日やり残したタスクが多いからといって、そのリストに追加で書くと、タスクを消化しようという意欲が著しく減退する。

その心理的な理由をあえて探せば、昨日の「私」がやり残したものがそのまま「回されてきた」と感じるのか(やらされている感)、それともその日の「自分」が選び取ったタスクなのか(自主性)、という感覚の差なのだろうと思う。

こういったことは些細なことのように思われるかもしれない。しかし、タスクに対する感覚の持ち方はその処理に対して大きな差を生むと思う。
書評 脳に悪い7つの習慣(林 成之)の「一日に祝福を与える手帳」も参照のこと

毎日こういったタスクのリストを書いては消して、ということを繰り返していると「手を付けやすいタスク」と「なかなか始められないタスク」があることに気がつく。

そして往々にしてその差は、そのタスクの難度によって生み出される、ものではない。
むしろ、やり方がうまくイメージできないとか、気にくわない誰かに言われたから、といった心理的な原因によることの方が多い。

どうせ、こなさなければならないタスクならば、すこしでも前向きに取り組みたい。そのためにはその日の「自分」が自主的に選択した感覚を持つことが少しでも手助けになると思う。
※基本的に、私は昨日の「自分」と今日の「自分」を別人として扱っている。

空いた時間にやるタスクリスト

緊急を要するものではないが、少しずつでも進めたいもの。あるいは単なる雑用でもよい。ちょっと空いた時間にやるべきタスクがリストになっていると悩む時間無くタスクに着手できる。これは、すぐに参照できる形式が良い。

私はRTMに、状況に応じたタグを付けてタスクを参照できるようにしている。電車の中などはほぼ読書一択だが、打ち合わせ前の待ち時間などは目の前に机があるかないかで処理できるタスクが変わる。もちろん、これはタスク分けの一例で、これ以外にも「空いた時間」の大きさごとのタグや、「自分の精神的キャパシティーの残量」ごとで分類することも出来るだろう。

+1の習慣

さて、これだけのタスクを準備すればそれで万全と言えるだろうか。もちろん、そうではない。このリストの運用だけだと、全てのタスクを管理して、その日にやるべきタスクを一カ所に集め、空いた時間にやるべき事もリスト化できている。しかし、「最終的に「目標」(プロジェクト)を達成すること」に関してはフォローできていない。

一日にどれだけ効率的にタスクを消化したとしても、それがプロジェクトに役立つものでなければ生産性はゼロである、ということは前回も述べた。
では、いかにしてプロジェクトを進めていくべきなのだろうか。

そこで、重要なのが週次レビューである。これはGTDにおけるプロセスの一つであり、もっとも重要なプロセスでもある。
そして、プロジェクトがからむタスク管理においても欠かすことのできないプロセスであるだろう。

次の言葉はGTDのバイブルとも呼べる「ストレスフリーの整理術」からの引用である。

p197
「あなた自身の整理システムがうまく機能するためには、このシステムを定期的に見直し、最新の状態を保つ必要がある。やるべきことをやっていて、やっていないことについても、今はそれで大丈夫という確信が得られなければならない。」

プロジェクトについてある時点で詳細なタスク消化計画を立てたとしても、それが計画通りに行く可能性は低い。しかし、計画を立てなければ着実に実行していくことは難しい。

つまり、計画を立てる→振り返る(レビュー)→修正する→振り返る→修正する→・・・を繰り返し行うこと(「計画」のメンテナンス)でしかプロジェクトの達成に近づくことができないということだ。

週のある時点で目下のプロジェクトに関して必要なタスクをマスタータスクリストから洗い出し、それを一週間のどこかの日付に割り振る。それぞれの日付でそのタスクがリマインドされるからあとはそれを着実に実行していく。

もし実行できなければ次の日の「その日にやるべきタスクリスト」に持ち越される。その持ち越しが続く状態を放置していれば、いずれ破綻するが、次週になれば計画の練り直しが行える。抱えたタスクが誰かに割り振れないか、緊急度の低いタスクを次週に回せないか、と現実的かつ実行可能な計画に修正することができる。

この週に一度のタスク進行計画のレビューを実施して、初めてプロジェクトを効果的に前に進めていくことが出来るようになる。これは、日々のタスクの進行を少し上からの視点で見つめるという行為とも言える。

私は上に挙げた3つのリスト以外に「注目度の高いプロジェクトリスト」を週に一度更新している。この場合の注目度は「緊急度」「重要度」どちらの要素も含む、という意味合いである。

まとめ

今回は、タスクリストの機能に注目して必要なリストを考えてみた。

・マスタータスクリスト
・今日やるべきタスクリスト
・空いた時間にやるタスクリスト
・(プロジェクトリスト)

このリストに加え週一度のレビューの習慣。これらが組み合わさって初めて「より良いタスク管理」が実施できるようになると思う。

先ほども述べたが、このリストの使い分けは一つの考え方であって、使うツールは一つでもかまわない。最低限タスクにタグが付けることができれば、どのようなツールでも問題なくこなせるだろう。

次回は、タスク管理のデジタルのツールについて少々触れることにする。

参考文献:

はじめてのGTD ストレスフリーの整理術
はじめてのGTD ストレスフリーの整理術 田口 元

二見書房 2008-12-24
売り上げランキング : 812

おすすめ平均 star
starGTDとは何か、よくわかりました。
starGTDのバイブル
star仕事の整理整頓に最高のツール。購入に迷ったらp.127を見て下さい。

Amazonで詳しく見る by G-Tools

編集後記:
最近寒くなってきました。キーボードを叩く指が冷たいです。あと、長時間パソコンに向かう私を見つめる妻の視線もそれとなく冷たいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です