7-本の紹介

【書評】『仕事と自分を変える 「リスト」の魔法』(堀正岳)

本書の概要
・リストについて書かれた本
・仕事術から知的生産まで話題は広い
・私たちが「よく生きる」にはどうすればいいか?
 ・自己啓発や哲学の要素もある

つまりこれがリストの力である。

仕事と自分を変える 「リスト」の魔法 (角川書店単行本)
KADOKAWA (2020-01-24)
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概要

最初に問おう。

「なぜあなたはリストを使わないのか?」

リスト作りこそが、私たちのもっとも基礎的な情報マニュピュレイトであるにもかかわらず。

実際、リストについて書かれた本はいくつかある。ポーラ・リッツォの『リストマニアになろう』やアトゥール・ガワンデの『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』が有名だろう。特に後者は、私たちの認知力の限界とそれを補佐するチェックリストの共有関係が具体的な事例を交えて面白く紹介されている。

拙著の『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 』も、基本的にはリストの話である。なんといっても、タスク管理にリスト作りは欠かせない。おそらくこの点が、つまりタスク管理の基本はリスト作りである、という点が、私たちとリストの関係をはっきりと表しているだろう。その関係は、タスク管理にとどまらず、さまざまな情報分野へとノードを伸ばしている。

それに呼応するかのように、本書が扱う分野も広い。

まず第一章ではリストが持つ力を明らかにされる。「スッキリ化」と「ハッキリ化」というわかりやすい点が明示されるが、一方でそれを魔法の杖とはしていない。「リストはテクニックとして覚えればすぐに効果が出てくるものでないはなく、信頼して、心理的に向き合うことを通して効果が生まれる」という指摘は重要で、まさにリストと私たちの関係こそが、その力の根元であることが示されている。

続く第二章では、リストの基礎的な作り方について言及される。正直、ここだけで小冊子が四冊くらいは作れそうなほどだ。シンプルで誰にでも作れるリストであるからこそ、工夫と発展の余地は広いし、うっかりハマってしまう罠もある。基礎的な知識はいつだって大切なのである。

以上二章を基礎編として、第三章以降は実践編に入る。まず第三章はリストを使ったタスク管理の基本について。『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 』では、リストの細かい話をすっとばしたので本書と読み合わせるといい具合に補完されるだろう。小難しいタスク管理のツールはご遠慮願いたい、という人にとってもとっつきやすい内容になっている。

第四章はブレインダンプとチェックリストが解説される。特に頭の中を吐き出すブレインダンプは、タスク管理(≒セルフマネジメント)においても欠かせないものであり、ぜひとも一読しておきたい。

かわって第五章は、知的生産活動におけるリストについてだ。むしろ知的生産畑の人にとっては、これがリストのメインの使い方になるかもしれない。いかにインプットし、いかにアウトプットするのか。そこでリストがどう役立つのか。情報が多い時代だからこそ、リスト作りが有用であるという点は、あらためて確認されるべきだろう。

残る第六章、第七章は、少し話が大きくなり、人生におけるリストについて語られる。ここまでにさまざまなリストを作ってきたからこそ、もっといえばさまざまな活動のお供にリストを作ってきたからこそ、私たちの人生と接続できるドアを開くことができる。この点は、Tak.の『アウトライン・プロセッシングLIFE: アウトライナーで書く「生活」と「人生」』と通じるものがあるだろう。人生と日常はつながっている。だからこそ、両方の側から見つめてみることが必要だ。でないと、煽られた夢が日常を破壊してしまうことすらありえる。かといって、夢をむざむざと捨てる必要もない。リストを作り、おりに触れてそれと対話をすればいいだけだ。言い換えれば、リスト作りとは自己との対話を促す契機である。

さいごに

こうして眺めてみると、非常に広範囲な領域で話題が展開されていることがわかる。仕事術から知的生産、そして自己啓発にわたるまで私たちと情報が関係を結ぶ場所ならば、どこでもリストは活躍する。それくらい、私たちとリストの関係は基本的であり、日常に浸透しているのだ。

だからもう一度問おう。

「なぜあなたはリストを使わないのか?」

その答えもまた、きっとリストにできるだろう。

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