1-情報ツール考察 断片からの創造

リストについての考察2

前回は、リストが持つロジカルさの促しは完璧完全なものではなく穴が空いていることを指摘した。今回はその点を考察してみよう。

まず第一に、その穴はリスト利用の自由度を上げる。たとえば、「今日やることだけ」を書くデイリータスクがあるとしても、そこにちょこっとしたメモを書き込むことはいつだって可能だし、有用でもある。あるいは、あとでカレンダーに登録しようという情報を書き込んでおいてもよい。

それらは、「今日中に処置する情報」という意味で、「今日やること」の範疇に加えることもできるが(つまり、カテゴリーエラーを起こしていないと強弁することも可能だが)、そのメモは明日処理するものだって構わない点を考えれば、その強弁を持ち出す必要はない。リストには穴が開いているから、別のものを紛れ込ませて運用することができる。リストは逸脱可能なのだ。

意外な掘り出し物

その逸脱は、必ずしも喜ばしい変化を呼ぶわけではない。たとえば、「今日やること」リストを書き出しているうちに、次々とやることを思いつくかもしれない。

『「リスト」の魔法』から再度引用しておこう。

もっと抽象的な話をすると、リストの項目を埋める際には大きく分けて「すでにわかっていることを書く」場合と、「まだ意識していないことを引き出す」場合の2種類があります。

リストを書いていると、後者の働き──つまり「まだ意識していないことを引き出す」──が活発になり、リストがすごく長くなってしまうことがある。そうなると、そのリストは「今日やること」リストではなく、「今日やれたらいいこと」リストとなり、デイリータスクリストとしてはうまく機能しなくなる。

その一方で、そうして書き出したからこそ、「ああ、これはどうしても今日中にやっておかないと」と発見できることもある。そうなると、もともと「今日やること」だったものが明日以降に先送りされ、リストが再編される。脱線が変化を呼び起こしたのだ。

風化する項目

似たような変化は、別のところでも起きる。

たとえば、「いつかやりたいことリスト」だ。情熱に燃える20代に作り上げた「いつかやりたいことリスト」を、30代に差し掛かったタイミングで見返してみるとどうだろうか。そのうちのいくつかは(あるいは大半は)、もはやそれほど興味を持てなくなっているかもしれない。つまり、そのリストは「かつて、いつかやりたかったことリスト」に変わってしまったのだ。

リストが強固さを維持しているなら、そのような乖離(ないしは変化)は起こらないはずである。しかし、リストの要素とそのタイトルは完全には固着していない。シニフィアンとシニフィエのように遊離しているのである。

だからこそ、「いつかやりたいことリスト」は淡々と要素を追加していくだけでなく、一度ゼロベースで書き直してみるのが良い。『「リスト」の魔法』の以下の提案はまったくもってその通りである。

どの部分に無理があるかわかったら、思い切ってもう1枚新しいリストを作ってみます。

リストは情報を固着させる。しかし、そこにタイトル通りのものが収まっているとは限らない。だからこそ、リストはメンテナンスしたり、ときにはリニューアルしたりすることが必要になる。状況に合わせて、書き換えていくのだ。

この変化可能性は、よりクリエイティブな場面でも発揮される。

つづく

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