1-情報ツール考察

ツールとの付き合い方

最近、Evernoteで作業記録をつけている。そこにはいろいろなメモが出てくる。作業に関するメモや、何かの着想やアイデア、企画案のネタだしなど多種多様である。中には、あとで使うものもあるし、そうでないものもある。書いた時点で、「あっ、これはあれに使えそう」と思うものもいくつかはある。

そういうものについては、ハッシュタグをつけてメモするようになった。

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はじめから意識していたわけではない。なんとなく手が動いたのだ。TwitterやScrapboxを長く使い続けているからだろう。手が、そういう風に動くようにできているのだ。コンテキストを察知すると、ハッシュタグを書くように。

もちろん、こんな風にハッシュタグを書いたところで、Evernote上で何かしらの変化があるわけではない。リンクにもならないし、自動的にタグ付けされることもない。でも、案外それで十分だったりする。少なくとも、「tag:”作業記録” #知的生産の風景」と検索すれば、ハッシュタグを書き込んだノートを選り分けてくれる。

入力した部分だけを抽出できるわけではないから、アウトライナー的便利さはないが、ちょこちょこノートを閲覧していく手間さえかけるなら問題はない。あとは、検索構文の入力が面倒な問題があるが、だったら「tag:”作業記録”」あたりを辞書に登録しておけば、わりと簡略化できる。

つまり、だいたいうまくいく。

もちろん、こんなことはEvernoteが出た当初からできていたことだった。が、あまりそういうことをしようとは思わなかった。全文検索かそれともタグか。頭の中がその二択に塗り固められていて、「#知的生産の風景」のような少しだけ特殊な文字入力で、検索結果を選り分けるという発想は生まれなかったのだ。

しかし、ScrapboxやらTwitterやらWorkFlowyやらを使っていると、自然に手がハッシュタグを入力しようとする。Evernoteでも、私は意識せずにそれを書いていた。特に有効な機能はないにもかかわらず、ハッシュタグを記述していた。

が、それで検索がうまくいくとわかった。昔みたいになんでもかんでもEvernoteに突っ込んでいないし、自分用のメモはすべて「作業記録」タグが付いたノートにまとまっているので、上記の検索で必要なだけの全体から、必要なだけの記述を見つけることができる。

こうしたことを考えると「ツールの使いこなし」とは何だろうかとふと考えてしまう。Evernoteを使いこなすなら、私がハッシュタグとして本文に埋め込んでいるものをタグとして入力するのが一番だろう。そうすれば、ノートの抽出はより容易になる。

が、Scrapboxを使っているとわかるのだが、そういう特別なタグ入力操作は結構手間なのだ。それよりも思いついた瞬間に、ハッシュタグとして入力した方がはるかに早いし、手に馴染む。

でもって、きちんと検索すればEvernoteでも、それでやっていける。スマートではないし、時間もかかるが、情報を見つけることはできる。

さて、私はEvernoteを「使いこなして」いるのだろうか。

* * *

ある時点でうまくいきそうだと思うことでも、長く続けていくうちに面倒さが露呈して結局続かない、ということがある。

逆に、こんなのはダメだとよと頭で思っていても、実際にやってみると案外そうでもなかったりすることもある。

なかなかままならないものだ。

一つ言えるのは、ツールはある目的を持って作成されるということだろう。ツールが解決できるのはその目的に沿うものだけである。また、ツールを使うためのノウハウというものがあり、そのノウハウは案外ツールの垣根を越えて有用だったりする。

だから、ツールをいろいろ試すことは悪いことではないと思う。それぞれの目的と限界を理解した上で、その引き出しから使えるものを引き出すのは立派な研究であり、探検でもあるだろう。

しかし、「これを使いこなせればすべて問題が解決するかも!」という幻想に惑わされてあっちにいったりこっちにいったりするのは、それと同じ行為ではない。なぜだろうか。それはツールに期待しすぎるあまり、自らの研究が欠けているからだ。ツールが解決できる問題は限られており、しかも自分が抱える問題を知るのは自分だけである。結局、その解決者は自分でしかありえない。自分が知りうる問題を、ツールを使って解決する。ただそれだけの話なのだ。もちろん、これがとても難しい問題であることは、このへんのツールをよく触っている人なら十分に理解しているだろう。

なんにせよ、一つのツールがすべてを解決してくれることはない。そんなことができるのは、拳銃だけである。自らのこめかみに突きつけた拳銃だけ。それですら、問題を解決したというよりも、他の誰かにパスしただけにすぎない。

だから私たちは、過度の期待を込めず、しかし適度なワクワク感を持って新しいツールと付き合っていけばいい。それはそれとして、同じツールを長い間使い込むことでわかることも多いのは忘れないでおきたい。

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