1-情報ツール考察

リストについての考察5

前回: リストについての考察4

『「リスト」の魔法』が示すように、リストを書くときには、「すでにわかっていることを書く」場合と、「まだ意識していないことを引き出す」場合がある。これはタスクリストを作るときにも発生する。

たとえば、あるプロジェクトを達成するために必要な行動をリストアップするとしよう。よくある話だ。ここで活躍するのは「すでにわかっていることを書く」である。

到着したい状態があり、そこに向かっていくにはどんな行動が必要か。書き出していくうちに明らかになるものもあるだろうが、その多くは「すでにわかっていることを書く」ことになる。

こうしたリスト作りは、基本的にそう難しいものではない。独力で達成できない場合もあるが(たとえば新入社員のときなど)、それを知っている人間の助力があれば容易にリストは完成する。

では、それとは違った場合はどうだろうか。

たとえば、あなたの「夢を書き出しなさい」というやつだ。あるいは「死ぬまでにやりたい100のリスト」でもいい。

こうしたリスト作りは、完走するのが大変難しい。最初の15個くらいはすいすいと出てくるかもしれないが、後になるにつれ頭を絞り出さなければいけない。言い換えれば、「すでにわかっていること」を書き終えた後、「まだ意識していないことを引き出す」フェーズにシフトすることになる。

そして、一度このフェーズを経験すると、結局このリストには「何を書いてもよいのだ」ということに気がつく。「あえて」だとか「強いて」だとか「とりあえず」書き込まない限り、十分にリストを埋めることはできない。むしろ、そのような心の動きによって、普段は奥底に眠っている(などと想定される)気持ちを引き出すのがこのようなリストの手法である。

でもって、そのリストは、基本的に無限をほのめかしている。それはいつでも増えるものだ。100という項目が「とりあえず」書き出されたものであれば、その上限もまた「とりあえず」なものでしかない。有限なものをリストアップしたものではなく、無限なものを一時的に切断して、有限化したにすぎない、ということだ。

これによって不思議なリストができあがる。「死ぬまでにやりたい100のリスト」のはずなのに、その背後には無限の項目が控えているのだ。もちろん、それを生み出すのは人間の想像力であるのは言うまでもない。

もちろんこれは極端な話である。が、現実レベルでも似たようなことはよく起きるのだ。

何か達成したいプロジェクトがあるとして、そのために必要な行動をリストアップしていく。すると、モクモクと欲求が膨らんで、近しいけどあまり関係がないことまで「必要な行動」としてリストアップし始めてしまう。そして、一度でもそのような脱線を許容すれば、プロジェクト内のタスクリストは(その瞬間は有限に見えても)無限の香りを漂わせ始める。その香りは、とても甘美なのだ。毒を持つ花が美しいように。

(つづく)

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