さて、「自分のノート」を決めたら、手始めに〈今日のノート〉から取りかかってみましょう。名前の通り、今日の事柄について書き留めていくノートです。ごく簡単なやり方ですが、多くの物事の基盤となるノートでもあります。
その〈今日のノート〉には、今日に関することなら何を書いてもいいのですが、さしあたっては「これは覚えておきたいな、忘れたくないな」と思うものを書き留めるとしましょう。そういうのを書いておくと便利ですからね。
たとえば、「今日はあれとこれとそれをやらないとな〜」と思ったら、〈今日のノート〉の出番です。あれとこれとそれをノートに書いてみましょう。そうすれば、日中そのノートを見失わない限り、あれとこれとそれをやろうとしていたことを忘れないで済みます。
書き方も堅苦しく考える必要はありません。自由に書いて結構です。ただ、パターンを上げるとすれば、
・箇条書きで書く
・文章で書く
の二つがよく使われる手法ではあるでしょう。
箇条書き
箇条書きの場合、たとえば以下のように書きます。
・あれ
・これ
・それ
一番シンプルで手早く書ける方法です。たいていの物事はこれで対処できるでしょう。逆に、やや機微のある内容を覚えておきたいなら、この記述は少し手に余るかもしれません。たとえば、「ベーカー街221Bにバイオリンの弦の替えを早急に持っていく。ただし受け取り人は気難しい人なので対応に注意すること」のようなややこしい物事を「バイオリンの弦」とだけ記すのは少し無理があるでしょう。そうした場合は、できるだけ「そう思ったこと」を箇条書きに載せておくことをお薦めします。つまり、以下のように書くわけです。
・あれ
・これ
・ベーカー街221Bにバイオリンの弦の替えを早急に持っていく。ただし受け取り人は気難しい人なので対応に注意すること
多少形を変えることもできます。
・あれ
・これ
・ベーカー街221Bにバイオリンの弦の替えを早急に持っていく
・ただし受け取り人は気難しい人なので対応に注意すること
こちらの方がより「箇条書き」らしい感じがしますが、そこは別段問題にはなりません。自分が覚えておきたいと思ったこと、忘れないようにしようと思ったことを思い出せれば、書き方はなんでも結構です。
文章で書く
先ほどのように「あれ、これ、それ」とシンプルにまとめきれない場合や、あるいはすべての項目が「バイオリンの弦」のようなややこしい物事の場合は、箇条書きではなく、はじめから文章として書くやり方があります。
たとえば、以下のような記述です。
ベーカー街221Bにバイオリンの弦の替えを早急に持っていく。ただし受け取り人は気難しい人なので対応に注意すること。
あと帰りに花屋さんによってメッセージつきの花束を買って替えること。教授の授業に遅れないように注意しないと。
こういうものを書いても構いません。なんといっても、そのツールは〈自分のノート〉なのです。言い換えれば、あなた自身が管理の裁量を持つテリトリーが〈自分のノート〉です。この通りにやらなければならない、という規則はどこにもなく、むしろどのように記述したら自分がうまく思い出せるのかを見極めて、自分で自分の書き方のルールをこしらえていくのがうまいやり方でしょう。
ちなみに、上記のように文章でただ思ったことをつらつらと書く技法を「フリーライティング」と呼びます。今後、さまざまな場面に顔を出す技法なので、ぜひとも一度チャレンジしてみてください。
手始めの〈今日のノート〉
というわけで、レッスン2は〈今日のノート〉を作ることからです。その中でも、朝一番の「今日覚えていたいこと、忘れておきたくないこと」は、難しくもなく、始めやすいはずです。
次のレッスンに移るまで、まずは日々〈今日のノート〉を書いてみてください。以降はしばらく〈今日のノート〉にどんなことを書けるのかを紹介していきます。
(次回につづく)