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Evernoteのタスク機能から感じる新しい方向性

Evernoteに新たな機能が追加された。タスク機能だ。

タスク: Evernote がまた一歩前進しました | Evernote 日本語版ブログ

具体的な操作方法は以下の記事が参考になる。

「タスク」を使って ToDo をアクションへ | Evernote 日本語版ブログ

私はβ版として少し前からこの機能を使ってきたので、ここでは機能の全体像を見ていくことにする。

要素一:ノートに付与する情報として

タスク機能は、二つの要素を持つ。まず一つがノートに付与する情報だ。といっても、そう特殊なものではない。Evernote専用のフォーマットとして「タスク」が新しく準備されただけである。

上記のように普通のテキストに加えて「タスク」用のフォーマットが実装された。入力はノートエディタ上部の「+」からでもいけるし、MacならCommand + tのショートカットでタスクフォーマットに切り替えることもできる。

タスクフォーマットでは、冒頭にチェックできる丸印が表示され、期限に関するメタ情報が表示される領域も追加される。当然、丸印はクリックできるし、その少し左に表示されるハンドルをドラッグすれば、タスクを上下に移動させることも容易い。

もちろん、あなたは疑問に思うだろう。「前からあったチェックボックスと何が違うのか?」と。当然の疑問だが、たしかに違いはある。その一つが、タスクは一つひとつに期限を設定できることだ。チェックボックスは単にチェックできるボックスが表示されるだけだが、タスクはそれぞれ独自に期限(≒リマインダー)を設定できる。つまり、これまでは期限を設定したいアクションごとにノート一枚を割り当てる必要があったが、タスク機能を使えば一つのプロジェクトの情報を扱うノートの中に、異なる期限のタスクを混ぜていけるようになる。これは単純にいって便利だろう。

またタスクはカウントされており、ノートエディタの上部やノートリストのサムネイルでその数(達成/トータル)が表示される。どのくらいのタスクが残っているのかのボリューム感も使いやすい。

だったら、もうチェックボックスは不要かと言えば、そういうわけでもない。タスクは並列にしか並べることができないのだが、チェックボックスはTabキーを使うことで親子関係を作ることができる。つまり、細分化されたタスクの扱いにおいては、チェックボックスが勝っているわけだ。

期限が設定できることを合わせて考えても、タスク機能では少しまとまりのあるタスクを、チェックボックスではそのタスクに内包されるより細かい作業を扱うのが良さそうである。

また、親子関係の生成以外にもタスクとチェックボックスには違いがある。それが総合的なビューであり、これが二つ目の要素になっている。

要素二:タスクビュー

タスク機能は、個別のノートのフォーマットだけでなく、新しいビューもセットで実装されている。サイドバーに表示される「タスク」(畳んだ状態ではチェックマークのアイコン)がそれである。

タスクビューは、ノートビューやノートブックビューとは異なり、サイドバーからにょきっとはえてくる短めのウィンドウである。その挙動はタグビューに似ていると言えば、慣れた人ならば理解しやすいだろう。

で、そのタスクビューでは、設定したすべてのタスクが閲覧できる。一つのノート内のタスクのすべてではなく、そのアカウントにあるすべてのタスクが一覧できるのだ。

単に閲覧できるだけではない。このビューからチェックをつけることもできるし、新規タスクを追加することもできる。ドラッグでの移動もできるし、完了したタスクをまるっとノートから削除することもできる。さらに、タスクを検索したり、フィルターで表示を絞ったりもできるので、基本的にタスクビューとは「タスクの総合基地」のような存在だと言える。

一日のうち、複数のプロジェクトをまたにかけて作業を進めていくならば、このタスクビューが強力な味方になってくれるだろう。また、自分が抱えているタスクの全体を俯瞰し、それらをレビューしていく上でもこのビューは役立つはずである。

情報を統合的に扱う

以上のように、新たに追加されたタスク機能は、名前の通りEvernoteでタスクを扱うための機能である。そして、そこでの視点は、個々に情報を散らばらせるのではなく、一つの統合を目指すものだと言える。

これまでのタスクは、チェックボックスを使って一つひとつのノートに分断しなければ適切なリマインダーがセットできなかった。よって、そのノート群の情報をまとめるためのノートブックが必要とされた。しかし、タスク機能によって、そうしたノートブックをわざわざ作る必要はなくなり、一つのプロジェクト(という情報単位)を一枚のノートで管理していけるようになった。統合的に扱えるようになったわけだ。

また、それらのタスクが含まれたノートは、今度はタスクビューで統合的に扱える。実に気の利いた仕様になっている。そう。情報は、バラバラに保存されているだけでは使い勝手が悪いのだ。それを「使っていく」ためには、ある種の統合的視点が必要である。少し前に実装されたホーム画面もまた、一つの統合的視点を提供するものだとすれば、Evernoteは少しずつそちらの方にかじを切っているのだと考えられる。

少なくともそれは、「結局このツールで何をしたらいいのかわからない」というユーザーの戸惑いと、その戸惑いがもたらすEvernoteの死蔵化現象への一つの対抗的施策だと言えるだろう。そのかじとりによって使い勝手が落ちてしまう人もいるかもしれないが、万人に向けたツールほど「誰にとっても特に便利ではない」という結果をもたらすことを考えれば、一つの明確なかじとりは、一ユーザーとしては歓迎できるものである。

最初に入る場所

以上が、タスク機能の位置づけであるが、もう一つ面白い機能がある。それは、サイドメニュー上部にある新規作成ボタンを押してみるとわかる。

そこには「ノート」に加えて「タスク」という項目がある。そして「タスク」を選択すれば、タスク入力のダイアログが立ち上がる。

ここで、これまでのEvernoteに慣れている人ならば、きっとこんなフローをイメージするはずである。すなわち、こうしてタスクを新規作成したら、新しいノートが作成されて、その中にタスクが記入されるのだろう、と。今までのEvernoteのやり方ならば、間違いなくそうなっているはずである。

が、実際は違う。ダイアログの下のほうにちらっと表示されているのだが、あらかじめ指定してあるノートに「追記」される形でタスクが生成されるのである。でもって、そうしたノートのうち、「規定のノート」と呼べるものが準備される。デフォルトのタスクノートだ。特に何も指定しなければ、この「新規作成」から作成したタスクはすべてそのタスクノートに追記されていくことになる。

これは何が起きているのかと言えば、(GTDで言うところの)inboxに当たるノートが生まれている、ということだ。

これまでは、Evernoteのどこかのノートブックがinboxとして機能していた。当然現状のEvernoteもそうした設定はできる。何も指定がなければ、外部から作成されるノートが最初に入るノートブックを自分で決めておける。しかし、たとえば細かく思いついたタスクを、それぞれ一つずつノートにしていくと、だいたいにして処理がしづらいのである。なぜなら、Evernoteでは、二つのノート間で情報を行き来させるのが難しいからだ。むしろ、そうした処理はアウトライナーと呼ばれるツールが抜群に便利である。

しかし逆に言えば、情報をノートで分断しないのであれば、Evernoteだって情報の細かい移動は難しくない。先ほど紹介したドラッグによる移動は、ずいぶんとやりやすくなっている。つまり、これもまた「情報を単に保存するだけでなく、保存した後に使っていく」という観点が採用されているわけだ。

さらに言えば、個々のノートに保存されたタスクは、そのタスクを一つ取り出して別のノートに移動することもできる。


*一番下の所属ノートは、他のノートに変更可能

タスクビューでは、あるノートから別のノートへの移動もドラッグできる。そう。情報を扱うとは、このような操作をすることなのだ。保存して、検索して、閲覧する、というだけでなく、保存された情報を「処理」していくとは、こうした行いの総体なのである。そして、逆に言えばこのような機能が意識されていないツールにおいて、情報の死蔵が生じるのはほとんど宿命とも言えるだろう。

その宿命が、今少しずつ動き始めているのだ。

さいごに

Evernoteでタスク管理などしたくない、という人はもちろんいるだろうし、がっつり本格的に(つまり、データベース的に)処理するならNotionの方が「高機能」ではあるだろう。しかし、ノートの中に、テキストとタスクとチェックボックスとファイルや画像とを難しいことを考えずに放り込めるEvernoteは、ラフに使えるので個人的には好感触である。

もちろん、Evernoteのかじとりはまだ始まったばかりなので、詰めの甘い部分はあるだろう。しかし、こうして追加される機能群からは、「何かを変えていこう、新しいEvernote像を提示しよう」という意志と模索が感じられる。そして、私たちが期待を感じるのは、そうした意志の波動からであろう。今目の前にある機能だけを見て、その方向性を感じ取らないのは、さすがに早計に過ぎる。孵化する卵はゆっくりと見つめなければならない。

だからそう、こうした方向性に興味を持ち、応援したいと考えているならば、βのテスターに応募して、忌憚なき意見をEvernote社に送信するとよいだろう。後付けで文句を言うことほど簡単で、みっともないことはないのだから、時間や手間も含めた「投資」をツールに行っていきたいものである。

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