7-本の紹介

書評 リフレクティブ・マネージャー(中原淳 金井壽宏)

本書のサブタイトルは「一流つねに内省する」である。

そして、タイトルの「リフレクティブ・マネージャー」はそのまま「内省するマネージャー」ということになるだろう。いったいどのようなマネージャーのことなのだろうか?

リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)
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光文社 2009-10-16
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本書は東京大学大学総合教育研究センターの準教授である中原氏と神戸大学大学院経営学研究科教授の金井氏との対話のような形で構成されている。正確には対話ではなく、片方が論を展開し、それを受けてもう片方が論を展開する、という構成なのだが、対話に近い部分もある。
※対談ではない

章立ては

第一章 「上司拒否。」と言う前に
第二章 内省するマネージャー───持論をもつ・持論を棄てる
第三章 働く大人の学び───導管から対話へ
第四章 企業は「学び」をどう支えるのか
第五章 企業「外」人材育成

となっている。

第一章では、現代の若者が「管理する側」(以下マネージャー)の地位をどのように捉えているのか。そしてマネージャーとはそもそも何なのかを考察していく。

第二章では、タイトルでもあるリフレクティブ・マネージャーについて。

第三章は、どのようにして、人を教えていくのかという方法論。

第四章では、企業の中で働く人々と学びについて。

第五章では、企業の外での大人の学びについて。

大きな構成として、前半部分は「マネージャー論」、後半部分は「大人の学び」について書かれているとみてよいだろう。そう言った意味では、単純にマネージャーを目指す人や現在マネージャーの地位にいる人だけが読むべき本ではなく、大人の「学び」をどう捉えていくかという点で、全ての社会人にとって有益な情報が含まれていると思う。

今回はメインのテーマである「リフレクティブ・マネージャー」についてだけみていくことにする。

リフレクティブ・マネージャー

リフレクティブ・マネージャーとは何か、ついて考察する前に「リフレクティブ・プラクティショナー」について説明する必要があるだろう。「リフレクティブ・プラクティショナー」は日本語にすると「内省的実践家」となる。その意味は自分の行動を振り返りながら、前に進んでいく行為を続けている人のことだ。

p125の説明を引用すれば大雑把にではあるが、その感触はつかめると思う。

 能率よく仕事を片づけるには、原則をおぼえるのが手っ取り早い。しかし、より長期的な創造的適応力を維持するためには、原則を生成したり、改変したり、もしくは原則の範囲内でも即興的に考えることが必要となる。
 そのためには、原則が拠って立つ意味をよく理解する必要がある。意味を探求し、原則を自ら生み出すのが、リフレクティブ・プラクティショナーの真骨頂だ。

この説明を読んで、何かを思い出す人もいるかもしれない。このような条件を満たす人の事を最近では「ライフハッカー」と呼んでいる。言葉の意味合いからすれば、リフレクティブ・プラクティショナーをライフハッカーと結びつけてしまってもかまわないだろう。

原則を学び、自ら実践し、結果を内省し、新しい原則へと改変していく、これがリフレクティブ・プラクティショナーである。

そして、それをマネジメント論に持ち込んだのがリフレクティブ・マネージャーである。

これは二つの面がある。一つは自分自身が絶えざる内省によって成長し続けるマネージャーであり、もう一つは教える人間に対してこの内省を導くことができるマネージャーのことでもある。

一つの原則から、新しい原則までの工程を一つの学びとして捉えることで、それをうまく「教育」に活かせている人をリフレクティブ・マネージャーと呼んでもよいだろう。

自分自身が成長していくことは上司という立場に立つ人間ならば当然のことだ。

しかし、それ以外にも求められていることはある。成果を直接あたえる上司ではなく、フィードバックの中から成長への気づきを与えられる上司というのは、これからの組織において非常に重宝される存在になるのではないだろうか。むしろ、そういった上司で無ければ部下がまったく付いてこないという状況になるのかもしれない。

まとめ

個人の成長にとって、内省は無くてはならないものだろう。それを活かして成長していく事はリーダーで無くても必須なものである。組織の中にいれば、時間がたてば部下も付くことになる。その時に初めて「人を教える難しさ」にぶつかる。その壁を乗り越えるためにも内省は必要なものだ。

しかし、単なる内省だけでは前には進めない。内省的実践家として内省を行動に反映させていくことが必要である。自分自身の学び、そして以下に人を導くかという方法論が提示されているので、これから部下の教育に直面している新人上司には適切な一冊だろうと思う。

また、この本の後半部分の「大人としての学び」も非常に面白い。企業が社員の学びをどう捉えるべきか。あるいは社員は企業の外でいかに学んでいくか、という二つの視点はこれからの社会人にとって必要なものであると思う。

興味のある方は一度読んでみるといろいろ考えさせられるものが出てくると思う。

2件のコメント

  1. 中原です。

    リフレクティブマネジャー、ご一読いただき、また、書評およせいただき、感謝です。ありがとうございました。

    中原 淳

  2. >中原 淳さん
    コメントありがとうございます。
    かなり参考にさせていただきました。新書であの内容はかなり価値ある本だと思います。これからの活躍ご期待しております。

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