7-本の紹介

書評 なぜ、ノウハウ本を実行できないのか(ケン・ブランチャード+ポール・J・メイヤー+ディック・ルー)

ビジネス書、ノウハウ本、自己啓発書・・・いろいろな本がほんとうに多く発売されています。自分を少しでも向上させるために、自分にとって良い習慣を得るために、問題ある現状を改善するために、そういった本を次から次へと読んでいる方も多いでしょう。

そして、大抵の感想はこうです。

「だめだ、このやり方は自分にはあわない」
「こんな方法現実的ではない」
「できる人とっては簡単な方法でも自分には無理」

そして、次から次へと自分に「最適な」方法を探しまわる旅は続きます。その姿はまるで青い鳥を探すチルチルとミチルのようです。

本当に、その本に書かれてあるツールや手法に問題があるのでしょうか。実は原因は別のところにはあるのではないでしょうか。

なぜ、ノウハウ本を実行できないのか―「わかる」を「できる」に変える本
なぜ、ノウハウ本を実行できないのか―「わかる」を「できる」に変える本 門田 美鈴

ダイヤモンド社 2009-12-11
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「なぜ、ノウハウ本を実行できないのか」はまさにそのような状況に置かれている人に適切な一冊と言えます。前書きの中で、著者の一人であるケン・ブランチャードはこう述べています。

p4
体重を落とすには一定の食事、的をしぼった食事をとればいい。同じように本書は知識と行動のギャップを埋め、知識を活かす簡単なツールをもたらし、効果を出すことができると思う。

ノウハウ本にまつわる問題はまさに「知識と行動のギャップ」に原因があるでしょう。あなたが太りたくない、と考えていれば

一日の摂取カロリー<一日の消費カロリー

この式満たしていれば良いわけですが、それを知っている事と実行できることはまた別の話になります。知識と行動は別物で、しかも、その二つの間には超えるべき溝が確かに存在します。

「知識を仕入れる事と、行動を変える事は別の工程」

であることはしっかりと把握しておく必要があると思います。

3つの理由

本書で主張されている、「行動を変える事ができない理由」はたったの3つです。

・情報過多
・ネガティブなフィルター装置
・フォローアップの欠如

これら3つはそれぞれが関連してあなたの足を引っ張っています。

情報過多

情報過多は現代の特徴と言ってもよいでしょう。ノウハウ本は次から次へと発売されます。一つのやり方がうまくいかないと感じたそのときには、別の「斬新」で「効果的」な方法を解説したノウハウ本が発売されています。
心残りな気持ちを持ったまま、新しい方法へと乗り移っていく中では、じっくりと知識についての理解を深めていく作業は行えません。

ネガティブなフィルター装置

そして、その心残りな気持ちつまり自信をすこし喪失した状態で触れる新しい知識はネガティブなフィルターを通して見られます。「この方法は本当に大丈夫だろうか」という疑いの目で見られた知識は、なかば出来ないだろうという逆向きの期待を持って頭の中に入れられます。当然、そんな知識について理解を深めることはできません。

待っている結果は「やっぱりダメだった」。

これが連鎖していく構造を生み出します。だめな気持ちで知識に接する→深められず自分のものにできない→だめな気持ちを感じる→新しい知識が現れる→・・・

こういう状態に陥っているときには、どんな目新しいノウハウ本を読んでもまったく意味をなさないでしょう。行動を変える、習慣を変える、思考を変える、ということがもともと相当に困難な作業です。初めから疑いの目を持って見つめていれば成し遂げることなど不可能でしょう。

フォローアップの欠如

疑いの目を持っていなくても、変化を起こすことは難しいことです。それをサポートするのがフォローアップです。しかし、大抵のノウハウ本にはフォローアップのシステムは付いていませんし、また自分自身でそのシステムを構築できている人もそれほど多くはないでしょう。

ノウハウを吸収するためには実行することが一番手っ取り早いわけですが、問題が一つあります。本を読んで実行する場合、実践しようとしている方法が「正しいものなのかどうか」が読者には分からない、ということです。あるいは初めは正しい方法で始めていたが、徐々に進路を間違えてしまう、ということもありそうです。

ここをフォローするシステムがあって初めて「Know Can Do」を実現することができます。
※本書の原題は「KNOW CAN DO! Put Your Know-How into Action」

ノウハウ本に対する3つのノウハウ

さて、これらの「行動を変える事ができない理由」から実際にノウハウ本に接するときのノウハウを本書より3つまとめてみます。

・大量の情報を一、二度学ぶより、少数の知識を何度も学ぶ
・常に開かれた心で、新しい可能性を探す
・他の人に説明する

まず、そのノウハウが使い物になるかどうか、どのような意図・要請に基づいて作られたノウハウなのか、自分の環境においてどのような適応ができるだろうか、じっくりと考えることです。一つの知識についてじっくり考え、応用することができれば自然とその他の知識についても同様の思考を働かせることができるようになるでしょう。

偏見や先入観をもったままでは、自分にとって役立つ情報も見逃してしまいます。
本を読むときでも、他の人の話を聞くときでも出来る限り「そこには何かの役立つ情報が含まれているかもしれない」という期待を持つことで、変化のきっかけをつかむことができます。

セミナーで講師してくれた人が週1回15分の電話でフォローしてくれるならば何も問題ありませんが、現実的には難しいでしょう。
※最近ではブログ、Twitterで本の著者やセミナーの講師と話す機会を持てる可能性は広がっているので著者や講師の心持ち次第では実現するかもしれません。

そういった場合には、自分が学んだ知識や実行している行動について他の人に説明することを自分の中で義務づけることです。開かれた他者に向けて説明するわけですから、出来る限り正確に理解しようとする気持ちが高まるでしょうし、また他者から勘違いの理解に対する指摘をもらえる場合もあります。

自分のブログを持つことが一番手っ取り早いでしょうし、あるいは勉強会などに参加してみることもできそうです。

まとめ

上で紹介した3つのノウハウを携えて、今まで自分が読んだノウハウ本で一番感銘を受けた物を読み返しましょう。
紹介したこの本も、このブログの記事も一つのノウハウでしかありません。これらも読んで「ふーん」と納得しただけでは何一つ効果がありません。

自分が感銘を受けた本に関して、まず実行してみた後で、紹介したこの本を読んでみるとさらなる発見が待っているかも知れません。

編集後記:
本屋でこの本を最初見たときは、何とも言えない感触がありました。「ノウハウ本」を実行するための「ノウハウ本」ってどうなの?という冷ややかな印象でしたが最初の数ページをめくってみるうちに、ぐぐっと引き込まれました。総じて「濃い」内容とは言い難い本です。しかし印象深い箇所はいくつもあります。それだけでもまあ1200円+税の価値はあるかなと思います。
以前も書きましたが、ビジネス本の著者やセミナー講師の方が「どうすればより理解してもらえるか」を考えるために役立つ一冊かなと思います。

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