Logseqはデイリーベースであり、日ごとに新しいファイルが作れる。毎日、新品のアウトライン(デイリーページ)があなたの目の前に表示されるわけだ。
前日どれだけ大量の書き込みをしても、次の日にはまっさらなアウトラインが手にできる。手帳やノートのページをめくったように。
こういうフローな(流れゆく)ものは快適に使えるわけだが、その反面、何かを「固定」させておくことができない。とは言え、まったく不可能というわけでもない。手帳でも、付箋を使って情報を翌日に「持ち越せる」ように、Logseqでもフローな流れの中に情報を固定させる方法はある。
欄外領域
一つ目は、デイリーページの欄外に表示される「NOW」である。
この領域は(標準では)NOWとDOINGのタスクが割り当てられている行が表示される。「標準では」という括弧書きをつけたのは、設定ファイルで変更できるからだ。
なんにせよ、こうしたタスクの属性を使うことで、常に「今日のデイリーページ」にその情報を表示させることができる。「直近で考えたいことのリスト」や「プロジェクトリスト」などをNOWとしておけば、毎日通すことができる。
サイドバーの目次ページ
あるいは、右のサイドバーに表示される「目次」(英語ではContents)を使う手もある。
この領域は普段は隠されているが、ボタンを押せばしゅっと引き出される。そのページは、どれだけデイリーページが流れていっても固定である。言い換えれば、この部分は普通のアウトライナーと同じだ。あなたがデイリーページをどう使っていても、このページの内容は変わらない。固定的であり続ける。
名前が「目次」なので、全体の目次を作らないといけないと感じるかもしれないが、別にそう息巻く必要はない。たとえば、「目次」だから各ページへの「リンク」を貼らなければならないと思いがちだが、そのままテキストを書いてもいい。言い換えれば、メモ爛として使うことができる。
「目次」を極めるとLogseqはパワーアップする – Jazzと読書の日々
よって、同様に「直近で考えたいことのリスト」や「プロジェクトリスト」をここにそのまま書いたってもよい。Logseqは(引いてはアウトライナーは)自由なのである。
テンプレート
あるいは、「毎日目に入れる」ことを目的とするならば、デイリーページのテンプレートにそれを埋め込む手もある。
ただし、そのためにはいくつか仕込みが必要だ。
まず、設定ファイル(config.edn)で以下の記述を見つける。
:default-templates
{:journals “”}
英語をそのまま読めば、「ジャーナルの標準のテンプレート」を指定する場所だ。この””の中に何かを書き込めばいい。
何を?
ページ(ファイル)の名前ではない。テンプレートの部品名だ。
テンプレートの部品名?
これはLogseq上で設定できる。
先に完成版を見ていただこう。
実際の作り方だが、まずどこでもいいのでテンプレートにしたい記述を一つのブロックにまとめる。普通のテキストを書いてもいいし、ページのリンクを書いてもいい。<% today %>などの文字列を使えば、テンプレートが実体化するときに、具体的な表記となる(わからなければ、下の例を見ればいい)。
でもって、そのブロックをテンプレートにする。方法は二つあるが、わかりやすいのはそのブロックのコンテキストメニューに表示される「Make template」を選択することだ。すると「名前を入力してね」と要求されるので、何か名前を付ける。そうすれば、上記のように「template:: 付けた名前」という行が追加される。
その操作が面倒なら、ブロックの先頭行(親項目)にてshift + returnを押し、そこで「template:: 付けた名前」と記述する手もある。どちらも結果は同じだ。
ともかくこれでtemplateが作成された。以降はコマンド(/tempate)から名前を選べば上記のブロックが即座に追記できるようになる。が、これはまた別の話。
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とりあえず、diaryというテンプレートができたので、先ほどの設定ファイルの記述に戻る。もちろん、以下のようになる。
:default-templates
{:journals “diary”}
このような状態になっていると、毎日新しいデイリーページが作成されるたびに、以下のような項目が追加された状態で作成されるようになる。
<% today %>などの文字列がどう変換されているかは一目瞭然だ。
テンプレートはこのようにして、自動的に毎日のデイリーページに埋め込まれるので、そこに「毎日参照したい情報」を記述しておけばOK、というわけである。
ただし、上記二つに比べるとテンプレートの中身を変更するのがちょっとだけ手間なので、こちらは高頻度で内容が入れ替わらないものの方が向いているかもしれない。
もちろん、単にデイリーページで毎日書き込む項目の省力化として使う手もあるだろう。
さいごに
Logseqはデイリーベースで、基本的に日ごとに流れていく。それが使い勝手の良さだが、反面何も固定されないという弱点も抱える。上記の方法は、その弱点を補うアプローチなわけだ。
言うまでもないが、何かを固定しておきたいニーズが強いならば、LogseqではなくWorkFlowyのような普通のアウトライナーを使ったほうがいい。そのツールの中でデイリーの項目を作れば、Logseqとは比重が逆になった運用が可能になる。つまりは、自分のニーズはどちらの方が強いかで、ツール選択の適切さは変わってくる。この辺が知的生産ツールや情報整理ツールの面白いところだ。
一応最後にいっておくと、テンプレートはあまり作り込みすぎない方がいい。特に最初のうちはまったく使わないほうがいい。二ヶ月くらい使って、「この情報は、毎日絶対に書く」という確信が得られてから、はじめて作成に乗り出すくらいの「遅さ」がちょうどよいだろう。
それまでは、「目次ページ」なりを有効に使うといい。むしろこのフローとフィックスの2ウィンドウの組み合わせがLogseqの面白さだと言えるのかもしれない。